A Happy New Year
魔王「ぐわああああああ」
僧侶「よし!勇者今だよ!あの封印の呪文を!!」
勇者「よっしゃ任せろ!!」
魔王「おのれ忌まわしき勇者め……!だがワシは必ず復活し、いずれこの世界を恐怖で支配してやる!!!」
勇者「神よ、我にこの邪悪なる魔王を封じる為の力を与えたまえ……」
魔王「クッ……」
勇者「天!地!命!蓮!雷!電!音!水!炎!光!霧!はああああああ!!!!」
魔王「ぐあああああああ!!!!!」
僧侶「おお!」
魔王「ああああ…………あぁ……あ?」
僧侶「…………?」
勇者「…………あれ?」
僧侶「なにも起こんない……?」
『呪文が間違っています』
僧侶「えっ?」
勇者「あーマジか…………」
魔王「…………」
僧侶「えっ、なにこれ呪文間違えたの?」
勇者「うーん、これだと思ったんだけどなあ」
僧侶「そんなことあんの?」
勇者「いやだってこの呪文なげーんだもん。この一回しか使わねえのに」
僧侶「長いってこれ一番大事な呪文じゃん!!なんで忘れてんの馬鹿じゃないの勇者!!」
勇者「ああ!?だったらてめーが覚えてればいいだろうが!!!」
僧侶「はあ!?なにその逆ギレ!!大体勇者っていつもいつも」
魔王「おい……」
僧侶「なに!?」
勇者「なんだよ!?」
魔王「いや………メモとか取ってないの?」
勇者「メモだぁ?そんなもん…………あっ、取ってるわ」
僧侶「取ってんのかい」
勇者「いやーうっかりうっかり。ナイス魔王」
僧侶「流石魔王だね」
魔王「まあな」
勇者「おっ、あったあったこれだわ」
僧侶「メモどうなってる?」
勇者「えー『封印の術→天 地 命 蓮 電 雷 音 水 炎 光 霧』って」
僧侶「……さっきと変わんなくない?」
勇者「だよな?」
魔王「………勇者さ、さっき『電』と『雷』逆に言ってなかった?」
僧侶「あっ、そうかも!!」
勇者「マジで?」
僧侶「言ってた言ってた!天 地 命 蓮 雷〜の流れだったもんたしか!ねえ魔王!」
魔王「うん」
勇者「あーじゃあそれかあ」
僧侶「よし!もう一回やろ!」
勇者「おっけ。じゃあ魔王のセリフからな」
魔王「………… おのれ忌まわしき勇者め……!だがワシは必ず復活し、いずれこの世界を恐怖で支配してやる!!!」
勇者「神よ、我にこの邪悪なる魔王を封じる為の力を与えたまえ……」
魔王「クッ……」
勇者「天!地!命!蓮!電!雷!音!水!炎!光!霧!はああああああ!!!!」
魔王「ぐあああああああ!!!!!」
僧侶「おお!」
魔王「あああああぁ……あぁ………はぁ…………ははっ……」
『呪文が間違っています』
僧侶「えー!?」
勇者「なんだよーまたかよー」
僧侶「なんで!?今メモ通りだったよね?」
魔王「うん。今のはちゃんと電、雷の順だったぞ」
勇者「あっ」
僧侶「えっ、なに勇者。なんか心当たりあるの」
勇者「これ去年のやつかも…………」
僧侶「去年の?ってどういうことそれ」
勇者「いやこの魔法さあ、めっちゃ重要な魔法だからか知んないけど年に一回呪文の更新あんだよね」
魔王「あれか、ログインパスワードみたいな感じか」
勇者「そうそう」
僧侶「えぇなにそれ……じゃあそのメモ去年のパスワードってこと?」
勇者「うん。多分」
僧侶「今年のメモは?」
勇者「さぁ………?」
僧侶「じゃあもうお手上げじゃん!絶対わかんないよそれじゃ!!!」
勇者「いや待て待て。俺さ、更新する時いつも末尾一語だけ変えてんのよ。めんどくせえから」
