突然と激突
マスク暑いです、干からびたナマコです!第三十九話、投稿しました!
ある日の王都コルソテクの朝。快晴の空模様とは裏腹に、龍牙は倒れそうだった。
「おはよ…」
「どうしたの?龍牙。」
「顔色悪いぞ。」
「何で当たり前のように荒斬が居るんだよ…まあ良いけど。」
寝癖を直すこともせず、フラフラと椅子に座りテーブルに身を委ねる龍牙。そんな彼の前に朝食が差し出された。
「ほら、食え。」
「ありがと…う?」
やけに低い声に疑問を持ち、顔を上げるとそこには、アルトガがいた。
「…うちは集会所じゃないんだけどなぁ。」
「そうか。さっさと食え。」
話聞けよ。と思いつつ朝食を食べる龍牙。
「普通に美味いね。」
「当たり前だ。昔は現幹部全員分の飯を作ってたからな。」
「…マジで?」
「あいつらは全員俺が拾った捨て子だ。懐かれたから今も一緒にいるんだよ。」
マジか…そう龍牙が思っていると、
「荒斬様!ギャルブリア帝国から襲撃が!」
勢い良く玄関の扉が開かれ、騎士達が入ってきた。
コルソテクに面した山々の間に、蟻頭の兵士達が並ぶ。その先頭には、龍牙と戦ったギャルブリア帝国四大幹部が一人、バールが立っていた。
「…………」
呼吸を静かに整え、情報を整理する。
「敵の主戦力は、龍牙、ノレア、荒斬…」
「何ぶつぶつ言ってんだよ。」
荒斬がバールに声をかける。その言葉に反応し、バールは顔を上げた。
「来たか…」
「お前、本当にその数を纏め上げるだけの力持ってんのか?正直前にチラッと見た悪魔の方が断然強そうだぞ。」
「そうだろうな。」
バールは落ち着いた声でそこに付け加えた。
「『私一人』ではな。行くぞ、『グレート・ワン』!」
バールの合図と共に蟻兵士達が身構える。
「切り札のお出ましってわけ…か…」
荒斬が絶句する。
それもそのはず。構えた蟻兵士達がいきなり集まり出したかと思うと、瞬く間に一塊になってしまったのである。四千はいるであろう兵士たちが一つの塊の一部となり、蠢いているのだ。
しかし荒斬が驚いたのは、その見た目のインパクトではない。
「強え…」
刃を交えなくてもわかる圧倒的な強さ。先程までの集団よりも強さの増した『一匹の怪物』になったのだ。
バールの兜を突き破り、頭から触覚が生えてくる。
「我が主人のため、私が無駄にした命のため、全身全霊でお前達を叩き潰す!」
時を同じくして、コルソテクから少し離れた森の中。龍牙はある男と対峙していた。
「亜守斗…」
「久しいな、龍牙。」
亜守斗の手には、雷鎚「バゴス」が握られている。
「和解は…出来ないのか?」
「無理だ。俺たちはもう止まれない……アイラ様が、本格的に暴走を開始した。」
その一言で、龍牙の顔が一層強張る。少し会っただけだが、それでもわかる実力の差。あれが攻めてくると思うと、それだけで震えが止まらない。
「そこまで怯えるか…。とても邪龍の力を持っている者とは思えないな。」
「生憎こっちはただの男子高校生だからな…。気丈な戦士が欲しいなら他を当たるべきだったな。」
膝をガクガクと震わせながらも、龍牙は決して引こうとしない。懐から何かを取り出して、亜守斗に見せつける。
「これ、何だと思う?」
「…ボタン。」
「そうさ…これのな。」
龍牙が背を向ける。うなじにはダイナマイトが巻かれていた。
「どれだけ試しても、ノレア達が見たって言うデカい体にはなれなかった…なるためには、死にかける必要があるんだろ?」
そして龍牙はそのボタンを押す。爆発の衝撃で、龍牙の首は弾けとんだ。
天使の力を使い、空を飛ぶノレア。戦場に旅立つ前、彼女は名無しのライダーに出会っていた。
「本当に、戦う気なのか?」
心配するライダーの手を握り、ノレアは言った。
「危険なことだってわかってる。でも、急に集められたのに、勝気さんもオズマさんも覚悟を決めてた…私も、戦う覚悟を決めなきゃ駄目なの。」
凛々しい瞳で見つめられたライダーは、そっとノレアの頭に手を置いた。
「そうか…また生きて会おう。約束だ。」
そう言ってライダーは二輪に乗り、去っていった。
そのやり取りを思い出し、ノレアは前を向く。
「頑張らなくちゃ…きゃ!」
突如飛来した魔法の矢を紙一重で躱す。飛んできた方向には、黒い龍に会った夜にいた、悪魔の女性だった。
「あらあら。初めましてですわね、ノレアさん。」
「…………」
「あら、話す気が無いのですか?悲しいですわ。」
よよよ、と顔を覆うローザに対し、ノレアは緊張を緩めない。
「…もしかして、あなたの持つ魔眼の能力、こちらの思考を読み取れる代物ですの?」
「!!」
ノレアの反応に、ローザが溜息をつく。
「ま、あの狡猾なアルマノスの魔眼ならそれも妥当ですわね。」
その一言で、空気が変わった。ノレアの表情が怒りに染まる。
「今…アルマノス様を…馬鹿にした?」
そう言葉を発しながらノレアは両腕に魔法をかける。
「『ボコスカナックル』…」
「…可哀想な子ですわね。『カーリン』。」
お互いに手に魔法を纏った次の瞬間、光と闇の拳がぶつかった。
何か鉢合わせした所で終わっちゃいましたが、次回からちゃんと戦闘するので許してください!龍の牙と龍の腕、第三十九話でした!




