修行開始
【修行中】
「はぁ…はぁ…こんなの…何の意味があるんだよ…」
「意味がないと思ってるのか?」
「だってそうだろ…ただ追いかけてるだけじゃねぇか…」
「……これはただの鬼ごっこじゃない。お前らの“能力”を引きずり出すための訓練だ」
「能力って…そもそも何なの?」
「お前らの中に眠ってる力だ。三手に触れられた時、無理やり表に出てきた“異能”」
「異能って言われてもな…実感ねぇよ」
「だろうな。今のお前らはただ“持ってるだけ”だからな」
「じゃあさ…ぽるの能力、見せてよ」
「あー確かに、それなら分かりやすいかもな」
「……は?お前ら、僕を何だと思ってるんだ」
「だって先生なんでしょ?だったら見本くらい見せてくれてもいいじゃん」
「そうそう、口で言われても分かんねぇし」
「……チッ、生意気な」
「いいだろう、少しだけだぞ」
「目ぇかっ開いてよく見てろよ。これが俺の能力だ」
「……【シンヲォール】」
小さく呟いた瞬間、二人の前の空間がぐにゃりと歪んだ。次の瞬間、空気そのものが押し固められたように、その場に“見えない境界”が生まれる。
「……は?」
「な、なにこれ……!」
何もないはずの空間に手を伸ばすと、指先がぴたりと止まる。まるで空間そのものが壁になったみたいに、びくともしない。
「見えない壁…!?」
「これが…能力……?」
「そうだ。これが俺の能力だ」
「でも…さっきの回復は?あれも能力じゃないの?」
「ああ、たしかにあれも使ってただろ」
「……あれか。【ヒールセルテイン】はただの魔法みたいなもんだ。能力とは別物だな」
「別物……?」
「そんなことはどうでもいい」
「ほら、続きを始めるぞ」
「今度はさっきより長く持たせろよ」
「まだやんのかよ…!」
「ちょ、ちょっと待ってって…!」
「待たない。止まったら置いてくぞ」
【その日の夜】
その夜、二人は疲れ果ててすぐに眠りに落ちた。
――同じ頃。
「うきゃきゃ!ひとりで攻めてきやがったぞ!」
荒れ果てた街に、異形の声が響く。
「ばばばばばさ ばばばばさ」
無数の影が、ひとつの存在を取り囲む。
「馬鹿だなぁ、お前は。俺らに喧嘩売るとかよぉ!」
「100対1だぞ?ボコボコにしてやる――」
次の瞬間。
音が消えた。
“敵の半分が、消えていた”。
「……は?」
誰かの間抜けな声が漏れる。
「ほら、どうした?」
静かな声が響く。
「ボコボコにするんだろ?」
一歩、踏み出す。
「早く来いよ」
再び、空気が裂ける。
「うぎゃっ——!」
「ば、ばびびばび……!」
「うあああああああ!!」
悲鳴だけが残り、影は次々と消えていく。
気づけば——
立っているのは、ただ一人。
その一夜で。
熊本、鹿児島一帯の侵略者は——壊滅した。
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久しぶり




