表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
龍の牙と龍の腕  作者: 干からびたナマコ
38/55

本気と次元

皆さん超絶お久しぶりです。干からびたナマコです!第三十七話、投稿しました!

ヘレシーキメラ本部。最上階。

戦場と化したそのフロアで、激突する影が三つ。

「どうした?技が荒いぞ。」

ヘレシーキメラトップ。腕を蟷螂のように変化させた「異形の」ゲルモンド。

「そんなんじゃあ俺たちを殺せないぜぇ!?」

彼の協力者。蜘蛛男ドゥイスパー。そして、

「フーッ、フーッ、フーッ。」

憤怒の形相をした荒斬である。

「どうしちまったんだ。荒切さん…」

騎士の一人が言葉を零す。

「様子がおかしい。『こいつら』が出てきてから、ずっと……」

そう言いながら騎士が対峙しているのは、蜘蛛と人間を足したような怪物。それが何体も現れゲルモンド達に加勢していた。


それは、ほんの数分前のことだった。

「我流、『虎の爪』!」

荒斬がゲルモンドに技を放つ。

「くらうか!」

それを避けるゲルモンド。それと同時に、

「おらよっと!」

ドゥイスパーの出した糸が複雑な軌道を描き五方向から攻める。

「くっ、そらぁ!」

地面を強く蹴り糸から逃れる。連携によって一人に集中できず、荒斬は劣勢に立たされていた。

「蜘蛛が厄介だな…」

「そんな冷たいこと言うなよぉ!ヒャッハー!」

空中からドゥイスパーが襲い掛かる、糸を利用した死角からの攻撃。

「フンッ!」

それと同時にゲルモンドの斬撃が正面から迫る。

「我流、『朱き翼』!」

助走をつけ、ゲルモンドを正面から迎え撃つ。

「背後がガラ空きだぜぇ!」

そして後ろから迫りくるドゥイスパーを、

「『仕込み蛇』!」

左脚を唸るように繰り出し、突如靴から現れた短刀でドゥイスパーを貫いた。

「!?」

刺されたドゥイスパーが何かに動揺し、距離を取る。それを見たゲルモンドが声をかけた。

「どうしたドゥイスパー?毒でも盛られたか?」

「いや、そうじゃねぇ!お前、その短刀…!」

「あ?この短刀がどうした。」

「…見せてやるよ、出てこいお前ら!」

「「はっ!」」

そうしてドゥイスパーと荒斬の間に蜘蛛人間達が躍り出る。それを見た瞬間、訝しげにドゥイスパーを睨んでいた荒斬の目が大きく開いた。

「てめぇ、まさか…」

「やっぱりそうだな!?俺も隠れてその場にいたからなぁ。懐かしいぜ!十年前に爺様が獲って来たその短刀持ってた女は美味かったよ!」

「…………」

「泣いてたくせに、絶対に退かなかったよなぁ。ま、逃げても捕まえてたけど…どうした?だんまりして。」

黙っていた荒斬が顔を上げると、その目には涙が浮かんでいた。

「…うぁぁぁぁぁぁぁ!」


「殺す、殺す、絶対に殺す!」

頭では分かってる。怒りに任せりゃ技はまともに出せない。

「ああああああああ!」

それでも止まれない。俺の過去最大の傷。潰えて欲しくて堪らなかった一族。

俺の親友を拐った人喰いの土蜘蛛。その末裔が、目の前にいた。

「死ね、死ねぇ!」

「ハーッハッハァ!そんなじゃあ死なせられないぜ!?」

「ドゥイスパーの言う通りだ。俺が本気を出すまでもなさそうだぞ?」

ゲルモンドの声が聞こえた次の瞬間。

「ガッ!?」

背中に激痛が走った。背中を切られたらしい。

「ウゥ、アァウ!」

獣のように荒々しく飛び退き、向き直る。怒りに任せても体力が無限になるわけじゃ無い。このままじゃ死ぬ。怒りを抑えなければ。

「チェックメイト!だぜ?」

うるさい。死んでも化けてでてやる。絶対に根絶やしにして見せる。

「ウオォォォォォォォォォォォォォ!」

何叫んでんだよ。叫びてえのはこっちだ…叫ぶ体力も残ってないがな。

「荒斬さん!」

今のは医療班か?怪我を治してもらえりゃ戦える。でも無理だ。こいつらに殺されて終わりだ。

「荒斬さん!『後ろから』声が聞こえます!」

後ろ?…崖っぷちじゃねえか。誰もいるはず…………ん?

