表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
IRIS-Log-Archive  作者: IRIS
【恐怖】樹海にいる謎生物を追え!!!【最恐】_IRIS.log

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

216/258

コメントの向こう側

 そこだけ妙に通りやすそうだった。


「ほら、なんかあそこだけ道っぽくない?」


 コメントがゆっくり流れる。


 道じゃん

 獣道?

 行くな

 逆に行け

 こういうの好き


「だろ? 俺も好き」


 俺はその細い空間へ足を踏み入れた。


 左右の木が近い。

 なのに、そこだけ不自然なくらい進みやすい。


「なんかさ、森のくせに妙に通してくる感じがあるんだよな」


 コメント欄が少し速くなる。


 歓迎されてるじゃん

 やめろ

 不吉

 その言い方嫌だ


「歓迎はちょっと面白いな」


 笑って進む。


 その時、左の木の間に白いものが見えた。


「……お?」


 コメントも反応する。


 いた

 左

 見えた

 いや木

 白いのいた


「いたよな? 今、白いのいたよな?」


 ライトを向ける。

 何もない。


「……いや今のはちょっとあったと思うんだけどな」


 そのまま歩き出すと、コメントの流れが急に速くなった。


 右

 右見ろ

 いや左

 前

 止まれ

 なんかいた


「ちょっと待って待って、どっちだよ」


 俺は思わず笑う。


「右派と左派で割れるなこういう時。統一してくれ」


 スマホを少し顔に近づけて、文字を追う。


 前

 前

 そのまま

 いや行くな

 近い

 近いって


「何が近いんだよ」


 半分ネタみたいに返す。

 けど、心臓は少し速くなっていた。


 コメントはさらに増える。


 前

 前見ろ

 おい

 そこ

 近い

 前

 前


「分かったって、今見――」


 一歩踏み出した瞬間、ごつ、と額の上あたりに硬いものが当たった。


「うわっ」


 木かと思った。

 反射でいつもの調子のまま口が動く。


「すみませ――」


 そこで顔を上げた。


 止まった。


 何を見たのか、言葉になる前に全部止まった。


 息が入らない。

 喉が閉じる。

 逃げようとか、叫ぼうとか、そういう考えすら出てこない。


 ただ、駄目だと思った。


 目の前にいるそれから、視線が剥がれない。


 コメントだけがまだ流れている。


 おい

 なにそれ

 逃げろ

 逃げろ

 おい

 やばい

 やばい

 おい


 指の感覚が抜ける。


 スマホが、ゆっくり手の中から滑った。


 落ちていく画面の端で、暗い地面と木の根元が傾き、最後までコメントだけが光っていた。


 そこで配信は途切れた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