僧侶「…………どういうこと?」
勇者「えーとつまりだな………」
魔王「つまりさっきの呪文でいうと最後の『霧』の部分だけを毎年変えてるってことでしょ?」
勇者「そうそう。ありがと魔王」
僧侶「あーなるほど………じゃあそこの最後の一語を今年どの漢字に変えたかわかればいいってこと?」
勇者「うん。でも全然覚えてねえ」
僧侶「じゃあ結局ダメじゃん!わかんないじゃん!!」
勇者「うーん……」
魔王「勇者さ、どうやっていつも呪文の漢字決めてたの?」
勇者「かっこよさ」
魔王「すごいなお前」
僧侶「アホなんだよ勇者って」
勇者「うるせえな」
魔王「じゃあなんかカッコよさそうな漢字挙げていけば思い出すんじゃないか?」
勇者「なるほど。よしそれやってみようぜ。じゃあ僧侶からな」
僧侶「うーん……『優』とか?あと……『愛』……『和』……『慈』…………?」
勇者「全然ピンとこねえわ。魔王は?」
魔王「『闇』『死』『獄』『鎌』………」
勇者「ああ近いかも……!続けて!」
僧侶「なんでそっち側に共感するの……」
魔王「うーむ後は……『毒』『業』『寒』……『冥』…………」
勇者「あっ!冥!それかも!……なんか覚えある!!」
僧侶「おっ、じゃあそれでやってみようよ」
勇者「うーん……多分冥であってるとは思うんだけどなぁ……」
僧侶「なんでそんな躊躇ってんの?とりあえずやってみればいいじゃん」
勇者「いや、この魔法確か3回間違えるとしばらく使えなくなるんだよ」
僧侶「えぇ!?なにそれ!!」
魔王「あーセキュリティ保護か」
勇者「そうそう」
僧侶「てことは……もう2回間違えてるから………」
勇者「次間違えたらもう魔王封印できないな」
僧侶「うわーマジかぁ」
魔王「それは困るな」
僧侶「ね」
勇者「まあでも、もう他に候補もなさそうだし冥でいくか。これ以上考えるのもだるいし」
僧侶「軽いね」
魔王「結構これ世界の命運掛かってるのにな」
僧侶「ね」
勇者「神よ、我にこの邪悪なる魔王を封じる為の力を与えたまえ……」
魔王「クッ……ワシのセリフ省かれた……」
勇者「天!地!命!蓮!電!雷!音!水!炎!光!冥!はああああああ!!!!」
魔王「ぐああああああああ」
僧侶「おお!」
魔王「あっ…………」
僧侶「えっ?」
勇者「ん?」
魔王「…………」
『魔王は死んだ』
僧侶「えっ、ちょっ、なんでなんで!?魔王死んじゃったよ!?」
勇者「………あーこれもしかして………」
僧侶「どういうこと?」
勇者「いや……殺人魔法の呪文だったかも『冥』の方」
僧侶「えーなにそれ………ていうかなんで封印魔法と殺人魔法そんな似たような呪文にしてんの」
勇者「だっていちいち考えるのめんどくせえんだもん……だから末尾だけ変えてんのよ」
僧侶「ていうかこれどうしようか……魔王死んじゃった……封印するつもりだったのに………」
勇者「生き返らせたら?お前僧侶だしできるでしょ」
僧侶「あっ、そっか」
『僧侶は蘇生魔法を唱えた 魔王は蘇った』
魔王「…………ハッ、ここは……?」
僧侶「あっ、魔王生き返った!よかったー!ごめんねほんと!ほら勇者も謝って!!」
勇者「すまんな」
魔王「………そうかワシ死んでたのか」
僧侶「そうなんだよー!勇者の唱えたやつ殺人魔法だったみたいでさー!ほんと勇者バカ」
勇者「うるせえな」
魔王「いや……ていうかなんでワシ生き返らせてんの……普通に殺しとけばよかったじゃん………世界永久に平和じゃん…………」
僧侶「…………あ、ホントだ」
勇者「言われてみれば」
