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【WEB版】退屈嫌いの封印術師  作者: 空松蓮司@3シリーズ書籍化
第六章 封印術師と鎖紋の剣

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第百七十八話 賢人の庭

 祭殿の中に居るのは8人。

 左から順にマリヨ、カーズ、オレ、レイラ、ニーアムと並ぶ。


 正面にはアルカナとミスト。


 レイラの膝の上に着ぐるみ娘が座っている。


「ギルド総大将殿、改めてお願いします」


 仕事モードのニーアムが、文句のつけどころのない姿勢で話を切り出した。


「我々と手を組み――」


「いいよ! 一緒に騎士団ぶっとばそー!」


 軽く、本当に軽く、アルカナは承諾した。


「ミッス君からシー君の話を聞いた時にはもう、心は決まっていたよ」


「だったら試験なんてやらずに、オレと会ってくれればよかったじゃないか」


「そういうわけにもいかなかった」


 とミストは言う。


「お前ら、これは見たか?」


 ミストは煙に乗せて、オレ達の前に紙をばら撒いた。

 オレたちの手配書だ。


「お前らの首を求めて賞金稼ぎやら、騎士団やらが〈ユヴェイオン〉に流れて来たんだ。

 そいつらを排除する間、お前らには安全な場所に避難して欲しかった」


「それで試験を受けさせてゴーレムの中にぶち込んだってわけか」


 納得。悪くない手だ。

 実際こんな場所ですらあれだけ狙われたんだ。外にいたらもっと来ただろうな。


「それだけじゃないよ」


 アルカナは補足する。


「ヴァンハーツの皆を説得するために君という人間をアピールしたかったんだ。

 三次試験の様子はずっと観察させてもらった。マリ君を助けるところも全部ね。君が情に深い人間だと言うのは皆によく伝わったはずだ。ミーが無理やり命令して動かすより、効率的に彼らを利用できる」


「僕は反対だ!」


 レイラの膝の上から着ぐるみ娘は飛び出した。


「なんでだいポニー?」


「騎士団と戦えば、ギルドのみんなが危険に晒される……。

 ここのみんなはぼくにとって家族なんだ! こんな奴らのために、みんなが傷つくのなんて絶対に嫌だ!!」


 なんとも、言い返しづらいな……。


「それにコイツらはぼくを臭いと言った! 許すまじ!」


 さっきの発言より圧を感じるのは気のせいか?


「お嬢、みんな合意の上です。

 無理やり戦場に行かせることはありません。

 あんまりワガママ言わないでください」


「ぼくは反対だ! ぼくは絶対に協力しない!」


「別に、その子豚1人ぐらい居なくてもいいだろう。話進めようぜ」


「シー君、そうはいかないよ。

 彼女はこう見えてもウチの最高戦力。“天に仇為す者達(ナチュラルエネミーズ)”の1人なんだから」


「なちゅ、なんだって?」


 レイラがオレの腕を引っ張り、耳に唇を寄せてくる。


「知らないのシール君?

 “天に仇為す者達(ナチュラルエネミーズ)”は魔族が恐れる魔術師のこと。再生者に単独で対抗できる人達を言うんだよ。おじいちゃんやアドルフォスさん、ソナタさんはみんな“天に仇為す者達(ナチュラルエネミーズ)”に数えられてるんだから」


「なに!?

 じゃあコイツが、爺さんやアドルフォスやソナタと同格だって言うのか?」


「ふんっ!」


 こんなふざけた恰好の奴が、オレより強いってのか。

 いや、コイツの呪いと祝福の力を考えればわからなくもないか。コイツの姿を見た瞬間、大抵の人間は動けなくなるもんな……。


「子豚……じゃない、キャサリン。頼む、力を貸してくれないか?」


「嫌だね! べーっだ!」


 このガキ……!


「ポニー、シー君とは仲良くしていた方がいいよ。

 彼は君にとって、この先必要となる人物だからね」


「総大将様……それは一体どういう……?」


「答えはミーが教えるべきじゃないかな。

 ポニー、いつまでも殻に閉じこもったままじゃ、昔と変わらないよ」


 声色は落ち着いていたが、アルカナは間違いなくキャサリンを叱っていた。

 キャサリンはしょぼんと肩を落とし、レイラの膝の上で固まった。


「話を進めていいでしょうか?」


 ニーアムが急かすように言う。


「まずは、君たちの行動予定を聞こうか」


「我々ガルシア組は〈ユヴェイオン〉を出た後、東北にある異常気帯領域を抜け、賢人に会いに行くつもりです。歴史の記録者たる賢人なら再生者、凰帝の名を知っている可能性が高いと見てのことです」


「賢人に会いに行く……ということは、君たちが目指す場所は賢人の庭――」


「はい。世界に4つある世界樹の内の1つ、〈ガルズアース〉」

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