いにしえの魔法族
「どうやらこちらの取り越し苦労だったな。 てっきりムシール王子とどこか裏で接触してると思ったのだが。カレンともはなしたんだが、おまえたちはパーティーの勇者が想定外の《リビングデッド》になったのに戸惑ってるだけで、とにかくなんでもいいからこの国の文献にあたって手掛かりを集めたいというだけなんだろう?だからエイジェスも書庫の鍵をだしてやったんだ。しぶしぶだったがな」
「あのさあ、さっきからいろいろひっかかるんだけど、あんたカレンとは仲悪いんじゃなかったっけ?」
リミザがコルックのむかいに置かれた同じ造りの椅子に腰を落とした。
あんたよばわりされた大臣は、片眉をひそめリミザをみた。
「悪いわけなかろうが。カシールさまとわたしが旅にでていたときに、最大の危機を助けてくれた命の恩人だ。 ―― カレンは『いにしえの魔法族』だからな」
「まさか!!」「神話だろ?」「全滅したはずです」
リミザいがいの三人がいっしょに反応する。
「え?なにそれ?みんな知ってんの?」
くびを傾げる勇者に、「しらないの!?」とラーラがショックをうけた顔をする。
「だって、『いにしえの魔法族』っていったら、あの、『いにしえの魔法族』だよ?ほら、学校で習わなかった?この世界ができたころ、てのつけられないほど狂暴凶悪な『魔物』にすべて支配されそうになったのを、『いにしえの魔法族』たちが力をあわせて救ったから、この世界は救われたって」
「う~ん、おれ、学校ちゃんと行ってないからなあ・・・」
「あ、そっか。ごめん。えっと、人間のほうでは、この話、ならわないのかな・・・」
ラーラはガットをみた。
「だから、学校じゃなくて、教会のほうだろ?『神話』としておれはきいたけど、ちがうのか?」
ガットはラフィーをみる。
「いえ、たしかに『神』とつなげてその話をする会派もあります。この世界に魔族より先に『いにしえの魔法族』がいたとする話ですので、わたしの師匠などは、懐疑的にみていましたが」
「なにそれ?どういうことよ?」むっとしたラーラがラフィーにつめよる。
「のちの魔法族が、人間と仲良くするために考え付いた話だろうと言っていました」
「ちーがーうーの。いい?『古の魔法族』は、あたしたちとはちがう種族の魔法族なの。残ってるのは数冊の書物だけだし、子孫がいないから研究はちょっとしかされてないんだけど、文字も術式も、あたしたちとは違うのよ。だから、いまのあたしたちと混同されないように、わざわざ『いにしえの魔法族』ってよんでるんだから」




