初めてのはぐれエルフ、初めての妖精。
そのクエストは、絵を運搬してほしいという依頼。
ゴブリンなどのザコ敵を倒しながら着いた先は、1件のログハウスだった。
「ここか」
ギルドからもらった地図で間違いない。
ドアをノックすると
「どうぞ」
という男の声がしたので、ドアノを開けると、キャンバスの前にエルフが立っていた。
「絵を運んでくれる冒険者さんだね。グエルといいます。」
「シュウイチといいます。こちらはユキ。運ぶ絵はどこにありますか」
「もう少しで完成するから、少し待っていくれないかな」
僕とユキはグエルに言われて椅子に座る。すると、誰かがログインしてきた。
赤い羽根、赤い髪の妖精が現れた。
「あら、お客様?」
「初めまして、シュウイチです。こちらはユキです。依頼で来ました。」
「私は、アカネ。グエルの友達。待たせてごめんなさいね」
最後の仕上げをしているグエルを見る。
「AIが絵を描いているんですね」
ラクエンでエルフということは、グエルはAIだ。そのAIの絵を僕たちは待っている。
「彼は、はぐれエルフなの」
はぐれエルフ。
パートナーが死んだAIのことだ。役目を果たしたAIは削除されず研究対象にされる。
グエルは研究対象としてラクエンで絵を描いているのか?
「グエルはね。私の娘が描くであろう絵を想像して描いているの」
言葉が出なかった。グエルはアカネの娘のパートナーだったのか。
「願ったのですか?グエルに娘さんが描くであろう絵を」
「それ以外にグエルに頼むことがなかったから」
「できた!」
グエルが筆をおいて、こちらを向いた。
キャンバスには色鮮やかな花の絵が描かれていた。
「素敵」
ユキはそうつぶやいた。
「ありがとう!会心の出来だ!」
僕は、キャンバスを道具袋の中に入れてログハウスをでた。
グエルはこれからも、亡きパートナーが描くであろう絵を作る。
「ユキも僕が死んだら、したいことがある?」
「私、小説を書くのが好きなので、冒険の日々を書こうと思います」
どうやら、僕のパートナーは僕がいなくなっても楽しく暮らせそうだ。
「これまでの冒険を小説にしているので、今度読んでくれますか」
「ぜひ」
どうやら、僕たちの冒険は永遠に残りそうだ。




