―――021―――
まさかの6件。
その後作業もあり、太陽がバイバイしそうな時間です。
でも、家は決まった。
そしてまさかの購入だ。
『あの子、魔物倒すより他の事した方が良いと思うわよ?』
いや、どうかな。
魔物を倒す事もかなり利点があるからね。
それにしても、流石真白と言うべきか。
悪くない立地で崩れかけの家を土地も含めて激安で購入したよ。
ほぼ土地代のところを、さらにあそこまで値切るとはね。
それでいて、相手は購入に感謝しているという不思議。
話術、習おうかな。
……どうせ僕ではできない気がするので止めておこう。
そして目の前の家だけど、新品です。
まず、家を崩します。
苗木を植えます。
魔法で成長させます。
木を加工します。
魔法で家を建てます。
どこで建築の知識を手に入れたのだろうか。
まあ真白なので、問題は無い。
それにしても、植物を成長させる魔法があるんだね。
だから壁の中でも食料が足りるのか。
『そうね。だからこそ、この環境でも生きていける』
魔力の弊害と恩恵か。
やはり便利なだけでは済まないよね。
『君はどちらがいいのかな? 弊害も、恩恵も無い方がいい?』
どちらでもいい。
世界がそうあるのだから仕方ないよ。
「兄さん、入ろう」
「そうだね」
扉を開け、玄関で靴を脱ぎ、家へと上がる。
さあ、どんな家になっているのかな。
玄関、広間、台所。
風呂場に小さな空き部屋。
そして広間と比べて小さな部屋が2階に6部屋。
魔法って本当に凄いね!
『この場合、あの子が凄いのだと思う』
真白だからね。
さて、こうなるとトイレが必要かな。
多分水洗では無いよね?
『悲報があるわ。汎用魔法があれば、トイレもお風呂も要らないのよ』
買ってこよう。
多分両方とも魔法道具があるよね?
『あるわ。少し高いとは思うけど、まあ問題無いわね』
衣服もこれしかないし、色々と買わないといけないな。
まあ明日にしようか。
今日は食材と布団だけでいいかな。
各部屋を見て回り、広間へと戻って来た。
「真白、流石だね。全部屋見てきたけど良かったよ」
「うん」
そう言う真白は、笑顔でこちらを見ている。
とても自然な笑顔。
こちらに来た影響もあるのだろうか。
それともあの日、何かあったのか。
それを知る必要は無い。
今、笑顔でいる。
それでいい。
「兄さん、欲しい家具があれば言って。木製であれば作成できる」
各部屋に丁度良い大きさの棚が設置してあったのは確認しているので、今必要な家具は無いかな。
「ありがとう。今のところは各部屋に設置してあった棚だけで大丈夫だよ」
「分かった。それでは兄さん、夜ご飯」
「そうだったね。食べに行く?」
「作る」
「今日は僕が作ろう。明日からはお願いするね」
「……お願い」
ここで、作る、ともう1回言ってほしかった。
だが、それは高望みしすぎだ。
さて、どうしようか。
ブランも食べるよね?
『食べるわね』
うん、昼ご飯はゴメンね?
『大丈夫よ』
よし、腕を振るおう。
そうなるとやはり、野菜炒めか。
『もしかして、料理できないの?』
できると思っていたの?
『いや、あそこまではっきりと作ると言われると、できると考えても不思議では無いわよね?』
さあ、全力を尽くそう!
「それじゃあ真白、行ってくるね」
「行ってらっしゃい」
まずは買い物です。
よく考えたら米を炊けないので、サンドイッチに変更しよう。
野菜と、卵があれば卵と、肉類と……調味料か。
適当に回って探そう。
問題は、夜でも店が開いているかどうかだ。
結構遅くまでしてる店があってよかった。
僕が出たら閉まったので、閉店ギリギリか購入が終わるまで待っていてくれたのかな。
ありがたい。
次にお皿がいるかな。
あと包丁も。
売っているといいけど。
魔物ギルドに売ってました。
旅用だったが関係ない。
使えればいいのだ。
次は調理です。
パンを適当に切ります。
野菜を適当に調理しま……火が使えない。
よく考えたら、調理器具すらない。
……もう1回出てきます。
調理してきました。
いや~、この辺りの店は優しい。
少しの間、厨房を貸してもらえたよ。
勿論、代金は支払ったけどね。
『普通に料理できるじゃない』
できないとは言ってないからね。
さあ、実食です。
「真白、お待たせ」
持ち帰ったサンドイッチを机の上に置く。
そして僕も椅子へと座った。
「頂きます」
「私も頂くわね」
「……誰?」
突然右隣に湧いてきた、身長145センチ程になったブラン。
もうちょっと登場の仕方はあったと思う。
「サポート妖精のブランだよ」
「ブランです。よろしくお願いしますね、真白さん」
「真白です。兄がお世話になっています。こちらこそよろしくお願いします」
真白さん、ちょっと怒ってないですか?
