3.足元から鳥が立つ
2026年 8月26日 午後5時38分
とっくに日は降りかけており、ちょっと寒気がする。
今日は楽しかったなー。夕胡蝶見れたし、綾乃さんにも会えたし。
まるちゃんも寂しくなってるでしょと思い、とぼとぼ家に帰ろうとしていた。
「、、、?」
どうやら道沿いに咲いている植物たちが自分に何か言ってるようだ。陽向は周囲に人がいないか警戒しつつ耳を傾ける。
「あいつやばい」
「追いかけてるよ」
「気を付けて」
え!?どうゆうこと?
まさかストーカー?
陽向は今まで植物の声を聴いて、怪しい行動をする人間を把握しているのだ。だが家までまだ30分くらいある。こうなったら人気のある場所を通りつつ回避だ!と意気込んでいたはずなのにまんまと人気のないところに誘導されてしまった。なんでだ?土地勘がある人か?
ついに誰もいない路地裏へと来てしまった。
あ、俺終わったかも。
ついにストーカーとご対面するときが来てしまった。身長は俺と同じくらいの160センチ前後だろうか。真っ黒なスーツでありつつも、スーツの上にパーカーを着ており、顔を隠すようにフードを深くかぶっているようだ。
「君フラニーチェリから出てきたね。」
女性の声。なるほど、出てきたところを狙ったのか。でもなんで俺を追う必要があるのだろう。何かやらかした記憶ないんだけども。とりあえず今はこの状況をどうにかしなければ。
「、、、あのーー、警察呼びますよ?」
今はこちらが不利な立地だ。だから脅してみることにした。焦りはこの人が襲ってきたら、とりあえず常に持っている唐辛子入りのスプレーをかけるしかない。
「ああ、好きにしてくれてかまわないよ。」
なぜこんなにも余裕な声で顔で話すのだろう。ストーカーってたいていは自己中心的な考えで相手を追いかけるものだと思ってたけど、
「百瀬陽向くん」
「!」
どうして俺の名前を知っているのだろうか。
「今から君を拘束させてもらうね」
どこからか甘い香りがする
あれ
なんか目の前が暗くなってきた。
一瞬フードの隙間から見えた顔で気づいたことがあるとするならば、目の色が違うこと、顔に傷があったことかな。
もう目が開けない。
あなたは、
あなたはいったい何者なんだ。
2026年 8月26日 午後5時59分
「気絶したかな」
図体のでかい男が女性の発言に反応する。
「はい。しばらくは目覚めません」
「連れていって」
男は陽向を車へと運ぶ。
「ごめんね、百瀬君」




