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―――012―――

本日3話目です。

読み飛ばしにご注意ください。

 真白の近くへと降り、人形態へと変化した。

 

「兄さん、今のは?」

 

「ステータスは見たかな?」

 

「見た」

 

「ステータスでEXスキルに異次元倉庫があってね、今のがそれだよ」

 

「便利そう」

 

「良いだろう?」

 

「良い」

 

「真白、実はあと1つ探し物があるんだけど、いいかな?」

 

「大丈夫」

 

「ありがとう」

 

 魔物形態へと変化し、真白を抱えて出発する。

 ここから先はブレスが放たれた場所。

 今いる場所よりも危険な可能性が高い。

 それでも、連れて行くべきだろう。

 先程確信した。

 まだ毒の方が安全だと。

 

 

 

 森が吹き飛んだ部分を空から探していると、突然針の位置が知覚できた。

 その感覚は、距離と方角だけが分かるものだが何故かそれが針と認識できる。

 これは、知覚であれば自分の召喚した武具を知覚できるのだろうか?

 便利だな。

 

 知覚した位置へ降りてみると、そこは枯れた木のすぐ傍だった。

 かなり飛ばされていたのだろう。

 

 そして知覚を頼りに、地面を掘る。

 するとすぐに銀色の針が顔を見せてくれた。

 これ、知覚できていなかったら見つからなかった気がするよ。

 

 銀の針を掘り起し、手に持って送還する。

 お帰り、そしてありがとう。

 

 

 

 無事に針を見つけ出せたので元の場所へと戻る。

 急ぎたいのだが、体力が限界なので飛行速度はゆっくりだ。

 戻ったら一旦休ませてもらおう。

 

 

 

「お疲れ様、兄さん」

 

 竜が倒れていた場所の少し先、森が無事な場所へと降りて人形態へと変化した。

 

「真白、ここで少し休んでもいいかな?」

 

「大丈夫。あれを倒したのだから疲れて当然。休んで」

 

「ありがとう」

 

 近くにあった良さそうな木に寄りかかる。

 少し寝たいところだけど、この状況でそれは出来ない。

 竜がいた影響か、付近に魔物はいないようだけど、それも今だけだろう。

 寝てしまえば真白1人で魔物と戦う事になる。

 真白の現在の能力を知らない今、それは危険だ。

 ブランの言葉から、弱い魔物ならば真白1人でも戦えるだろう。

 だが、先程竜を見た時点でその考えは捨てた。

 強い魔物も出現すると考えておくべきだ。

 なので木に寄りかかって、少し休憩するだけにしておこう。

 

 

 

 休憩中、真白の姿をよく確認してみる。

 先程までは他に優先することがあったので気にしていなかったが、外見が少し変わっているのだ。

 

 見に纏っているのは白色のワンピース。

 身長145センチ程でスリムな体型。

 整った顔立ちに大きな黒い目。

 ここまでは衣服以外、以前と同じだ。

 1つだけ、その腰下まで伸びた長い髪が黒色から白色に変化している。

 その変化で、より幻想性が増している。

 

 真白はこれをどう思っているのかな。

 もっと変わって欲しかったと思っているのだろうか。

 

「兄さん、この姿おかしい?」

 

 おっと、少し見過ぎたかな。

 

「白い髪もよく似合っているよ」

 

「ならいい。兄さんは変わりない」

 

 そう言い微笑む真白。

 その表情に変わりなくて良かったと思う。

 まあ、変わったとしても真白ならば受け入れてくれるだろう。

 それでも、現状では普段通りの僕であった方がいい。

 

 真白の言葉を疑う訳では無いが、一応確認はしておこう。

 そう思い異次元倉庫から鏡を取り出す。

 そして立ち上がり、全体像を確認していく。

 

 その姿はほぼ以前と変わりなく見える。

 真白の身長から考えて、身長が160センチ程だろう。

 普通の体型に良くも悪くもない顔、黒い目。

 そして、短くも長くも無い黒色の髪。

 うん、変わりない。

 

 ついでなので半人半魔形態……長いのでこれからは人魔形態と呼称しよう。

 うん、これで良い。

 それでは人魔形態も確認しておこう。

 

 人魔形態へと変化し、その鏡に映るその姿を確認する。

 基本的に人形態と変わりはない。

 ただ、1か所。

 背中に魔物形態の羽が生えているのだ。

 2対の黒い薄羽。

 自然に、その羽で飛べることが分かる。

 

「蜂の羽? やはり綺麗」

 

「ありがとう」

 

 綺麗だろうか?

