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【WEB版】退屈嫌いの封印術師  作者: 空松蓮司@3シリーズ書籍化
第六章 封印術師と鎖紋の剣
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第百七十九話 涙

「世界樹……!」


 世界樹、世界樹か!

 話には聞いたことあるけど、実際に見たことはない。


 くそ、こんな事態だってのに、少年心が熱くたぎりやがる。


「世界樹だってよ! わっくわくするなぁ大将!」


「って、お前も来る気かよ?」


「俺様とマリじぃは〈ヴァンハーツ〉の一員として、大将たちについていくようさっき言われたんだ。そういうわけで、頼むぜ大将!」


 ニーアムがオレとカーズの会話を聞き、説明を求めてアルカナを見た。


「2人は仲介人、悪く言えば君たちの監視員さ。

 元騎士団員に全幅の信頼を寄せるのは、さすがに厳しいからね」


「……了解しました。連絡はどうやって取りますか?」


「レイちゃんの転移術でなんとかなると思うけど」


 レイラはアルカナの視線を受けて、1つのピアスを取り出した。

 転移門が描かれたピアスだ。


「これを使ってください」


「転移ピアスだね。

 1つしかもらえないのかな?」


「すみません、距離無制限の転移門は同時に3つまでしか展開できないのです。

 1つはわたし、2つ目はアドルフォスさん、3つ目はアルカナさん。これで限界です」


「了解だよ。

 しかし良い能力だよねぇ~、転移術師は是非ともうちに欲しいよ」


 レイラはピアスをアルカナに渡す。


「連絡はわたしのタイミングでしかできません。なので、アルカナさんからわたしに連絡を取るのは不可能です」


「わかった。じゃあ朝の7時、昼の13時、夜20時に連絡をちょうだい。

 こっちへの報告はマリ君に任せる」


 マリヨのおっさんは「承知しました」と頭を下げた。


「帝都への侵攻はいつ始める気だい?」


「準備が整い次第……まだまだ未定です」


「う~ん、地盤がゆるゆるだねぇ」


「申し訳ない」


「いや、急な展開だったらしいからね。仕方ない仕方ない。

 そう急く必要もないだろう。戦力が出揃うまで様子見していこう。こっちもまだ準備に時間がかかるしね」


「世界樹に挑む際はギルドの協力も得られると助かる」


「うん、なんとかするよ」


「あとの詳しい内容は旅の道中、転移門を通して(おこな)いたい。

 私の話は以上です」


「オレはもうちょい話がある」


 オレが言うと、アルカナは嬉しそうな顔をした。


「私は外で準備がある。レイラ、お前も来い」


「は、はい……わかりました」


「ミッス君、ポニー、2人を外へ案内してね」


「はいはいっと」


「じゃあねシール君、また後で」


「封印術師、ソロンの銅像の前で待ってるぞ」


 ニーアムとレイラは祭殿の外へ出て行った。


「そんじゃ、俺とお嬢もここで退散しときます」


 うなだれるキャサリンを、ミストが引っ張って外へ出る。


「私も旅支度をしなければ……食事の調達なども今の内に――」


「俺様が手伝うぜマリじぃ。

 大将、先に出てるぜ」


「おう」


 カーズとマリヨのおっさんも外へ出た。


「さて、二人っきりになったね……」


 アルカナは唇を舌で舐めた。

 そしてなぜか服を脱ぎ始めた。


「……なぜ服を脱ぐ?」


「あれ? そういうつもりじゃなかったのかい?」


「なわけねぇだろ!」


 オレは札入れから1枚の札を出す。

 その札に封じ込まれているのは例の鎖紋の剣だ。


「アンタ、凄腕の錬金術師なんだよな?」


「いかにも」


「ってことは錬色器に詳しいんだろ?」


「ミーほど錬色器に詳しい人間は居ないよ」


「じゃあ、コレ知ってるか?

――解封(open)


「あっはっは! ミーに知らない錬色器がある、わ、け……」


 オレは札から鎖紋の剣を弾き出す。

 アルカナは、その剣を見て、



――涙を流した。

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