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5-5


俺と聖女アプリコットが席につく、机の中央にはトランプが置いてある。


「まずは私がきるわ、次にそのあなたがきってくれる?」


「えっ? 私」


天使アイリーンが突然指名された。


「いいじゃないか、トランプくらいきれるだろ」


「そりゃまあいいけど」


「イカサマするなよ、アイリーン」


釘をさしておく。

こいつは普通にイカサマしそうだからな。


「わかってるわよ、ただ向こうが何かイカサマしたらすぐ止めるからね……お嬢さんカードゲームで私の目を誤魔化すのは不可能よ、わかってるわよね?」


「ええ、正々堂々やりましょう」


トランプを受け取った天使アイリーンが普通にきる。


こうしてテーブルの中央にトランプの山札が置かれた。


「上2枚を引いて好きな方を選んで、数の小さい方が先に引いていく。同じ数字ならやりなおし、ここでジョーカーがでてもやりなおしよ」


俺は言われた通りカードを選んだ。



聖女アプリコットがひいたカードは7だった。


「貴方が先手ね」


「先手が不利だな」


そう言いつつ俺は山札からカードをひく。



ジョーカーじゃない。


「そうよ」


聖女アプリコットがカードをひく。



チッ、ジョーカーじゃないか。


「俺はもっと複雑なルールのゲームが好きなんだが」


かまかけてみる。


11


よし、ジョーカーじゃない。


「複雑なルールだと負けそうだから」



うーむ、やはりジョーカーじゃないか、なかなか出てこないな。



ラッキーセブンだ。

次辺り来るか? 向こうにジョーカーが。



来なかった。




「勝ちね」


ん?

俺は山札を見る、まだ山札はある。

まだ勝負はつかないはずだが。


「貴方の勝ちってことよ」


聖女アプリコットは手元のトランプを見せる。

ジョーカーだった。


「もしイカサマをしたらなんとか言いくるめてついていかない方向に持っていくつもりだったし、それにここはハイミル教の総本山、だらだらとトランプしてたら誰か駆けつけるかと思って期待してたけどそれも叶わず。完敗よ、貴方についていくわ」


「そこまで考えているとは聖女というわりになかなか手強いね、もっと純粋無垢な相手かと思ったよ」


「何も知らない純粋無垢なら潔白、というイメージがあるけど、本当に潔白な人というのはイカサマができるけどあえてやらない人のことを言うのよ、もっともいざという時に力を惜しまないけどね」


「だが、まだだぞ」


俺はそう言うと素早く復活の剣を抜き、トランプを持っている聖女アプリコットの腕を切りつけた。

本来なら腕が切り落とされるはずだが、そうはならず剣が聖女アプリコットの腕をすり抜けた。


「!?」


聖女アプリコットは突然のことに反応できてない。

さきほど確かに刃の当たる場所だけが別の場所にテレポートされていた。

どこを切っても刃が通るその場所だけ自分の身体の、ごく僅かな場所だけをテレポート移動させて刃を避けていただろう。


聖女候補の頃のデイジーに負傷するとここに戻ってくる術をかけたのはこいつと見た。

この能力があればどこに連れ去ろうともすぐにここに戻ってこれるだろう。


「テレポートで避けたな、もうその能力は封印したぞ」


ここにきてはじめて聖女アプリコットの顔に動揺が走った。

聖女アプリコットは立ち上がると地面に何かを叩きつけた。

煙である、煙幕である。


こいついくつ奥の手を隠してんだ?


「捕らえたわよ」


天使アイリーンの声がする。

確かに捕らえている。


天使アイリーンが素早く捕らえて無ければ逃げられていたかもしれない。


「撤収だ」


俺はテレポートで神殿へと移動した。

ちゃんと聖女アプリコットと暗黒神官デイジーと天使アイリーンとゴブリンの王も連れて帰る。

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