 気に入ってはいるが、綺麗かどうかは分からない。

 ブランの羽ならば綺麗だと断言できるのだけどね。

 

 確認の為に、少し飛翔してみたが少し飛行速度が落ちる程度でその他は魔物形態と変わらず飛ぶことができた。

 これは、便利だ。

 真白を運ぶ時もこちらが良かった気がする。

 ほら、いくら苦手じゃないと言っても、ね。

 うん、次から緊急時以外はそうしよう。

 

「兄さん、私も羽がある」

 

「今までは見えていなかったけど、出し入れできるの?」

 

「できる」

 

 その言葉と共に背中をこちらに向けた真白の背中に2対の大きな羽が生えてきた。

 形は昔見た綺麗な蝶の羽に似ていて、大きさは1枚当たり1メートル程だろう。

 そしてその色は半透明で単色の虹色と表現できる。

 見る位置によって色が変わっていくのだが、構成する色は必ず1色なのだ。

 これは綺麗だ。

 ブランの羽とはまた違った美しさがある。

 

「綺麗な羽だね。似合っているよ」

 

「それなら出したままにしておく」

 

 そして、何故か服に穴が開いていないのに羽はある。

 これは物質では無いのかな?

 まあ、重要なのは飛べるかどうかだ。

 

「ちなみに飛べるのかな?」

 

「飛べる」

 

 そう言い、真白は地面から足を浮かせる。

 そしてそのまま空中を自由自在に飛び回る。

 まるで妖精の舞のようだ。

 

 そしてその移動速度だが僕の魔物形態には及ばないが、遅いわけでも無い。

 この世界では遅い方なのかもしれないが、空中を移動できる時点でかなり有利であり便利だろう。

 

 嬉しそうに飛び回る真白に手を振ってみる。

 すると真白も手を振り返してくれた。

 真白がここまで嬉しそうなのは珍しいな。

 いずれ、2人の時以外もこうなればいいな。

 

 

 

 暫くして真白と共に地面へと降りた。

 途中で一緒に飛びたいと言われて、2人で飛び回っていたのだ。

 短い時間だったので、体力の消費は少ない。

 少しだけ、休憩時間をのばせば問題無い。

 

「楽しかった」

 

「僕も楽しかったよ。真白」

 

「うん」

 

 

 

『透、大丈夫?』

 

 ブラン?

 大丈夫だよ。

 ちょっと疲れて休んでいるだけ。

 

『何かあったみたいね。転移に力を使っちゃって少しの間出てこれなかったの』

 

 気にしないで。

 それに、転移のおかげで間に合ったから。

 ありがとう。

 

『それなら良かったわ。ところで、何があったか説明してもらってもいい? その様子だと強い魔物がいたのよね?』

 

 いた。

 10メートル越えの緑色の竜が。

 

『グリーンドラゴン!? 何でこんなところでグリーンドラゴンが出現……もしかして、来ているのかも……そうなると……』

 

 あの魔物はグリーンドラゴンだったのか。

 それに、来ている?

 

『ああ、ごめんね。基本的に魔物は近くにいる生物の情報を得て出現するの。勿論、そのまま模すだけでは無くてある程度調整が加えられてね。君のハチなんかはそのまま模しても5センチ未満の生物だからね。そこに他の生物の情報等も加えて、さらに魔力で強化されて君サイズのハチが誕生するの』

 

 この世界も蜂は小さいのか。

 まあそれは置いておいて、グリーンドラゴンの元になった相手がこの付近にいたの?

