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第76話 あっちもナックル、こっちもナックルボール。
「知香、テレビに出るのか。」結城は言った。
「ブロックに出た時点でローカルのテレビには出るんだから。」
「そっか。全国に行ったら生放送だろ。」結城は言った。
「そう。」
「うらやましいな。」岸田が言う。
「永治くんも頑張ってよ。」
「ああ。」
そして迎えた土曜日、相手は同じ和歌山県のチーム、リトルシニア和歌山コンドルスだった。
準決勝である。
和歌山ウルフズは後攻になった。
「プレイ。」
相手ピッチャーが第1球目を投げた。
「ストライク。」
1番バッターの水野は1度打席をはずした。
「おい、今のボール見たか。」田村は言った。
「ああ、遅かったな。」岸田は答える。
「そうじゃなくて。」田村は続ける。
「わかってるさ。ナックルだろ。」岸田は言った。
「ああ、岸田以外にもいるんだな。実戦でナックルを使う投手。」
「そうだな。」
1番バッター水野はナックルに的を絞り流した。
瞬時にスイングを合わせ、足を活かし内野安打を狙った。
しかし、結果はアウトになった。
ベンチに戻ってくる水野。江藤監督が水野に声を掛ける。その言葉に水野は頷いた。
「ナックルだ。有名な、揺れて落ちるタイプだよ。」水野はった。
「でも、機転を利かせてそのナックルを狙ったのはいい判断だな。」田村は言った。




