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※14◆二人だけの誕生日

 久しぶりにお仕事が早く終わり二人の住まいで夕飯を楽しんでいる。

 実は今日がジュリアンナの十九才の誕生日なのです。

 王家としては数日後に祝いの晩餐が予定されていますが、やはり当日に祝いたいと前日まで激務で公務と執務をこなし今日は夕方から自由な時間の権利を得たのでした。


「バージルこうよ、こう!」


 何やらアンナが両手で何かを投げたり受けたりしながらパンパンと音を立てている。


「結構難しいと思うんだが」


 アンナの隣にはお揃いのエプロンをしてシャツの腕をまくり四苦八苦している王子殿下。

 場所はベイベリー邸二階のアンナマイキッチン。

 十畳ほどのアイランドキッチンの調理台の前で仲良く二人並んでいた。


「私の為にハンバーグを作りたいと言ったのはバージルなんだからしっかりね」


 先ほどのパンパンという音は捏ねた材料をまとめた後に空気を抜いている最中の音であった。

 この後は成型して焼くだけ。


「えっと真ん中を少しへこませて置くんだよな」

 フライパンにタネを置き指で中心を少し押している。

 肉の焼けるいい匂いがしてきた。

「はい片面に焼き色が付いたらひっくり返してね」

「うん」


「両面焼けたぞ。でもまだ中は完全に火が通ってないじゃないか?」

「大丈夫よ。このソースの中で煮込むんだから」


 そう、今夜は煮込みハンバーグです。


 テーブルのセッティングは既に完了している。


 サラダにパンそして煮込みハンバーグというメニューで二人きりの誕生日を祝います。

 肉料理には赤だがアンナが赤ワインが苦手なので白ワインで乾杯をする。



「アンナ誕生日おめでとう。愛してるよ」

「ありがとうバージル。手作りのお料理で祝って貰えて嬉しいわ」


 バージルの作ったハンバーグはどう見てもいびつだが味は保証付きだ。

 何せアンナの指示通りの調味料を入れているのですから。


「ん~、美味しい♪」

 

「そうか、良かった。はい、プレゼント」

 

 バージルは大小二つのラッピングされた箱を差し出しました。

「開けても?」

「勿論」


 小さな箱にはルビーの指輪が入っていた。

「まぁ可愛い♪」

「今年やっとベイベリー(ヤマモモ)が実を付けたからその記念に実の色を選んだんだ」


 アンナはこの邸に植えるためにバージルが何故ヤマモモの木を選んだかという理由をダニエルが教えてくれたくれた時の事を思い出します。


 たまたまヤマモモ酒が気に入り王庭の果樹園に植えようと購入を決めた。その時植木屋さんからヤマモモの花言葉を聞いた。

 それを聞いた彼は王庭の果樹園ではなく自分たちの住まいに植える事にしたのだと。


 Bayberry・ヤマモモの花言葉【た・だ・一・人・を・愛・す・】


 その事を思い出しヤマモモに見立てたルビーの指輪を見てじーんと胸が熱くなったのは言うまでもない事。


「ありがとう嬉しいわ、大事にします。

 実を摘んだらバージルの好きなヤマモモ酒を作りましょうね。

 で、こっちは何かしら?」


 大きな箱のリボンを解いて蓋を開けて中を見た瞬間直ぐに蓋をして見なかったことにしようと決めた。


「どうした?広げて見ればいいのに」


 バージルがそう言って箱をまた開けようとする。


「大丈夫です。もう見ました!」


 彼は金色の目をきらりと光らせニヤっと少し厭らしい顔をしている。

 アンナは箱を抱えて溜息を吐いた。


「今夜着てくれると嬉しいんだけど」


「あっ、これはちょっと今夜は・・・」


「どうして?」


「どうしてって・・・そうだ!バージルのお誕生日ということにしましょう」

 

 アンナの慌てぶりを見てククッと笑う。


「まぁどうせ脱がしてしまうのだから何時でも良いけどね」


「うっ。。。」


 箱の中身はスケスケのナイトドレスと生地が小さ目の紐パンだった。

 それを見て今夜もバージルから逃れないとアンナは諦めた。


 魔力が強い男は精力も強い反面子供が出来難いと言われている。

 これだけ毎晩のように愛されていると云うのに出来ないのはその所為もあるのだろう。相手のアンナも同じくらい位、いやそれ以上の魔力を持っているのだから二人の間に子が出来るのはいつの事だか分からない。


 早く赤ちゃんが出来て欲しい。自分の手で子育てがしたいとの願いと同時に妊娠すれば少し夜の方もお休みできるのにと思うアンナでありました。



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