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34*瞳の色の秘密

 その夜。


 アンナが湯あみを済ませ寝室へ行くと兄の番を変わって貰ったバージルがいつものようにカウチに座りワインを飲んでいました。

 定位置であるバージルの膝に座り明日の食事会でデオドールに解毒剤を入れた食事を出す旨を伝えます。


「王女らは食事会で何か策を練っていると思うか?」

「ええ、その可能性はあります。魔女だと思われる侍女のリンダの動向にも注意が必要ですね」

「魔女まで連れて来るとはよっぽど嫁ぐのが嫌なんだろうな」

「そうですね、フェリーシア王女より二十一才も年上で側室も五人いる王の後妻だだとか」

「そんなに年が離れているのか」

「初日の晩餐の時に陛下が側室は持たず王妃様一筋と仰られていたでしょう?羨ましいと思われたと思いますよ。それとサロンで私に『お好きな方と一緒になれるなんて羨ましいわ』と行った時、とても寂しそうなお顔をしていましたもの」

「王家の定めと云え、やはり辛いよな」

「そうですね・・・」

「アンナが聖女で魔力持ちで良かったよ。そうでなければ私たちは結ばれないだろうからね」

「はい。側室を持たれる事も有りませんしね」

 魔力酔いの所為で側室を持つこともアンナ以外の誰かをも寵愛する事もないであろうとアンナは思わずクスッと笑ってしまう。


「お互いに魔力が無かったとしてもアンナに一目惚れはしていたよ。こんなに可愛い子を誰にも渡したくないと思ったからね。父上同様私はアンナ一筋だよ

 兄上はあんなだから次期国王として側室を持つかもしれないけど」


 王室とはそう云うものなのだ。妃を迎えても跡継ぎの男子が産まれなかったり、病気で死亡してしまう可能性を考え側室を迎え産ませるのだ。でもそれが原因で権力争いや王位継承争いも起こったりする。


「我が国の場合はたまたま母上が男子二人を産んでくれた。当然兄が次期国王になるけど、もし兄に男子が授からなければ、側室を迎えるか私たちの子供が王位継承者となるかもしれない」


「私とジル様の子供・・・」

「そうだよ、アンナ」

「そんな責任も考えなくてはいけないんですね」

「ああ、だけどまぁ、兄上に頑張ってもらえば済む事だしね(笑)」

「ふっ、デオドール様なら問題ないですね」

「王位継承は別として私も頑張るつもりだからね」

 バージルはアンナの頬を撫でながら憂いに満ちた瞳で見つめてきました。

「頑張るって何をですか?」

「決まってるじゃないか、僕らの愛の結晶の為に頑張るんだよ。あと二月でアンナも成人を迎える。楽しみだよ」

 そう言いながらアンナの目じりに口づけるとバージルの瞳が一瞬金色に輝きました。


「バ、バージル様、瞳の色が変わりました。今一瞬金色に光りました!」

 アンナはバージルの瞳を覗き込み確認します。


「以前より藍色が薄くなっていますよね?何かあったのですか?」

「アンナ、僕の瞳の色は元々金色だったんだ。ある日、十五の時だったと思う。魔力が強くなり始めるのと同時に色を失いそれから藍色に変わったんだ」

「そんな事が起きるなんて信じられない」

 食い入るように瞳を見つめられバージルは照れてしまう。

「でもね、アンナと知り合いこうして触れあっている内に変化が起きて来たんだ。アンナから流れてくる魔力の所為だと思う」

「私の魔力が・・・」

「そうだよ、僕の魔力の暴走を抑えてくれると前に言っただろう?」

「はい」

「安定した状態でこうして・・・」

 バージルはアンナに口づけをする。

「ジル様、話の途中で何をしてるんですか!」

 バージルを押し離し眉間に皺を寄せるアンナにバージルは笑いながら

「いいから、もう一度口づけをするからその後僕の目を見てごらん」

 と顔を近づけてきました。

「んっ」

 優しく口づけをされ、バージルの目を見ると

「えっ!」

 バージルの瞳がまた金色に輝いたのです。

「ふふ、判ったかい?君と口づけを交わすようになってから瞳の色が元に戻り始めたんだ。私もつい最近気付いて驚いた」

「そ、そんな事があるんでしょうか?」

「もう一度試して見るかい?」


「あっ、いいえ。大丈夫です・・・・」


 私の魔力が彼の中に流れ魔力を安定させている。その上口づけを交わすことにより変わってしまった瞳の色が元に戻り始めたなんて嘘みたいな話だわ。


「信じられないみたいだけど本当の事だよ。アンナは気付かなかったかもしれないけどダニエルは分かっていたからね」

「ダニエルさんが?」

「うん、アンナと会っていて抱きしめるだけで別れて来た時は何も言わないのに、口づけを交わしてきた時は、ニヤニヤと私の瞳を見て来るからね」


「うっ。。。」

 それってめくちゃくちゃ恥ずかしいやつじゃない!!!


「この前みたいな長い口づけをした後は金から藍に戻るまでの時間も長かった。このままいけば結婚式の時には元の色に戻るかもしれない」


「凄いです!深い藍色の瞳も素敵でしたけど金色なんてもっと素敵!」


 アンナがプラチナピンクの瞳を輝かせてバージルに抱き付くと彼もアンナを抱きしめながら耳元で甘く囁きます。


「元の色に戻すためににもたくさん口づけをしようね」


「えっ?」


 わたし何か間違ってしまいました?


 彼女がそう思うを遮るように彼女の唇を奪っていくバージルでした。




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