カシール王は言った
ご注意を 暴言がございます。
「あー、それで審査をきびしくしたのかあ」
「つまり、《王様連盟》には、ムシールのことを報告してねえんだな?」
「そりゃ、報告できないよねえ・・・。親子喧嘩した夜中にひとりで勝手にむかったとか」
「さらにはカシール王が倒れられ・・・ ―― 」
そこまでいったラフィーがなにかに気付き、くちもとに手をあてた。
「 ―― たおれ、たのではなく、 ・・・動いたりしゃべったりできないように、カレンが魔法術をかけているのですか?」
「「「はあああ?」」」 賢者以外の声がきれいにそろった。
「 そうだ。言っただろう?よく似ておられると。 ―― ムシールさまがひとりでドラゴン退治にむかったのがカシールさまにばれてしまい、こんどはカシールさまが王子を助けに行くと、いいだした。わたしがとめると、アントンをよびだして、いっしょにゆくぞ、といきなりドラゴン退治を命じたのだ。この二人だけでじゅうぶんだと言い張るのに、アントンでさえ、考え直すよう進言した。 だがカシールさまは自分の腕があればドラゴンくらいなんともない、と言い張った。その、もめている最中にカレンがもどり、カシールさまはカレンにもドラゴン退治に同行するように命じた。『いまこそ国の役にたて』と。 だが、カレンは断わった」
『 国のために役立つ王の命令とあれば従いますが、
あなたの息子を助けることが、ほんとうにこの国の役に立ちますか? 』
「あ~、だれかハッキリいってやらないといけないもんなあ」
リミザはうなずく。
「いや、でも、確かにそうだが・・・、親子なんだしよ、そこは・・・」
ガットはもどかしそうにひげをかく。
「あたしでも断わるわ。王様にしちゃ、ちょっと行動が軽すぎるもの」
ラーラが当然だというように片手をはらった。
「カレンが断ったところでカシール王の気は変わらなかった、というわけですか」
ラフィーが確認する。
コルックは咳払いをするように声をととのえ、ゆっくりとこたえた。
「 ・・・カシールさまは、カレンを『役立たずのムダ飯食いのクソババア魔法使い』とののしり、カレンはカシールさまが勝手な行動をとらないよう、あの魔法をかけた、というわけだ」
「『くそばばあ』?」
「あいつ、女の魔法使いか?」
「そうよ。わからなかった?」
「半分以上、カレンを怒らせたせいでかけられた魔法のようですね」




