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※12◇お帰りドロップ

 ナターシャがはっきりとバージルを諦める宣言をしてから気兼ねなく以前の様にアンナの執務室へやって来るようになったバージル。

 今日もお茶をしながら【換気扇】について報告をアンナから聞いております。


「試作品が好評で早く商品化をして欲しいとオレガノ商会の方に問い合わせがかなり来ていると父から報告が来ているの。予定より早いけど生産ラインを拡張した方が良いかしら」

「そうだな、魔石の加工と準備が整えば国外向けにも宣伝したいところだしな」

「オレガノ商会の方は国外向けのルートを確立しているので生産ラインの責任者と話し合って貰いましょう」

「うん、任せるよ」

「はい。それで次はこの件なんだけど」

「ん?どれどれ」


 ナターシャは不思議な光景を見ていた。

 至って真面目な話をしている二人なのだけれど・・・

 執務机の重厚な椅子にはバージルが座りその膝の上にアンナを乗せた状態で時々アンナの横顔を後ろから見て優しく微笑みながら報告を聞いているのだ。


「ビオラさん・・・」

「あっ、気にしないで下さい。殿下はここへ来るといつもこうだから。今までナターシャ様がいらしたので遠慮されていただけです」

「そっ、そうなのね(汗)」

 そう聞けば一緒に来ている側近のダニエルも平然と応接セットのソファーで紅茶を飲んでいます。

「アンナ様が十五の時から変わってませんよ。私とダニエルは全く気にしていません」

「はぁ、それはわたくしにも慣れろという事ですね」

「ええ。勿論他の方がいらしたらちゃんとなさいますのでご安心ください」

「そうですか・・・」


『うわぁ、どう見ても殿下の方が聖女マリー様が仰ったようにメロメロぞっこんですわね。

 諦めて正解でしたわ』

 自分の入れた紅茶を飲みながら遠い目をするナターシャでした。



 一通り報告が終わるといきなりアンナがバージルの膝からヒョイと降りにんまりと三人を見回します。

「ひと段落したらナターシャの歓迎パーティーをするわよ。丁度来週で一か月になるものね」


 その一言でアンナの執務室は活気づきます。

「じゃぁ、バージルのスケジュール調整だな!」

 ダニエルの言葉にビオラは

「では、メニューが決まったら買い物の手配を」

「今回は私も買い物に同行したいな」

 バージルまでもがノリノリで答えます。


「えっ、もしかしてわたくしの歓迎パーティーですか?」


「「「もちろん!!!」」」


 恐る恐る聞くナターシャに声を揃え笑顔を向ける殿下を含めた四人。


 王家の方がこんなノリで良いんでしょうかと戸惑う侯爵令嬢。


 はい、これがアンナファミリーの通常運転で御座いますよね。



◆◆◆


「お帰りなさいませ」

 目と鼻の先のベイベリー邸へ持ったアンナ。

「ただいま、フリオス。変わった事は?」

「はい。ドロップがお戻りになられています」

「ホントに!どこにいるの?」

「はい、お庭でフォルガといるのを見掛け奥様の部屋向かったメイドのセリカが申しておりました。

「きゃぁ~♪ありがとう」

「おっ、奥様・・・」


 アンナはスカートをつまみ上げると階段を駆け上がり自室へと駆けていった。


「ドロップ~」

 扉を開くとベッドの上でドロップがフォルガに寄り添い首だけ持ち上げます」

「アンナちゃんお帰りなさい」

「うっ、もう!寂しかったわよー」

 ドロップを抱き上げスリスリするアンナに「えへへ」と照れ臭そうにする白猫ドロップ。


 白猫ドロップは『水の精霊』が変化している姿です。

 ビオラの精霊仲間でアンナは二年前にピクニック先で初めて出会った。

 ドロップと名付けられましたが、アンナと契約はしていません。それでもビオラが楽しそうにしているのを見てアンナとバージルの傍に居たいと暫く生活を共にしていたのです。

 ドルチェ帝国に遠征に出掛けた際、アンナの召喚獣役を買って出て活躍し、アデライト王国に戻った後、ちょっと飽きたから水の中に戻るわと姿を消していたのでした。


「みんな元気にしているみたいね。フォルちゃんから聞いたわ。いつの間にかこんな家を建てて王宮から移ってるなんて驚いちゃったじゃない」

 大きなネコ目でウィンクしてニッと笑う白子猫ドロップ。

「ええ、みんな元気よ。良いでしょうベイベリー邸。私の夢が叶ったの」


 そこへビオラが荷物を持って入室してきました。


「あら、『水の』お帰り」

「ただいま、『光の』」

 二人の精霊の会話はこれだけでした。


「ドロップ、ちょっと待っててね。お持ち帰りの仕事を片付けちゃうから」

 ビオラが持ち帰った書類を受け取り机で目を通すアンナ。


『変わらず金色のオーラで包まれているわね』

『アタシの愛し子アンナですもの』

『ふふ、相変わらずアンナ命ねビオラは』

 ドロップとビオラは精霊通し念話で会話しています。

『バージルのオーラはどうかしら?強さを増しているか楽しみだわ』

『オーラはアタシには見えないからどうかしらね。バージルは銀色だっけ?』

『ええそうよ』

 ドロップはビオラに抱かれながらバージルのオーラが強くなっているのを願っていたのでした。




 ナターシャのバージル攻略をもっと面白おかしくと考えていましたが無駄に長くなってしまいそうで辞めました。

 元々ドルチェでほんのちょっと登場したキャラですのであしからず。

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