第3章 全日本編 25
「よし、鎌田。」
「はい。」
「ストライク、だけでなく、頼むな。」
「はい。」
..岐阜ドリトスの鎌田一か..。
岐阜の天才ピッチャーだな。
山口は中継を見ていた。一本の電話が鳴った。
「ああ、相馬、えっあっ見てるよ、うちの上川、すごいな。えっ?小川のリード?まったく相馬は先を考えるのが早すぎるな。」
相馬とは、山口の元チームメートである。
「ワンアウト。」
「9回1点差か..。」
勝っても負けても全日本チームの試合は終えるのだからリラックスして投球すればいい、まあ、まさかここでホームランなどがなければ..しかし、一郎君もこの試合を見に来ているとは..。
一郎とは佐々木監督の息子で、山口もラビットズカップ予選で戦った相手だ。この選手は野手に転向しているがそれが今回の起用に活きている..。
それにしても、あの鎌田はすごい..。
「ツーアウト。」
まじかよ..。
この試合で世界一か..。上川は思っていた。
そしたら俺勝利投手だよ..。いやだな、また山口さんに言われちゃうよ。
いいほめかたではない山口に少しのオーラが感じられた。今は無理かもしれないが、きっと彼はプレイヤーの精神を教えてくれた大事な先輩だ。この舞台を見に来ないということは逆に自分がプレーするべきだと思った。..先輩。
「タイム。」
小川が審判に促し野手のタイムを取る。
「鎌田さん、どっちでいきます?」
「..少し、心残りだけど、ボールで入ろう。」
「外野広く守って、内野は少し前傾姿勢を取ってください。」
野手の交代もあった。
「じゃっ、後よろしく頼むよ。」
ファーストを守っている洞口は言った。サインのことだろう..。
「わかった。」
全員が守備位置に戻る。
「プレイ。」




