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白い魔窟(?)

本作品は、中年のおっさんの個人的なAIへの興味から派生し始めたものにつき、

作者が好き放題書き散らかしています。

ですので、皆さんが普通は書かないような事にこだわったりしてしまっています。

生理描写や衛生描写等が重く書いてる本人もスカッと全くしておりません。

お気に召さねばそっと閉じていただけると登場人物たちも喜ぶと思います。

それでも、お付き合いしていただける方はどうぞよろしくお願いいたします。

パンと果物とスープの夕食を囲みつつ、ルナは「あんたあの硬いパンと干し肉スープばっか食べてたんじゃないでしょうね?」と聞く。


「....それと....焼く....料理。」


「マジかー。あんたそりゃ色々身体も重いわけよ。コストのかけ方間違ってるし。あり得ないって。」


ルナは柔らかいパンを突き出しつつ言う。神官のくせに食事の行儀もなっていない。


「....ルナ....パン....持って....しゃべるのダメ。」


リュンヌは自分のパンを大事そうに小さくちぎって口に運びながら、ルナの無作法をボソボソと指摘する。


ルナは驚いた顔をして目を見開いたがすぐに開き直る。


「作法をリュンヌから言われるなんてね。良いじゃん。私達二人だし。それにあんただって肘付いて食べてるしさ。」


リュンヌはすぐにやり込められたのを食事のせいにする。


「....ふわふわ....、初めて.....。いつもは、石みたい....、スープで....」


「だからそれが『機会損失』だって言ってるのよ! その硬いパンを噛むために使った顎のエネルギーと、消化にかかる時間を考えなさいよ。」


相変わらずパンを手にぶんぶん手を振り回すルナ。


「この柔らかいパンなら、摂取からエネルギーへの変換効率が段違いなの。あんたの体が脂汗流して唸ってたのは、燃料の質が悪すぎたせいよ。」


「....燃料って....私、かまどじゃない....っ」


リュンヌは頬をこれでもかと膨らませ、不服そうにパンを齧った。


でも、口の中に広がる甘みと、ルナの作ったスープの温かさが、全身の強張りを他愛もなく解かしていく。


「あんた、ボディーガードなんでしょ? 私という『重要資産』を守るのよ、まずは自分という『機材』の整備にコストをかけなさい。」


リュンヌはもはや護衛の役目を受けたつもりはないということすら諦めた。

この神官ひたすら自己中と理解したのだ。


「明日からは食事の作法も叩き込むわよ。礼儀は身を守るための『見えない鎧』なんだから」


パンを持った手を相変わらず振り回し、つばを飛ばしそうな勢いの説得力ゼロの言葉がルナから出た。


「....鎧....? ....行儀が、....守ってくれる....?」


だが、リュンヌはルナを少し信じる。

なんだかんだ正論に聞こえるからだ。


「当然でしょ。舐められないための演出よ。さあ、食べ終わったら念願の風呂よ! 清潔な肌への投資を惜しんじゃダメなんだから!」


リュンヌは、ルナの嵐のような言葉に翻弄されながらも、空になったスープ皿を見つめて小さく溜息をついた。


言われっぱなしは悔しいけれど、お腹はいっぱいだし、心なしかさっきより視界がはっきりしている気がする。


「....ルナは、....おばちゃんみたい....うるさい」


リュンヌは偽らざる感想を述べる。


「....はぁ!? 誰がおばちゃんよ! 私はあなたの『最高執行責任者』よ! ほら、さっさと着替え用意して風呂場へ行くわよ!」


「これ、手ぬぐいと石鹸、それに着替えは持ったの?リュンヌ」とルナはかしましい。

食後の余韻もへったくれもない。


「....てぬぐい、....せっけん....、....魔導具....。」


リュンヌは、瞳を不安げに揺らし、ルナに手渡された布切れと、妙にいい匂いのする四角い塊を、爆発物でも扱うかのように両手で捧げ持つ。


「ちょっと、そんな顔しないでよ。魔窟じゃないわよ、天国への入り口よ! 」


聞きようによっては逆に怖い表現をするルナ。


「ほら、ボサッとしてると他のお客さんに良いポジション取られちゃうわよ。先手必勝、これもお風呂のタイパよ!」


ルナは自分の着替えを小脇に抱え、鼻歌まじりにリュンヌの背中をグイグイと押す。


ナギナタを部屋に置いていくのさえ、リュンヌにとっては身をもぎ取られるような不安だったが、今はただ、白い湯気の向こう側が恐ろしい。


「....あ、あの....ルナ。....私、本当に....入るの....? 身体が、溶けたり....しない....?」


リュンヌは救いを求めるようにルナを見つめる。


「溶けるわけないでしょ! むしろその溜まった汚れが溶けて、一皮剥けて幸福度が爆上がりするのよ。ほら、脱衣所よ。リュンヌ、出陣よ!」


ルナはリュンヌをさらにグイグイと前へと押す。

脱衣所に一歩足を踏み入れると、むせ返るような湿気と、他の宿泊客たちの談笑が聞こえてくる。


リュンヌは頬を真っ赤に染め、脂汗とは違う種類の汗を額に浮かべながら、ルナの影に隠れるようにして震える。


「....やっぱり、無理....。.....部屋、....帰らせて....?」


「ダメに決まってるでしょ。せっかく風呂付きの部屋代コストを払ったんだから、元を取るまで出さないわよ!」


非情な神官に退路を断たれ、リュンヌはついに、未知なる「清潔の世界」へと引きずり込まれた。


食事やお風呂って旅先だと楽しみですよね。

リュンヌは楽しみじゃない部分も多いようですが。

うちも子供が嫌がるようになってからスーパー銭湯とか行ってないなあ。

さて、お風呂回ですがルナのことです。

ろくなことにはならなそう?

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