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―――013―――

本日4話目です

読み飛ばしにご注意ください。

「真白、ありがとう。休憩は十分に取れたよ」

 

「私は何もしていない。だけど、少しでも休憩できたのなら良かった」

 

「それでね、このあとだけど一番近い町に行かないか?」

 

「それがいい」

 

「うん、それじゃあ町に出発しようか。少し遠いかもしれないけど大丈夫?」

 

「うん」

 

「方角は分かってるから、後について来てね」

 

「分かった」

 

「真白、飛ぶのに魔力的な何かは使用する?」

 

「する」

 

 やはりするのか。

 真白が飛んでるとき、羽が動いてなかったから、少し気になっていたんだ。

 それだと、飛んでいくのは不味いかな。

 魔力が足りなくて戦闘自体ができなくなったら不味いからね。

 

「分かった。空は魔物が飛んでいるかもしれない。そこで戦闘になってしまうと不味いと思う。だから歩いていこうか」

 

「うん」

 

「僕は魔物形態の方が戦闘しやすいから、蜂の状態で進むよ。何か話したいことがあったら言ってもらえれば人形態になるからね」

 

 正直、魔物形態以外で戦える気がしない。

 

「分かった」

 

 

 

『透、1つ聞いていいかしら?』

 

 大丈夫だよ。

 

『君はあの町が危険にさらされていて、助かる可能性が無かった場合はどうしていたの?』

 

 放っておくよ。

 真白を危険に晒してまで助けるつもりは無い。

 

『それじゃあ、私が助けてと頼んでいたら?』

 

 それでも放っておく。

 君があの町を助ける理由が無い。

 

『助ける理由があって、そこで君に助けを求めたら?』

 

 ごめん。

 それでも多分……真白を優先する。

 

『そう……答えてくれてありがとう』

 

 君はこんな僕をどう思う?

 サポートしたくない?

 

『いえ。全力でサポートするわ』

 

 仕事熱心だね。

 

『そうね。だから、気にしないでいいわよ』

 

 

 

 ブラン、少し聞いていいかい?

 

『何?』

 

 先程、グリーンドラゴンは竜族の竜形態を模したと言っていたけど、人形態ならば模しても問題無いの?

 

『そうね。基本的にその種族の根源の力しか模さないとされているわ。人形態ならば人、他の形態ならばそちらになるわね』

 

 それだと、弱い生物の形態に変化できない人は近づくことができないの?

 

『できるわ』

 

 何か対策があるの?

 

『まだよく分かっていないのだけど、一定以上の強さを持っていて人形態に変化できない生物は魔物に模されたことが無いとされているわ。そして一定以下の強さであれば模されても問題無い。そこから人形態に変化できない人も自由に移動できるわね』

 

 そうなると、強い生物でも人形態に変化できる場合は模されるの?

 

『そうなるわね』

 

 不思議だね。

 ただ、良かったかな。

 

『そうね。1人は寂しいものよ』

 

 そうだね。

 教えてくれてありがとう。

 

『どういたしまして』

 

 

 

 枯れ木が見当たらなくなり、辺り一面草木で囲まれて少し経過したところで、蝶の魔物が前方を飛んでるのが見えた。

 体長は80センチ程だが、黄色と黒で彩られた普通の蝶に見える。

 

『チョウね。弱いわよ』

 

 弱いのか。

 それなら少し試したいことがある。

 

「兄さん、私が戦う。休んでて」

 

 その真白の言葉に、頷きで肯定を示す。

 異次元倉庫は次でいい。

 真白が自分から戦ってくれると言うのならば、実力を見ておきたい。

 

 それにしても、真白はどうして分かったのだろう。

 

『各感覚を強化する魔法があるわね』

 

 それだ。

 魔法便利ですね。

 

 

 

 ……。

 蝶へと近づいていたのだが、突然蝶が爆発した。

 

『汎用魔法欲しくなった?』

 

 あれが汎用魔法?

 蜂が弱い意味が分かったよ。

 

『違うわよ。あれはまた別。ただ、汎用魔法でも同じ現象は起こせるわ』

 

 う~ん……。

 あれなら避けられるよ?

 爆発前に魔力が集まってたからね。

 

『君は魔力の感知までできるのね。体外の魔力の動きが分るのなら、君の機動力での回避は余裕ね』

 

 普通は分からないの?

 

『分かる人と分からない人がいるの。まあ最終的には分かる人がほとんどね』

 

 上げて落とす。

 流石です。

 

『その年齢ならば、という事よ。何故それが分かって汎用魔法が使えないか不思議なレベルよ』

 

 魔力の動きが分かったら、普通使えるの?

 

『君が例外になる程には』

 

 あ、蝶が凍った。

 

『あの子も適性が良かったのね。慣れていない状態であそこまで使えるとはね』

 

 適性は良かったと言っていたね。

 次の蝶が突然真っ二つに。

 

『3種類目ね』

 

 次は水が飛んでいったと思ったら、真っ二つに。

 ウォーターカッター強いです。

 

 そして最後の蝶は地面から突き出てきた尖った岩で一突き。

 近づかれる前に全滅だ。

 蝶が遅かったのもあるだろうけど、それでも強いな。

 

『あの子は特別よ。汎用魔法は詠唱がいるの』

 

 真白は詠唱省略?

