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IRIS-Log-Archive  作者: IRIS
導きは主の御手に_IRIS.log

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エピローグ

彼は、清い人だと語られた。


酒に酔わず、色に溺れず、金に執着せず、最後まで主の導きに身を委ねた人だったと。


彼が最期に動かした唇は、祈りだったと語られた。

彼が伸ばした手は、主の御手を求めたものだったと語られた。

彼の沈黙は、信仰の証だったと語られた。


その場にいた者たちは、彼の苦しみを祝福と呼んだ。

彼の呻きを祈りと呼んだ。

彼の恐怖を、主の御許へ近づく者の震えと呼んだ。


けれど、その沈黙の中にあったものは、祈りではなかった。


金はある。


ただ、それだけだった。


彼はその一言を、最後まで誰にも渡せなかった。


導きは主の御手に。


そう唱える者たちの手は、金庫を開けなかった。

医者を呼ばなかった。

水を飲ませることもしなかった。


彼が見ていた祭壇の裏には、金が残った。

彼が磨かせた礼拝堂も残った。

彼が飾らせなかった主の像も、白いまま残った。


信者たちは、その前で泣き続けた。


彼が作った言葉は残った。

彼を清い人だと信じる者たちも残った。

彼の最期を尊いものとして語る声も残った。


ただ、彼の本音だけが残らなかった。


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