表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者死んだままパーティー契約続行中 ― 白銀のドラゴン退治 ―  作者: ぽすしち
― その2 ―

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

14/133

黒い聖書


 カップが手から消えたラーラが、文句のつづきを賢者と戦士のどちらにいうべきか二人をみくらべてにらむと、「説明してくれ」と、ガットがラフィーからリミザをひきはがし、肩にかついだ。

「 ―― 《黒魔術》の《リビングデッド》で生きかえったやつなんて見るのもはじめてで、いまいち納得いかねえから、おまえがお茶をいれるぐらいでリミザを好きにつかうってのにも腹がたってたんだが、 ・・・この魔術は、『そういうもの』なんだな?おい、おれたちにもちゃんと説明してくれよ」

 棺桶にリミザをよこたえながらラフィーをみる。


「・・・きみたちに説明しても、・・・」


「いいから説明しろっていってんだ! いいか、ラフィーよくきけ、おれは頭はわるくたって、そういうのなんとなくわかるんだよ。  おまえさっき、《あせってこまった》んだろ?」


「『こまった』?さっきリミザに怒ってたのが?」ラーラがくちにしてから、なにかに思い当たったようにラフィーをみた。


「まあ、プライドのたかいおまえが、おれたちによけいなこと知られたくないってのもわかるけど、いまはリミザのことを考えて、我慢して話しとけ」

 棺によこたわるリミザの眉が、ひきつったように動くのをみながらガットは蓋をとじた。




 腕を組んだラフィーが、ガットとラーラからの視線にまけたようにため息をつく。

「 ―― わかりました。では、・・・まずは初歩的なところから。『黒い聖書』のことですが、もちろん、知ってますよね?」

 ラフィーはラーラをみた。


「そりゃもちろん。《賢者》がつかう《黒魔術》に必要な《道具》でしょ」


「ほんとうならそのこたえを徹底的に馬鹿にして笑いたいところですが、いまはやめておきます。 いいですか?『黒い聖書』が道具屋で売られているのをみたことありますか?」


 ものすごくまゆをしかめたラーラが、そりゃないけど、と負けをみとめる。



「 ―― 『魔族の聖書』なんだな?」


 ガットのこのつぶやきに、ラフィーはくちをあけ固まった。


 それをみたラーラが、アタリなのね?とガットの背をたたく。

「どうしたのよ?ガット? なんか今日、すっごく冴えてるっていうか、なんか、きゅうに頭よくなったっていうか・・・」


「うるせえな。もともとおれは、本読んだり考えたりするのが好きなんだ。だけど、親父にうちの『戦士』家業にそういうのはいらねえから、『考えるな』って言われて育ったんだよ。だから、ガキのころは、親父にかくれて教会のじいさんとこに遊びに行って、本をかりてた。そのじいさんがきかせてくれた、おもしろいはなしに、『禁断の聖書』っていう、魔族の司祭からうばった聖書のはなしがあったのを思い出したんだ。《賢者》が《黒魔術》につかう聖書は、それなんじゃねえのか?」ぼりぼりとひげをかき、ラフィーをじっとみる。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