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―――007―――

本日7話目です。

読み飛ばしにご注意ください。

 それにしても、まさかあの時はこうなるとは思ってもみなかった。

 始まりは夏休み前の学校だった。

 

 

 

「兄さん、兄さん。これ参加してみない?」

 

 そう聞いてくる真白が手に持っているのは1枚の紙。

 

「仮想体験装置?」

 

「そう。仮想空間に自分が入り込める機械」

 

 仮想空間に入り込む……夢が広がるな。

 

「興味を惹かれるね。詳細を見せてくれる?」

 

「うん。これを」

 

 そう言い手に持った紙を手渡してくる。

 何々、将来的に様々なものに使用される可能性が高い仮想体験装置を多人数参加型ゲームの形式で体験してみよう。

 仮想体験装置でのゲームでは今までのモニター越しのゲームと違い、実際に感じ自分で動いてプレイしていくものなので、現実にかなり近い体験を行うことができます。

 さらに運動が苦手な方でも、魔法等の他の要素もあるので安心してご参加ください。

 

 ゲーム世界に入り込める機械と考えればいいのかな?

 よく今の技術力で作れたな。

 他はまだコントローラーを使ってゲームをしているのに……。

 うん、流石に怪しいよね?

 まあとりあえず最後まで読んでみよう。

 

 期間は夏休み3日目から夏休み終了3日前まで。

 開催場所の都合上、期間中は泊りがけで家に帰ることはできない。

 ますます怪しいな。

 

 それに地図を見る限り、孤島だよね?

 こんな場所に島があったかな?

 いや、最近の異常現象を考えれば新しくできたとしても不思議では無い。

 まあ僕が知らなかっただけで、昔からあったのかもしれない。

 

 でも、そうだとして何故そんな場所で?

 まあ、秘密保持の為にその島でと考えれば僕程度が島を知らないのは納得できる……のかな?

 それにこんな田舎の学校で人を募る必要は無いはず。

 逆に田舎だからいいのかな?

 まあ、最後まで読んでいこう。

 

 参加者は職員室の七海まで。

 

 学校公認でした。

 でも、七海さんが担当なのか。

 なら少し安心かな?

 まあ、怪しい事に変わりはないのだけど。

 

「真白、最後まで読んだ?」

 

「読んだ。国が主催だから問題無い」

 

「その情報書いてないんだけど」

 

「七海さんから聞いた」

 

「そういう大事な事は書いといて欲しい」

 

「それは聞いた。そしたら今新しいパンフを作ってるって」

 

 七海さん、まず回収しよう。

 生徒思いのいい先生なんだけど、たまにドジなのが……。

 いや、それすらも味方に付ける先生だ。

 まあ、僕と真白にとっては近所のお姉さんだけどね。

 

「まあ、真白が参加するなら僕も参加しよう。陽介と美月はどうするって?」

 

「まだ聞いてない」

 

「じゃあ聞いておくよ。いい話を持ってきてくれてありがとう、真白」

 

「いい。私も兄さんが参加してくれて嬉しい」

 

「透~。参加するよな?」

 

 噂をすれば。

 

「仮想体験装置なら参加するけど」

 

「そうだよな。ゲーム好きな透は参加すると思ったよ」

 

「ゲーム好きはお互い様だろ? それよりも陽介は参加するのか?」

 

「ひゃ!」

 

「私と陽介も勿論参加するわよ」

 

「まずその手を止めろ。そしてどこから出てきた?」

 

「ほら、真白に気付かれないようにこっそりとさ」

 

「美月、正座」

 

「そんなに怒らなくても」

 

「美月?」

 

「3分でどうにか……」

 

「5分」

 

「4分で」

 

「5分」

 

「……分かりました」

 

 正座させられるのが分かっていても、美月は何故か真白をくすぐる。

 ありがたいのだけど、方法を変えてみてはどうだろうか?

 

「じゃあ、皆参加ね」

 

「そうだな。それじゃあ透、勝負といこうか?」

 

「負けたいのなら仕方ない。受けよう」

 

「勝率は半々なんだが!?」

 

 確かに現在の勝率は50%。

 そして仮想体験なので現実と同じ条件だ。

 そうなれば運動系で負けているので勝てる見込みは低い。

 しかし追加要素の魔法等がある。

 それ次第ではいい勝負ができるかな?

 

「冗談だよ。今回は負けそうだな」

 

「そうか? 追加要素を考えるとこっちが負けそうなんだが?」

 

「まあ、実際に終わるまでは分からないか」

 

「そうだな」

 

「陽介~」

 

「おっと。呼ばれたから行ってくるぜ。また後でな」

 

「行ってらっしゃい」

 

「美月~」

 

「あら、私も呼ばれたから行ってくるわね。また後でね」

 

 相変わらず人気者の2人だな。

 まあ明るい性格に面倒見が良い。

 その上容姿端麗と揃っていれば人気者になるだろう。

 

 そんな2人が僕達とよく遊ぶのは幼馴染だからだ。

 もし、この学校で初めて会ったならここまでは仲良くなれなかっただろう。

 僕には勿体ないくらいの親友達だよ。

 

 

 

「七海さ……七海先生。前のチラシを先に回収した方が良かったのではないでしょうか?」

 

「透君。もう少し早く来てくれると嬉しかったな」

 

「今からでも遅くは……回収してきては?」

 

「遅いのね。そうよね……回収してくるからちょっと待っててね」

 

 その言葉と共に出入り口へと走る七海さん。

 こけないでね?

 

 

 

 「お待たせ。助かったわ。変更内容は後で全校放送で伝えるから安心してね」

 

「国が主催の部分ですか?」

 

「そうよ。どうりで参加希望者が少ないと思ったわ。国が主催の部分が無ければ怪しすぎて誰も参加しようとは思わないわよね」

 

「変更前の参加希望者は3人なのですか?」

 

「ゲーム好きの3人ね。貴方が質問に来ないのが意外だったわ」

 

「まだ見つけていなかったのですよ。先程真白に誘われて初めて気が付きました」

 

「そうだったのね。これで謎が1つ解けたわ。それで、参加するのね?」

 

「参加します」

 

「はい、参加申請を受理します。そうだ、真白ちゃんにも渡したけどこれをご両親に見せて許可を貰って来て頂戴」

 

「分かりました。泊りがけだから許可が必要なのですか?」

 

「それ以外もあるわね。一応未知の技術に当たるでしょ? 安全は確認しているけど、それでも許可は必要という訳ね」

 

「疑うわけではありませんが、それだけですか?」

 

「少なくとも私が知っているのはそこまでよ。国が主催なのは確認したから安心していいわ」

 

 普段はドジなところも見える七海さんだけど、生徒を危険に晒すことは無い。

 そう言いきれる程、生徒の事を考えてくれている。

 そしてそこにドジは介在しない。

 

「ありがとうございます。僕だけなら良かったのですけどね」

 

「君より先だったから仕方ないわ。それに危険があれば私は通さないわよ」

 

「知っていますよ。いつもありがとうございます」

 

「私は教師だからね。当然よ!」

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