 

『そうなるわね。多分、竜族の誰かがここに来ている。そして、竜族ならば不用意に竜形態で魔物が弱い地域に近づくとは考え難い。確率が低いとはいえ、ここの魔物が竜の姿を模せば危険な事を知っているからね。そうなると、その危険を冒しても急がないといけない状況が迫っているのでしょうね。例えば、とても強力な魔物がこの近くに出現するとかね』

 

 それは、グリーンドラゴンよりも強力……だよね。

 

『そうなるわね。魔物が生物を模すと言っても、生まれてすぐでは弱い。さらにその場所の魔力を使用して出現するから、強力な生物になると魔力が弱いこの地域では模しきれないと思うわ。だからグリーンドラゴンと竜族が戦ったとしても、竜族が圧勝して終わるの』

 

 それならば、何故グリーンドラゴンを放っておいたのだろう?

 時間が立てば元の竜族に勝てる可能性もあるのだよね?

 

『竜族はそれ程に強いのよ。だからこそ、普段は人形態で来るのだけどね。竜形態で近づくほどの状況、不味いわね。転移はもう使えないし、貴方を逃がすことはできない』

 

 真白を置いて逃げる気は無いよ。

 町から離れれば大丈夫かな?

 

『食料はどうするのよ。他の町はかなり遠いと思うわよ?』

 

 自給自足。

 サバイバルの知識ないけど。

 

『それよりは竜族が守ってくれる町にいた方が安全よ』

 

 守ってくれるの?

 それなら町にいた方がいいのかな。

 

『守り切れればね。多分ぎりぎりの戦力しか来ていなから、町の全てを守り切れるとは考えない方がいい』

 

 そっか。

 それなら真白と逃げようかな。

 すぐに町で食料を買い込んで、町から離れる。

 そして安全になった後で町に戻る?

 

『町に協力する気はは無いの?』

 

 1人だったら協力に行った。

 ただ、今の状況で死の危険を背負ってまで助かる町をさらに助ける気は無いよ。

 今の僕はその程度の力しかないんだ。

 

『優先順位の問題ね。ここで神からのお願いがあるの』

 

 先程の転移の対価かな?

 

『あれはこちらの責任よ。まさか転生直後にグリーンドラゴンが出現するなんて思ってもみなかった。担当の神には後で何かさせるようにするわね』

 

 その神様にあったら僕も文句を言いたい。

 

『それは伝えておくわね。ただ、神は万能ではないの。あの状況で結界を維持することもできなかったし、グリーンドラゴンの出現を止めることも、倒すこと出来なかった。そしてあの子の神では転移させることもできなかった。精々少しの加護を与えることが出来る程度よ。だからあまり怒らないであげて』

 

 怒ってはいないよ。

 どうあれ真白は無事なんだ。

 それに多分、真白が動かなかったのが問題なんだろう。

 真白が動ければまだ助ける手立てがあったはずだ。

 君が僕を転移させてくれたように、サポート妖精を通して何かできる可能性はあったはず。

 そうだよね?

 

『それは分からない。私はあの神ではないから。ただ、可能性は高まったはずよ』

 

 そうだよね。

 それならば真白も悪いよ。

 それに、神が万能ではないなんて知ってるからね。

 ただ、文句は言っておきたいだろう?

 

『そうね。ついでに私も文句を言っておこうかな』

 

 妖精は神に文句を言えるの?

 

『神を通せば問題無いわ!』

 

 それでいいのかな。

 まあ、いいけど。

 

『それで、神様からのお願いなんだけど、あの町を死者0人で救ってほしいの』

 

 先程言ったよね?

 僕にはその力が無いと。

 

『神の判断ではその力があるのでしょうね。その代わり、達成できたら1つ命を上げるわ』

 

 それは、1度だけ死んでも生き返ることができるのかな?

 

『そうよ。どうする?』

 

 命を与えてくれる対象は僕以外でもいいかな?

 

『……私としては君がいいのだけどね。君以外でも可能よ』

 

 受けるよ。

 条件は危険の被害による死者が0人、でいいのかな?

 

『それで問題無いわ。お願いね』

 

 それならまず、町に行かないとね。

 情報が少なすぎる。

 

『そうね。行きましょう。町の方角はあの子のサポート妖精に聞くから問題無いわ』

 

 お願いするよ。

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