―――029―――
本日4話目です。
読み飛ばしにご注意ください。
『…おる、起きてる?』
ブラン?
どうしたの?
『既に寝ていたのね。起こしてしまってごめんなさい』
別に良いよ。
『少し、お願いがあるの』
何?
『隣で眠らせてほしいの。実は魔力の回復が追い付かないのよ』
分かった。
そしてごめんね。
多分あの転移にかなりの魔力を使ったからだよね?
『そもそも私自身が普通のサポート妖精よりも消費する魔力量が多いのよ。総量、回復量は多いのだけど、それと同時に消費量がとても多いの』
近くで寝ていれば回復量が上がるの?
『基本的に近い程、さらに実体化している時の方が回復量は多いわね』
そうだったのか。
気付かなくてごめんね。
ブランの魔力が多いのは知っていたけど、総量が分からなかったんだ。
だから常に満タンに見えていた。
いいよ、いつでも近くで寝ればいい。
『あの子には許可を取ってあるから安心してね』
別に許可は要らないと思うけど?
あれの理由は僕にあったと思うから。
それに真白と僕の間に愛情は無いから無許可でも問題は無かったと思うよ。
『それでも、あの子に許可を貰っておきたかったの』
……君が僕のサポート妖精で良かったと思うよ。
ごめんね。
さて、寝袋に移動しよう。
ブランは布団を使ってね。
それが条件だよ。
『分かったわ。私は布団を使うわね。ありがとう、透』
布団から出て、部屋の隅にある寝袋を布団の傍まで移動させ、寝袋の中へと入る。
それではブラン、おやすみ。
「ええ、おやすみなさい」
そういえば、何故ブランはあの時反論しなかったのだろうか?
魔力消費量が普通のサポート妖精より多く、回復が追い付かないと言えば少なくとも再検討はしてくれたはずだ。
そして真白ならば場所を変更してくれたはず。
……まあ何か理由があったのだろう。
無理に聞く必要は無いな。
朝です。
魔力は……予想通り全回復している。
さて、起きよう。
布団から出てみると、ブランは既に起きたようで姿が見えない。
魔力は回復できたのだろうか?
とりあえず広間へ行こうかな。
「おはよう、真白、ブラン」
「おはよう、兄さん」
「おはよう、透」
今日の朝食はベーコンエッグ。
美味しそうだ。
「ブラン、魔力は回復できた?」
「ええ。おかげさまでかなり回復できたわ。ありがとうね、透」
「それは良かった。必用であればいつでも来ればいいからね」
「ありがとう」
それにしても、何故こうも被るのか。
真白は白のリボンを使用して、髪を頭の左側で纏めている。
ブランは黒のリボンを使用して、髪を頭の右側で纏めている。
2人とも同じ、サイドテールだ。
まあ今はそれよりもベーコンエッグだ。
温かいうちに食べてしまおう。
美味しかったよ。
さて、今日は何をしようか。
町から10キロの範囲内には蝶とカマキリしか出現しないことは分かった。
なので出現する魔物で場所を決める必要は無い。
そうなると別の他の理由で決めていこう。
真白と一緒に行動する可能性がある以上、南は避けるべきだろう。
北は少し不安なので止めておこう。
実は南の強力な魔物は誰かが仕組んだ事で、それを陽動として本命が逆の北から攻めてくる可能性もある。
東と西も可能性としてはあるが、その中では北の可能性が一番高いと思うのだ。
そして残ったのは東と西になるのだが、この2つならばどちらでもいい。
なので、直感に従い東へ行こう。
「真白、ブラン。今日は東に行って戦闘練習をしようと思うのだけど、どうする?」
「行く」
「私も行くわ」
「分かった。今日は昼に帰る予定は無いから弁当を持っていこうと思う」
「任せて。10分で作る」
「ありがとう、真白。それでは50分後に家の前に集合して出発しようか」
「うん」
「分かったわ」
東の森は昨日と変わらず、蝶とカマキリが出現している。
本当に何故だろうか?
ブラン、知っている?
