↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
青春分岐点が増えていく  作者: こむぎ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
116/116

お泊まりはまだまだ楽しい

「じゃあ二人とも、そろそろお風呂にしたら?」


ママにそう言われた伊織ちゃんと月姫は、顔を見合わせて笑った。


「やった! 月姫、一緒に入ろう!」


「うんっ! 伊織と一緒に入るの、楽しみ!」


二人は楽しそうに話しながら、連れ立ってお風呂場へ向かっていった。


俺はそのまま自分の部屋に戻り、今日買ったプラモや漫画を片付けることにした。


「よし、こんなもんかな」


ひと通り整理を終えると、ちょうど喉が渇いてきた。


俺は部屋を出て、冷蔵庫からジュースを取り出す。


コップに注いで飲んでいると、浴室のほうから二人の楽しそうな声が聞こえてきた。


「えへへ〜! 月姫、弱すぎだよ〜!」


「きゃははっ! ちょ、伊織! くすぐったいって〜!」


どうやら伊織ちゃんが月姫をくすぐっているらしい。


「えへへ、もうちょっと〜!」


「も〜っ! 伊織、やめてよ〜! お風呂でくすぐるの禁止〜!」


「え〜、いいじゃ〜ん!」


……なんだか、ずいぶん楽しそうだな。


二人でお風呂に入って、あんなふうにはしゃいでいるのか。


いや、別におかしなことじゃない。仲のいい二人が一緒にお風呂に入っているだけだ。


「……何を考えてるんだ、俺は」


俺は頭を振って、残っていたジュースを飲み干した。


それから部屋に戻り、ベッドに腰を下ろして漫画を読み始める。


……気づけば、いつの間にか眠ってしまっていた。


「……っきー。あっきー!」


誰かに呼ばれて、俺はゆっくりと目を開けた。


「あ、起きた!」


目の前には、にこにこと笑う伊織ちゃんがいた。


隣には、髪を乾かし終えた月姫もいる。


「……あれ? 俺、寝てた?」


「うん! すっごく気持ちよさそうに寝てたよ!」


「ふふっ。起こすの、ちょっとかわいそうなくらいだったよ」


月姫がくすくすと笑う。


どうやら、漫画を読んでいるうちに寝落ちしてしまったらしい。


「あー、ごめんね」


「ううん、全然!」


伊織ちゃんは首を横に振ると、ぱっと顔を輝かせた。


「それよりさ! まだ寝るには早いよね!」


「え? まあ、そうだけど」


「せっかくのお泊まりなんだから、もっと遊ぼうよ!」


「ふふっ。私、伊織のお家以外でお泊まりするのって初めてなんだ。だから、すっごく楽しい!」


月姫は嬉しそうに笑った。


「へー、そうなんだ!」


「うんっ!」


「それでね、あっきー!」


伊織ちゃんが、何かを思いついたように俺の顔をのぞき込んできた。


「昨日みたいに、またお菓子買いに行こうよ!」


「またお菓子? まあ、いいけど」


「やったぁ!」


「わぁ、私も行きたい! ポテチもチョコも買おうよ!」


「いいね! あとアイスも!」


「えへへ、いっぱい買っちゃおう!」


……本当に元気だな、二人とも。


さっきまでお風呂ではしゃいでいたのに、まだまだ遊び足りないらしい。


「じゃあ、準備して行くか」


「うんっ!」


二人はさっそく出かける準備を始めた。


しばらくして、俺たちは玄関に集まった。


伊織ちゃんも月姫も、かわいらしいルームウェア姿だ。


……二人とも、普通にかわいいな。


ただ、夜は少し冷え込んでいる。


「その格好だと寒いだろ。ちょっと待ってて」


俺は自分の部屋からジャケットとパーカーを持ってきた。


「伊織ちゃんはジャケットな。月姫はパーカーでいい?」


「私、これ〜!」


伊織ちゃんは嬉しそうにジャケットを受け取った。


月姫もパーカーを受け取り、さっそく袖を通す。


「ありがとう、あっくん!」


「どういたしまして。寒かったらちゃんと言えよ」


二人とも、俺の服を着ているだけなのに妙に似合っている。


……まあ、二人が寒くないならいいか。


ジャケットを羽織った伊織ちゃんが、ふと思い出したように口を開いた。


「このジャケットね! 前にあっきーの上着を買いに行ったとき、一緒に選んだんだよ!」


「えっ、そうなの!? あっくんの上着を一緒に選びに行ったの?」


月姫が驚いたように目を丸くする。


「うん! あっきーが上着を買うっていうから、私も一緒に行ったんだ!」


