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行方をくらませていた勇者の真実  作者: 安藤昌益


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相手の思惑

「元勇者の恨みは、なくなったということはないのですよ。それは、女の身だから分かるのですよ。女である王妃様にも、よくお分かりになるでしょう?しかも、あのような化け物になっている女ですよ。」

 ゆったりした、白を基調としたドレスに身をくるんだ女の使者の言葉に、ペラノ王国王妃は、現王妃は微かに震えながら、頷いていた。

 彼女は、既に、

「過去のことは既に忘れ、現在の幸せに浸って、恨みを果たす、復讐するなどは頭の片隅にもありません。」

との元聖女の言葉を、夫のペラノ王国国王とともに受け取っていた。

 しかし、使者の女の言葉には抗えないものを感じていた。彼女から国王を奪い、追放し、追っ手を向けたのは王妃だったからだ。王妃は、使者の手を取ろうと、震えながら、手を差し伸べた。

「王妃様!お待ち下さい!」

 声の方向には、その元聖女がいた。

「私は、恨みなどしておりません!陛下も、王妃様も、私も、皆、騙されていただけだと分かっています。全ては、この女の背後にいる者の企みだったのです!」

 彼女は、武装姿で、勇者の如き聖女、鮮血の聖女という別名を彷彿させる出で立ちだった。彼女の傍らには、仲間達とおぼしき男女がやはり武装姿で身構えていた。

「このような売女に騙されてはなりません!皆、やっておしまい!」

 王妃の前で激しい戦いが始まった。美しい、理知的に見えた女の顔が、次第に、聖女達に押され始めると、異様な顔に変わってゆき、聖女に叩き伏せられると、醜い猿のように変わった。 

 ただただ震える王妃の前に、聖女は跪き、

「政略結婚ではない、真の愛を求められた陛下は純情でした。それに、お答えになられた王妃様は、当然なことでした。あのことは、ねじ曲げられ、互に誤解と不信感、恨みを持たされました。私は欺かれ、お二人を恨み、化け物に化かされ、身を委ねたりしてしまいました。しかし、回り道をして、助けられ、愛する者を見つけ、幸せになっております。お二人のことを妬むようなことはありません。ともに、この輩と戦いましょう!」

 王妃は、最早、震えながら頷くしかなかった。あらためて醜い姿を、晒した女の死体を見て、ゴクンと唾を飲み込んだ。“こいつらの方が、恐ろしい。”

「たいしたことではありません。かの偽勇者の言葉に踊らされている者は、一部の国のことに過ぎません。既に、平和を愛する、聖帝である陛下のもとに、各国の民がこぞって、集まってきています。」

 大広間で、文武百官を後ろに従えて、長身で、理知的な雰囲気を漂わせている、整った顔立ちの男は、玉座の男に報告していた、その頃。

 その言葉通り、

「殿下!ここは私が!」

と踏みとどまろうとする女騎士の手を引き、

「2人で逃げるんだ!」

と、王太子が逃げている国があった。彼を、国、民が追放し、処刑しようといたる所で、追いかけてきていたのだ。

 同様に、

「お前だけでも逃げろ!」

「嫌です。お兄様と一緒に。」

と背を預けながら、戦っている王子と妹王女がいた。

「だ、大丈夫?私を置いて逃げて…。」

「姉さん。、なにを言っているんだ。一緒逃げるんだ!」

 山道を、肩を貸し合いながら逃げる姉王女と弟王子がいた。

“何で、こうなったんだ?”“どうして、皆が突然、陛下に反旗を掲げるなんて…。”“何?何を私達がしたと言うの?突然?”“妹まで…なんでだ?”“姉上をなんで?”彼らは、皆、事態がわからなかった。

「まにあってよかった。」

との声が、聞こえてきた時ですら、事態を把握できなかった、自分達が助かったということすら。


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