魔人伝説
13.
「まじん、だあ?」「また、神話だな・・・」「それも絶滅してますよね」
またしてもリミザいがいの三人が反応をみせ、リミザだけが首をまげる。
「まさか、『魔人』に会ったとかいうんじゃないよな?」ガットがさすがにねえだろう、という顔を大臣にむける。
「会ったどころか、戦った」
コルックのすましたこたえに、ガットはふきだした。
「ありえねえ」
「ガット気を付けてよ。はなしを盛るおっさんほど信用できないものはないわ」
ラーラのうたがいのまさざしを、コルックは鼻息でとばした。
「残念ながらはなしは盛っていない。 ここまでのいきさつなど、かなりけずりとっているくらいだからな。 まあ、とにかく、わたしとカシール王子は『情報屋』にだまされて買った情報で、《崖の土地》と《切り立った土地》のあいだにある、宮殿跡に出るという《魔物》を退治にいくことにした。魔物の種類は判明しておらず、姿をみて生き残ってもどった者はいないという『謎の魔物』ということだった。 あとでわかったことだが、その『謎の魔物』は《王様連盟》の退治対象でなどなかった。《切り立った土地》の民から、その宮殿跡にいるのは魔王の仲間の《魔人》であり、恐ろしいのでその宮殿跡にはだれも近づかない、ときいた。 つまり、近寄らなければなんのさわりもない《魔人伝説》のようなものだ。だが、カシールさまは、そういう伝説は実際になにかがなければ残らないとわらい、わたしたちは宮殿跡へとむかった」
その宮殿は、切り立った崖でできた山の中に、洞窟のような口をあけて待っていた。
「 ―― 両脇の気味の悪い彫刻像がそのまま残り、それをつなぐように蔦がのび、ながいこと誰もはいっていないのがみてとれた。魔族の宮殿跡といえば、荒らされて壊され、金目のものはすべて持ち去られているのが当然だろうが、入ってすすんでゆくと、銀の燭台も水晶のシャンデリアやシルクのテーブルクロスまでもほこりをかぶり残ったままだった。 わたしはここで引き返したかったが、なんの動揺もみせないカシール王子をみて何もいえなかった。そうして、宮殿の奥にあった地下へつながる階段をおりてしまったのだ」




