もどれない
ドラゴンを退治するのは、《魔族寄り》のリミザにならできる。
だが、そこからあとは?
そこからリミザが完全に《魔族》になってしまったら、どうなる?
『魔王一族』の《魔力》をあやつるようになるリミザを、三人でとめられるだろうか?
いや、そのまえに、あの《リビングデッド》は、まだ有効なのだろうか?
ラフィーがかけたその《黒魔術》を解けば、リミザがただの死体にもどるとはもう思えない。あのリミザの状態は、完全にそのほかの要素がはいっている。解いたところで・・・・
「 ・・・くそっ 」
つい声がもれてあわてて口をおさえた。
「 ―― おまえ、もう『司祭』さまにもどれないだろ。この旅ですっかり口がわるくなってて」
前をおりてゆくガットがたちどまると、わらいながらふりあおいでくる。
「 ―― そうですね。どこかのくちの悪い魔法使いのせいで、うつりましたから」
そのくちのわるい魔法使いは、縄をかけた勇者を先に歩かせて、ずいぶん先をおりている。下の方からいつもの『ゆるい』ふたりのやりとりが響いてきている。あれだけくちがわるいくせに、ラーラはリミザを信用して守ろうとする優しさをもっている。
「で? なにが『くそ』だって?」
リミザが持つランプのあかりが下の暗闇にすいこまれるよう小さくなってゆくのをながめ、ガットが気楽な調子で聞いてくる。
だがきっと、ここでかえされるラフィーのこたえが、気楽なものではないと予想しているはずだ。
「・・・いま思い当たったのは、・・・わたしのかけた《リビングデッド》を解いたところで、リミザはきっとただの死体にはもどらないということよりも、・・・いまだに残っている《前のリミザ》が、そこで完全になくなるという事実です」
「あ、・・・・まあ、うん、そうだな・・・、そうなるか。おまえの《リビングデッド》は死んだリミザを操ってるんだもんな・・・ 」
それを解けば、残るのはリミザに《新しくでてきた魔族だけ》という可能性がたかい。
「もし、そうなった場合、この三人でそのリミザを、とめられると思いますか?」
リミザをまた起こすと決めたときに、カレンにしっかりと、『これはきみたちが決めたことだから、ぼくは責任とらないからね』と念押しされている。




