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ヒールレス・ヒーロー  作者: 三月 ニナ
エピローグ
15/15

エピローグ 『俺達の戦いはこれからだ(仮)』



 忘れていない。

 そのことを再確認して、輝義は本当の覚醒を果たす。

 そして同時に、あることも思い出す。


「アレス……アイツ、もしかして」


 しかし、それについての言及は後だ。今は何よりも、於菟というヒーローに関して。


「絶対許さねえ……つっても、俺に何ができるわけでもねえけど」


 今は、そう。

 いかにして英雄を再臨させるかだ。

 輝義が掲げる『英雄再臨計画』は、序章にすら達していなかった。

 そのことを教えてくれた中年オヤジ――『剣神』葛は、もういない。


 ここからは輝義一人だ。


 なんだかんだであの中年オヤジには支えられていた。自分が支えていると、そう驕っていたが、実際は彼の存在に支えられていたのは自分だったのだ。

 彼の存在があったから、こうして輝義は生きてこられた。ある意味では反面教師として。


 それももう終わり。

 彼は言った、はずだ。


また(ヽヽ)――一先ずはここでお別れだ。ああ、クソ、待ってろよ脱ニートヒーロー……!」


 葛は腑抜けていた。それは間違いない。しかし大きな見誤りもあった。

 彼は、心底からのヒーローだ。――於菟とは違う。


 さて、これからどうしようか。

 夢を見直した。計画は始まってすらいない。明確な目的がわからなくなって、途方に暮れた。

 そんな輝義に、やることがあるとすれば……それはなんだろうか。


「――やべえ、わかんねえや」


 それでいい。

 もう一度、輝義はゼロから始めねばならぬのだ。なのに、最初からやることがわかっているなんておかしい。

 今はそれでいい。


「もう一度、もう一度……ここからだ。ここから、俺は『英雄再臨計画』を始める。本当の序章はここからだ! ……なんて」


 もう力が入らない。

 ようやく力んでいた全てが抜け落ちた。なぜこんなにも清々しいのか、輝義自身にもわからない。何もわからないままだ。


 いつか、それがわかる日が来ますように。


 ――『英雄再臨計画』、その序章が、ここから始まるのだ。



 ==================



 漆空は見た。彼のボロボロになった服、そのポケットから紙切れが覗いている。

 見間違うはずもない。アレは――アレは――、


「ふざけんな……騙してたのかよ……ッ!」


 それがわかっても漆空は動けない。

 見てしまった。萎縮してしまった。

 本物のヒーローは――強大だった。


「くそ、クソ……動けよ、震えんなよッ!」


 路地裏に隠れる漆空は、彼と、『剣神』を名乗る男が戦うのを見てしまった。……いや、アレはもう戦いとは呼べない。一方的な蹂躙だ。

 それをしたヒーローも常軌を逸している。しかし、それを受けて清々しい顔をしているあの男も理解の外にある。


 彼らはなんなのだ。


 ……間違いない、人外だ。


 それでも、自分はその人外達と戦わねばならない。

 だというのに――脚は震え、まともに立つことすらできない。いつまでも恐怖が拭えない。


「ふざけんな、ふざけんな、ふざけんな……ッ! 僕は、アイツらを……クソ、クソォ――ッッッ!!」


 少年の叫びは響かない。低くくぐもり、誰にも届かない。

 少年が追い求む彼女にも届かない。


 ああ、なんてちっぽけで、儚い覚悟。

 ああ、なんて、なんて――


 ――弱いのか。


 ==================



 悟る。

 動き出すのだろう。これから先、彼が。

 未来に姿の映らない彼が、これから世界を動かすのだろう。


「……なんて、脆い」


 だが、その脆さが必要なのだ。今の世には……そんな、崩れやすい覚悟が必要なのだ。


 その先に、視ようとしても視れないその先に、どんな未来が待っていようと。


「……英雄は再臨する。どんな犠牲を払っても、その未来だけは覆らない」


 白髪の女は一人呟く。

 ここから先、想定外は当たり前だ。


 ――忌々しい平和は、終わる。



 終わります。とっても唐突ですみません。

 この『すみません』というのは本当にそのままの意味で、『私の気が済みません』と、そういう意味です。

 というのも、この作品プロットが存在しないため穴だらけです。それこそキャラ設定くらいしかない超特急なものでした。

 なので、勝手で悪いのですが、これをプロトタイプ(?)のようなものにしてもう一度書き直します。


 本当に申し訳ありません。それではまた……具体的には、私がPC買う時まで。

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