あ、手を洗ってないや。
調理前はちゃんと洗ったけど、そもそもこの家には水道が無かった。
……ギルドで買った旅用の水で洗おう。
「ちょっと手を洗ってくるね。先に食べておいて」
「うん」
「行ってらっしゃい」
手を洗って帰って来たが、そこには……待っていなかった。
皿が、空なのだ。
……ブラン、僕の分。
「兄さん、お帰り。私が何か作る」
「透、お帰りなさい」
ブラン、僕の分は?
「……てへっ」
「真白、いいよ。今日は携帯食料を食べておくから。真白の料理は明日、調理器具が揃ってからがいいな」
「分かった」
「……食べ過ぎてゴメンなさい」
「いや、いいよ。ブランは昼を食べてなかったからお腹が空いていたんだよね。美味しかったかい?」
「美味しくて手が止まらなかったわ」
「それは良かった。真白も美味しかったかい?」
「うん、久しぶり。美味しかった」
「それは良かったよ。それじゃあ……布団を買い忘れた。買ってくるね」
「私は必要無い」
「私も必要ないわ」
……2人とも逞しいな。
まあ、寝袋がある。
ギルドで無駄に5個も買ったからね!
「寝袋でいいかい?」
「……何個ある?」
「5個」
「私は持ってる。大丈夫」
「それじゃあブラン、好きな寝袋を選んでくれ」
「この黒いのにするわね」
「それじゃあ、各自寝ようか。部屋割りはどうする?」
「決めてある。これを見てほしい」
そう言い真白がテーブルに広げたのは1枚の紙。
そこには2階の簡単な見取りと部屋割りが描かれていた。
僕が2階、左端の部屋。
その横、真ん中の部屋に真白。
さらにその横、右端の部屋にブラン。
そしてそれぞれ向かいの3部屋は空き部屋。
まあ、妥当か。
「真白さん、透の向かいがいいのだけど?」
「ダメですよ。向かいは荷物置きも兼ねていますので」
荷物置きだったのか。
確かに向かいにあった方がいい。
それに誰か泊まりに来た時は、各自向かいの部屋に案内すれば部屋が近くていいのか。
予定は無いけど。
「真白さん、変わってください。私は透のサポート妖精なので近くにいた方がいいのです」
「既に確認済みです。問題ありませんよね?」
「それならば、透の部屋で寝ます」
「ブランさん、サポート妖精はこちらの世界の一般常識を教えてくれるのですよね?」
「ぐぬぬ……諦めます。右端の部屋でいいです」
「ブランさん、申し訳ありません。必要な事ですので」
「こちらこそ申し訳ないわ。そもそも透と真白さんの家なのだから、私に文句を言う権利は無いわね」
「僕のサポート妖精なんだから、家に関してはブランも同条件だよ。真白のサポート妖精もね」
「そうですよ。ただ、これは必要な事です」
「……ありがとう、透、真白さん。ところで、透を真ん中に配置しない理由を聞いていい?」
「兄さんは男の子ですよ? 色々と女の子に隠したい事もあるでしょう」
「貴方も女の子よね?」
「私は問題ありません」
「私は透の心を読めるのよ? 意味が無いと思うわ」
「兄さんなのです。心に出さず行動する程度可能です」
え、僕はそんなことできたの?
初耳だな。
それにしても、真白がここまで言うとは……。
これは真白関係では無く、僕関係。
それも僕が自分では知りえない辺りかな。
多分、教えてくれないんだろうな。
いずれ、真白が自分から教えてくれる機会を待とう。
それにブランがここまで粘る理由が分からない。
真白がああ言った以上、必要は無いのだろう。
ただ、それは真白視点。
ブラン視点では必要なのかもしれない。
ここはどうするか。
寝よう。
「それじゃあ、寝てくるね。寝袋はここに置いておくから」
そう言い、異次元倉庫から寝袋を2つだし、置いておく。
真白の分は念の為だ。
「おやすみ」
「おやすみなさい」




