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巻き戻った令嬢~私が跡継ぎ産んであげる!  作者: じいちゃんっ子
第2章 改めまして、マリアです。
7/8

第6話 今回はどうでしたでしょう?

『...久し振りね』


馬車の窓から流れる光景、私は心の中で呟く。

王都から馬車で一週間揺られ、着いたのはアンロム王国が世界に誇る学術都市シャーム。

世界に名だたる研究機関が軒を連ねている。


その中一際大きく、威厳を放つのが王立学園。

高く(そび)える門の向こうにある学園の建物は王宮と全く引けをとらない。


ここにはアンロム王国を始めとする世界中の貴族や推薦を受けた研究者が学ぶ。

政治学、地政学、軍略、宗教や果ては領地経営に到るまで、ここには来れば学べない物は無いと言われている。


「それじゃマリア、また後で」


「はいネクシル様」


学園の正面入り口で馬車を降り、少し疲れた様子のネクシルと分かれる。

ネクシルは男子寮、私は女子寮に。

結局婚姻を結ぶ事は出来なかった。

最後の追い込みとばかりに馬車で迫った私だったがネクシルはとうとう手を出さなかった。


「私って魅力が無いのかな...」


迎えの執事に連れられ男子寮に向かうネクシルの背中に呟く。

これで今回も寮生活。

3年後に迫った戦争の時、夫婦なら離縁は無いという目論見は崩れてしまった。


(それより戦争を避けるのだ、その方が大事)

気持ちを入れ換え女子寮に歩みを進めた。


「お嬢様!」


決意を新たに歩いていると後ろから呼び止める聞き覚えのある声。


「アヌシー?」


「どうして先に行っちゃうんですか!

迷ったら大変ですよ」


汗を掻きながら私に向かって走るアヌシー。

彼女は1ヶ月前から荷物の整理や受け入れの準備の為に寮へ先乗りしていたのだ。


「ごめんなさい」


「いいですよ、女子寮はそちらで合ってますから」


前世の記憶で学園内の建物の配置どころか、シャームの街すら迷わず行ける自信がある。

なにしろ前世で3年居たのだから。

それにしても全力で走って来たのに、息1つ乱さないアヌシー。

彼女も私と武術の稽古に付き合っている内に強靭な身体を手に入れたようね。


「荷物は?」


「全て準備出来ました。

家具も全て運び入れは済んでます」


「ありがとう」


アヌシーに荷物を持って貰い、歩みを止める事なく話す私達に周りの視線が集まる。


「お嬢様、少しゆっくり歩かれては」


「そうね」


うっかりしていた、ここは多くの貴族達が通う王立学園。

女性に求められるのは優雅な所作だった。


「ここです」


ある建物の玄関で立ち止まるアヌシー。

見上げる私の目に熱い物が込み上げた。


「...懐かしい」


「は?」


しまった、今回は初めて来たんだった。


「いえ、何となくサニット家に似てると思わない?」


「そうですか?」


なんとか誤魔化すが、アヌシーには通じない。

こういう時は合わせなさい!


玄関から正面ロビーを抜け、寮の関係者が常駐する部屋で挨拶。

寮の責任者である寮母は王族であっても厳しい指導が許されていた。


「この度お世話になりますアンロム王国公爵、ランティス・サニットの娘マリア・サニットと申します。

なにぶん親元を離れての生活は初めての事、不作法等ありましたら、遠慮無く指導の程宜しくお願い致します」


緊張しながら口上を述べる、2回目なので上手く行った。

この寮母は礼儀に五月蝿い、前世は散々苦しめられた。


「さすがはアンロム王国の次期王妃ですね」


「ありがとうございます」


再度優雅にお辞儀、油断は出来ない。


「そりゃお嬢様ですから」


こらアヌシー!!


「メイド選びは一考の余地ありです」


「す、すみません」


最後に小言を受けてしまった。

アヌシーに[淑女の嗜み]を渡すべきだったかしら。


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