魔王「お前らアホだろ」
僧侶「ま、とにかくせっかく生き返ったんだし封印しようよ………て、あれ!?もしかして今ので3回間違えちゃった!?」
勇者「いや、今のは普通に殺人魔法唱えただけだからカウントされないはず」
僧侶「なんだーよかった」
魔王「じゃあ次が最後のチャンスだな。次で決めないとワシもう眠いぞ」
勇者「俺も」
僧侶「こんな時間だしね。寒いし」
勇者「とは言ったものの何も手がかりないしなぁ…………」
魔王「勇者あれは?好きな言葉とかないの?かっこよさとか関係なしに」
勇者「好きな言葉?」
魔王「もしかしたら好きな言葉の一部を呪文に使ってる可能性もあるから」
勇者「なるほど……」
僧侶「それこそ勇者なんだし『勇気』とか『剣』とかなんじゃないの?」
勇者「うーん………『女体』……『タダ酒』………『不労所得』………『不動産』………」
魔王「酷いなお前の相方」
僧侶「でもああ見えて勇者らしいとこもあるんだよ」
勇者「後は……『金』………ん?金?……あっ、金かも!そうだ金だ!!俺金にしたんだわ!!うわめっちゃ思い出した今!!」
魔王「金?」
勇者「そう!この時全然金がなくてさ!!僧侶の財布から適当にくすねたり募金箱漁ったりしてどうにか繋いでたから今年こそは稼ぎまくって札束で人の頬を叩けるような男になりたいって願いを込めて末尾の漢字『金』にしたんだよ!いやー思い出したわ金です!今年の漢字は金!」
僧侶「…………」
魔王「僧侶………まぁそのなんだ……頑張れ……」
僧侶「でも、勇気もあるし強いし……悪い奴じゃないんだよ……ほんとに………」
魔王「お前いい奴だな」
勇者「おいお前らなにやってんだよ!呪文もわかったことだしさっさと封印して帰ろうぜ!!」
魔王「そうだな。よしチャッチャとやってくれ。これでようやく数百年は眠れる」
僧侶「ハァ………まあいいか」
勇者「えー神よ魔王を封じる力くれ」
魔王「ギリギリまで省いたな」
勇者「いくぞ!天!地!命!蓮!電!雷!音!水!炎!光!金!」
魔王「ふわあああああおやすみいいいいいい!!!」
僧侶「おお!」
魔王「…………………ん?」
僧侶「えっ」
勇者「あれ?」
魔王「おい眠れないんだけどなんでだ」
僧侶「ちょっと勇者また間違ったの!?」
勇者「いやそんなはずは」
『呪文の前回更新から一年が経過しています。呪文を変更してください』
僧侶「えー!?なにそれー」
勇者「えっ、だってこの更新は一年に一回だぞ?まだ今年は…………ん?ていうか今何時?」
魔王「えーと……あっ、0時2分だわ」
僧侶「年明けてんじゃん」
勇者「あーなるほどそれでかぁ………」
僧侶「もう勇者がバカばっかりやるから魔王封印する前に年越しちゃったじゃん!」
勇者「うるせえな」
魔王「おいお前ら!」
勇者「あ?」
魔王「あけましておめでとう」
僧侶「あっ、おめでとー」
勇者「ことよろー」
魔王「…………」
僧侶「…………」
勇者「…………」
魔王「…………今年の呪文の末尾はワシ『魔』がいいと思うな。魔王の『魔』。どう?これにしない?末尾『魔』で封印してもらえたらワシもいい夢観れそうだし」
僧侶「いや!封印に必要なのは勇者だけが持つ勇気!だから『勇』!これしかないよ!ね!勇者!」
勇者「俺は『女』がいいなあ……」
…………………………。
……………………。
…………。
……。
あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。