「へえ〜、そうだったんだ……!」


月姫は俺のジャケットを着ている伊織ちゃんを見つめた。


「……いいなぁ。私も、あっくんとお買い物に行ってみたいな」


小さくつぶやく月姫。


「ん? 何か言った?」


「ううん! なんでもないよ!」


月姫は慌てて笑顔を見せた。


「それでね、そのときになっちとニコにも会ったんだよ!」


伊織ちゃんが続けて話すと、月姫はさらに目を輝かせた。


「えっ!? なっちとニコに会ったんだ!」


「うん! 偶然会ってね、四人で一緒に遊んだんだ!」


「わぁ〜! いいなぁ! 私も一緒に遊びたかった!」


月姫は本当に残念そうな顔をした。


「またみんなで遊べばいいだろ」


俺がそう言うと、月姫はぱっと笑顔になった。


「うんっ! 絶対だよ、あっくん!」


「はいはい。じゃあ、そろそろ行くぞ」


「はーい!」


こうして俺たちは、夜のお菓子買い出しに出発した。


夜道を三人で歩いていると、伊織ちゃんがきょろきょろと周囲を見回し始めた。


「……ねえ、あっきー。昨日も聞いたけど、この辺出ないよね?」


「何が!?」


月姫が不思議そうに尋ねる。


「お、お化けとか? 霊的なやつだよ!」


……ほんと昨日から失礼なやつ………


「街灯は少ないけど、昔から住んでる俺からすりゃ普通そのものだ!」


「ふふっ、伊織ったら、まだ気にしてるんだ!」


月姫は楽しそうに笑った。


「だ、だって暗いんだもん……! 月姫は怖くないの?」


「私はあっくんも伊織もいるから全然!」


月姫はにっこり笑って、俺と伊織ちゃんの顔を交互に見た。


「……月姫は余裕だね」


「ふふっ!」


「ほら、二人とも。ちゃんと前見て歩けよ。すぐ着くから」


俺が声をかけると、伊織ちゃんは俺の近くに寄り、月姫は楽しそうに隣を歩いた。


目的地は、昨日も行ったスーパーだ。


コンビニよりもお菓子の種類が多いから、二人もきっと満足するだろう。


……まあ、買いすぎないようにだけ気をつけないとな。


そんなことを考えているうちに、俺たちはスーパーへと到着した。


店内に入るなり、伊織ちゃんと月姫はさっそくお菓子売り場へ向かっていった。


「月姫、これおいしいんだよ!」


「えっ、そうなの? じゃあ、これも買おうかな!」


二人は楽しそうに商品を見比べている。


俺は少し離れたところから、その様子を眺めていた。


……あれ、もうカゴの中が結構いっぱいじゃないか?


「おーい、二人とも。そんなに買うのか?」


「だって、おいしそうなのがいっぱいあるんだもん!」


伊織ちゃんが笑顔で答える。


「そうそう! あっくんも一緒に食べようね!」


月姫も嬉しそうにカゴの中のお菓子を見せてきた。


「……まあ、ほどほどにな」


俺が苦笑していると、突然、後ろから肩を叩かれた。


「あっきー!」


「ん? ……ユタカ!?」


振り返ると、そこには地元の友達であるユタカが立っていた。


「え? ユタカもお菓子買いにきたの?」


「そうそう。美都が泊まりに来てるからさ。一緒に食べるお菓子でも買おうと思って!」


「へえ、そうなんだ」


ユタカの後ろから、ひょこっと女の子が顔を出した。


「あ、 あっきーくん、こんばんわ!」


「こんばんわ!ユタカの家泊まってんだ?」


「う、うんっ!週末はほとんどお邪魔してる」


美都ちゃんはにこっと笑って返事をした。


すると、彼女は俺の後ろにいる二人に気づき、少し緊張した様子で近づいてきた。


「つ、月姫ちゃん、伊織ちゃんも、こんばんわ!」


「美都ちゃん!!」


月姫は美都ちゃんを見つけるなり、ぱっと笑顔になって駆け寄った。


そして、そのままぎゅっと抱きついた。


「わあっ!?つ、月姫ちゃん!?」


美都ちゃんは驚いて目を丸くした。


「えへへ! 美都ちゃんに会えて嬉しい!」


「も、もう、月姫ちゃんったら……!」


美都ちゃんは少し照れたように頬を赤くしながらも、月姫を優しく受け止めていた。


その様子を見て、伊織ちゃんが不思議そうに首をかしげる。


「……月姫、すっごく嬉しそうだね」


「だって大好きな先輩の美都ちゃんに会えたんだもん!」


月姫はそう言って、また美都ちゃんの腕にぎゅっと抱きついた。


「も、もう、月姫ちゃん大袈裟だよ……!」


困ったように笑いながらも、美都ちゃんは嫌がることなく月姫を受け止めていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。