『場所が近く、魔力量が近い場合は同じ魔物が発生しやすいと言われているわね』
ありがとう、ブラン。
確かにこの付近は魔力量が近いね。
そして一部、魔力量が高い場所が点在しているがどの場所も魔力量は同等程度だ。
つまり強い場所がカマキリ、それ以外の魔力が近い場所は蝶が出現するのか。
だからカマキリが少なく、蝶が多いんだね。
それならば諦めて戦闘練習を行おう。
太陽の位置を見ると、そろそろ昼ご飯に良い時間だ。
お弁当を食べよう。
真白に近づき、人魔形態へと変化する。
「真白、ブラン。そろそろ昼ご飯にしようか。2人が食べている間は僕が守っておくから安心して」
「うん」
『分かったわ』
真白達が食べ終わり、真白と護衛役を交代した。
異次元倉庫から出した真白手製の弁当を開けると中身はおにぎりにから揚げだった。
美味しそうだ。
これを食べて昼からも練習だ。
そろそろ日が沈む。
動きの遅い蝶であっても複数同時に観察することは難しい。
まあ一朝一夕で可能だとは思っていないので練習を重ねていけば良いのだ。
そして真白だが、少し前から全ての魔物を一撃で倒せるようになっている。
これはもう、カマキリも安定して一撃で倒せるだろう。
流石真白だ。
さて、そろそろ帰ろうか。
帰還を伝える為に真白に近づき、人魔形態へと変化する。
「真白、そろそろ帰ろうか」
「うん」
夜ご飯も美味しかった。
さて、寝る前に異次元倉庫の練習をしよう。
魔力は昨日より少し多めに残しておこうかな。
夜に召集が掛からないとは限らないからね。
うん、今日はこれくらいにしておこう。
さあ明日からはギルド長が指定していた出現予測期間に入る。
残り魔力にも気を付けていかないとね。
それにしても、スライムか。
こちらではどんな魔物なのだろうか。
帰り道、ブランに聞いてみたのだけど、どうやらスライムの知識は一般常識には含まれていないらしい。
とりあえず、物理攻撃無効化は考えておいた方がいいかな。
他は……増殖だろうか。
どんどん分裂して増えていく。
あるいは何かを取り込んで消化し、それをエネルギーとして増える。
いや、個体数が増えるのではなく、その個体が大きくなる可能性もあるのか。
……ギルド長に聞いておこうか?
いや、忙しいギルド長に聞くのは良くないかな。
それに召集後に説明はあるだろう。
一般常識でないのならば知らない人もいるだろうから。
まあそれを頼りに何も調べない訳にはいかないから町で本を探してみようかな。
あとはギルドの受付で聞いてみるのは……ダメか。
ブランは別として、他の人にスライムが出現する情報の欠片も気付かせてはいけないだろう。
それはギルドの職員が相手だとしてもだ。
やはり本を探そうか。
魔物図鑑、あるだろうか?
まあ明日の戦闘練習に行く前に探してみようか。
今日はとりあえず寝よう。
「真白、ブラン。今日は町の外に行く前に本屋に寄っていいかな?」
「問題無い」
「私は透の中にいるだけなのだから問題無いわ」
「2人ともありがとう」
おお、あった。
魔物図鑑だ。
どれどれ、スライムは……。
物理攻撃無効に体内に取り込んだ物を吸収。
対応属性の魔力、魔法を吸収。
そして吸収した物や魔力、魔法をエネルギーとして巨大化していく。
確かに厄介だとは思うが、それは1人で相手をした場合だ。
これならば対応属性以外の魔法で遠距離から攻撃を行えば難なく倒せるだろう。
ギルド長の余裕はこれが理由か。
まあ、それでも油断はしていないようだったけどね。
いや、あの余裕は僕を安心させる為のものだったのかな。
やはり優秀な人物なのだろう。
よし、この本は買っておこう。
暇な時に読んで知識を増やそう。
今日の戦闘練習も上々だった。
この調子で行けばあと少しでカマキリの動きを詳細に観察することも可能だろう。
でも、これは体に慣れている段階なのだろう。
僕にしては成長速度が早すぎるからね。
いずれ慣れの段階が止まり、成長の段階に移る。
その時からはこの速度での成長は難しくなるだろう。
さて、夜ご飯を食べたら異次元倉庫の練習をしよう。
うん、今日の練習はこれくらいにしておこう。
あと少しだろうか。
あと少しでもう1部屋、元部屋を増やせそうな気がする。
そしてあちらはまだまだダメかな。
やはり難易度が高いのだろうか。
まあスキルにも異次元倉庫としかないのだからできない可能性が高いが、異次元倉庫に慣れる為にも練習は続行しよう。
さて、寝よう。