 

『省略では無いわね。あの子は精霊魔法が使えるのよ』

 

 そうなると、真白は精霊族なの?

 

『人精族よ』

 

 ヒトセイ族?

 人族と精霊族のハーフかな?

 

『そんな感じね。正しくは精霊の力を持った人族よ』

 

 それで精霊魔法が使えるんだね。

 

『違うわ。精霊魔法自体、精霊族でも使えない人が多いのよ? あれはあの子の才能』

 

 流石真白。

 これなら、町周辺は安心だね。

 

『そうね』

 

 さて、一旦人魔形態に戻ろう。

 

「流石真白だね」

 

「うん、問題無い。兄さんは町まで休んでて」

 

「ありがとう。ただ、試したいことがあるから次の1度だけ戦わせて」

 

「分かった。でも、その後は休んでて」

 

「うん、ありがとう」

 

 

 

 少し歩いたところでカッコいいカマキリの魔物が出現した。

 全長220センチ程で緑色の普通のカマキリに見える。

 蜂対カマキリ。

 これは負けそう。

 

『グリーンドラゴンを倒せたのなら余裕よね?』

 

 ブランは煽っていくようだ。

 毒、混ぜた方がいいかな。

 まあ、危険なようであれば真白に助けてもらおう。

 

 1毒2毒を生成し、随時針に注入していく。

 そして、カマキリへと向かう。

 

 今回は2つの検証を行いたい。

 この2つができるかどうかで、僕の戦闘能力が大幅に変わる。

 片方でもいいのだけど、無理な気がするな。

 

 まずは1つ目の検証からだ。

 カマキリの5メートル程手前で一度停止し、前方に3メートルのドアを出現させる。

 そして元部屋へと繋ぐ。

 

 そこへカマキリが僕へと飛び掛かって来た。

 そこで後ろ向きに移動する。

 ……カマキリは何も無いかのようにドアを通過した。

 やはり、無理なのか。

 

『異次元倉庫に閉じ込めようとしたの?』

 

 そう、そうなんだ。

 でも無理みたいだね。

 閉じ込められれば、毒部屋に入れたり時間停止部屋に閉じ込めたりと、防御も可能になったのだけどね。

 

『残念ね。君の場合、一番足りないのは防御能力だからね』

 

 そうなんだ。

 回避は出来ても防御は出来ない。

 1人での戦闘ではいいけど、真白と一緒に戦う時に少し欲しかったんだ。

 まあ仕方ない。

 

 カマキリがこちらに追いつく前に、上空へと移動する。

 これでカマキリは飛んでくるだろう。

 あるいは、望んでいる攻撃をしてくる可能性もある。

 ……こんなことしなくても真白に頼めばよかった。

 倒してしまおう。

 

 予定を変更し、急降下してカマキリへと接近する。

 その鎌の範囲に入らないように、後ろに回りつつ体へと左針を突き刺す。

 今回はグリーンドラゴン相手の時の様に針を離しはしない。

 カマキリがこちらを向くのに合わせて、僕も移動する。

 これで常にカマキリの背後を取れる。

 

 毒を注入し終わったので、針を抜いて上空へと移動する。

 カマキリはこちらへ向かう為か、羽を広げ、飛ぼうとしたところで体勢を崩した。

 倒れた訳では無いが、倒れかけた。

 これは毒が回っているみたいだ。

 注入したのは2毒。

 今度毒の効果も調べないといけないな。

 まあ今はカマキリを倒してしまおう。

 

 下降し、カマキリへと近づく。

 そして鎌の射程に入らないようにカマキリの背後を取り、右針を突き刺す。

 これで新たな毒が染み渡る。

 毒の注入が終わったところで、カマキリの背後を取りつつ2つの針で突き刺していく。

 もう毒は必要ない。

 あとは突き刺してダメージを追加するだけ。

 頭も狙わなくていい。

 安全に、体だけを。

 

 少し突き刺したところでカマキリは地面へと倒れた。

 そして僕に何かが入ってくるのを感じた。

 グリーンドラゴンと比べると弱いが、敵意は無く、感謝が感じられる事は変わらない。

 僕はその力を受け入れる。

 

『人魔族の特徴ね。魔物を倒した際に、知覚できる。あと、魔物を魔物と判断できるのも人魔族の特徴よ』

 

 そうなの?

 他の種族ではできない?

 

『人魔族は例外なく、全員それができるとされているわね。他の種族は、個体差があるみたい』

 

 そうなんだ。

 真白も分かるのかな?

 

『あとで聞いてみるといいわね』

 

 そうするよ。

 

 異次元倉庫で空いている部分をカマキリが入る大きさだけ分割する。

 そして、カマキリの脇に移動し、カマキリの下へドアを出現させる。

 先程分割した部屋へカマキリと名付け、そことドアを繋げる。

 すぐにカマキリが落下し、異次元倉庫へと入ったのを確認して切断。

 ドアを消去する。

 

 不思議だ。

 何で倒した後は入るのかな。

 

『魂の有無などの問題じゃないかしら?』

 

 やはりそうなのかな。

 まあ、いずれ解明しよう。

 今は出来ることが分かっているだけでもいい。

 

『そうね』

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