「荒斬そこどいてぇぇぇぇぇ!」

「!?」

驚き後ずさったその直後。

「到、ちゃぁぁぁぁぁぁく!」

変身した姿の龍牙が、空中に躍り出た。


「ワオ!壁登って来たの!?凄くね!?」

ドゥイスパーが空中の龍牙を見て驚きの声を上げる。龍牙は空中で身を翻し、勢いよく床に着地した。ゲルモンドが口を開く。

「バルザを倒したか。レボリューションの中では最高峰だったが、所詮は研究者か。」

「黙れよ。」

「何?」

ゲルモンドの言葉を遮った龍牙の声には怒気が篭っていた。

「俺のダチを泣かせた上に、俺のダチを侮辱すんなっつってんだよ!」

そう言うが早いか、ゲルモンドに飛びかかる龍牙。

「隙有りだぜ!」

ドゥイスパーの糸が迫る。しかし龍牙は構わずにゲルモンドに組みついた。

「は!ただ突っ込んでくるとは愚かだな!」

「うるせぇぇぇぇぇ!」

糸に巻かれる龍牙。しかしゲルモンドから身を離さなかった。

「ぬおぉぉぉぉぉ!」

糸がついた部分の肉が剥がれる。それでも離さない龍牙。身体が裂けそうになったその時、

「抜刀術、『滝登り』!」

傷を癒した荒斬が、その糸を切り裂いた。


「…しまった。」

ゲルモンドが不快そうに言葉を漏らす。

「嫌な顔してえのはこっちだ。…でも、」

荒斬が龍牙に顔を向ける。

「ん?どした。」

「お前が代わりにキレてくれたおかげで、少し気が晴れた。もう大丈夫だ、ありがとう。」

そう言うと荒斬は敵に向き直る。

「もう俺の刀はブレねえぞ。千載一遇の好機を逃したことを死にながら後悔しやがれ!抜刀術、『滝登り』!」

ゲルモンドの足元に踏み込み、刀を抜く荒斬。

「龍牙!そっちは任せるぞ!」

「合点!」

龍牙がドゥイスパーの前に割り込み、荒斬への邪魔を防ぐ。

「もう手加減はしねぇぞ!」

ドゥイスパーが放った無数の糸玉が、雨のように降り注ぐ。

「当たる前に近づいてやんよ!」

「読み通りなんだよ!ヒャハハハァ!」

ドゥイスパーの顎が大きく開き、龍牙を喰らおうとする。

「くっ、オラァ!」

退けば糸にやられる。逃げ場を失っている龍牙は腕を突き出した。しかしその腕はドゥイスパーに食いつかれてしまう。

「グッ!」

激痛に身体が震えるが、怯んではいられない。強引に意識を集中させ、もう片方の腕を振りかぶった。

「ガァ!」

「ピンチ!」

そう言ったドゥイスパーはギリギリで腕を掴み攻撃を回避する。

「どうする、次は脚か!?」

「畜生、こうなったら…!」

そう言うと龍牙は口を開いた。

「!お前、まさか『覚醒』を…」

覚醒?何のことだ?さっきのすげえ痛かったアレか?

頭の中で思考を巡らせながら開いた龍牙の口は、頬の半分まで裂けていた。

「ガゥ!」

その大口で噛みつき、ドゥイスパーから血が流れる。

「ガッ、ハッ!」

「ガァウ!ガァ!」

一心不乱に噛みつき続ける龍牙。そしてその横で、

「我流、『朱き翼』、『虎の爪』!」

荒斬がゲルモンドに連撃を仕掛ける。ゲルモンドはそれを捌き切れていなかった。

「残念だったな、俺はタイマンが得意なんだよ。」

「…そうか。じゃあ俺も、本気を出そう。」

ゲルモンドがそう零しと、肉体が変化していった。

脚はゴキブリのように、背中は蜻蛉のように、そして頭はヘラクレスオオカブトのように。

四つの生物が混じった正しく「異形」。ゲルモンドが脚に力を込めると、荒斬の前から姿を消した。

「…速い。」

下手に動かず静かに構える荒斬。その背後からゲルモンドが襲撃する、次の瞬間。

「これが、俺の『本気』だ。」

ゲルモンドの胴体が真っ二つに斬られていた。


「…………」

荒斬がゲルモンドを斬る少し前、龍牙は動かなくなったドゥイスパーから頭を離していた。

次の瞬間目にしたのは超速で動くゲルモンド、そしてあまりにも呆気ない決着。

「龍牙。そっちも終わったか。」

荒斬がこっちを向く。龍牙がドゥイスパーに触れると、まだ温もりがあった。

「いや、まだ生きてる。」

「そうか。じゃあ俺が首を…」

荒斬が近づいて来たその時、

「!」

荒斬が何かに気づき、横を向く。次の瞬間。

ドゥイスパーと俺は荒斬に蹴飛ばされ、今し方俺たちがいた所を黒い線が貫いた。

「大丈夫か、龍牙。」

荒斬が声をかける。しかしそれどころではない。

「いや、大丈夫だけど……今の何?」

荒斬が先刻の一撃で抉られた床を見た後、飛んできた方角を見やる。

「飛んできたのはあっち。てゆーことはやっぱり、ギャルブリアの奴らだろうな。」

「…え?」

近くにいるのか?

「見回してもいねぇよ。国の方から撃ってきたんだから。闇属性のだから、大方前に見た悪魔の魔法だろうよ。」

国から?一体どれだけ離れてると…

「あ、そうだ。…斬らせてくれ、そいつの頸。友達の仇なんだ。」

「う、うん…………」

「どうした?」

荒斬が顔を覗き込む。

国を跨いだ正確な狙撃。そしてそれに反応した荒斬。

レベルが違いすぎる。

あまりの次元の違いに、龍牙は思考が纏まらなかった。

ゲルモンドは複数の動物の力を持つ複合体で、一般人には施せない特殊な方法でレボリューションになっています。話は変わりますが、最近忙しくって投稿できていませんでした。一応ラストまでの構想は練ってあるのでご安心ください。龍の牙と龍の腕を、引き続き宜しくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