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21.まだまだ遅くない!

一件落着? です!

☆龍崎 ルカ


 今日は平日だけど、放課後1人でダンジョンにやって来てるよ!

 この前来た、秋葉原の高難易度ダンジョン!


 変身できる私にとっては、丁度いい難易度だね。

 なぜ、ここに来ているかというと、RPGのゲームでいうレベル上げが目的だ。


 どうやらダンジョンには、確認はできないものの、レベルのような概念があるみたい。

 だから私はここで沢山モンスターと戦って、【テレパシー】を獲得しようと頑張っているのだ。


 変身後喋れないの本当に不便だからね……。

 でもこういうのって、デフォルトで付いていてもいいと思うんだけどな!


「おい……」


 後ろから人の声が聴こえた。


 あっ! 師匠!

 なんだか、凄く辛そうな顔をしているけど、あれは師匠だ!


 私は変身を解除し、師匠の下へと駆け寄った。

 今日は馬の被り物してないね。


 忘れちゃったのかな?


「平日からダンジョンとは、元気そうだな」

「うん! 元気だよ!」


 師匠からダンジョンに来た目的を聞かれたので、それを話した。


「そうか、頑張れよ」

「師匠はどうしたの?」

「私は……暇潰し」

「そうなんだ! お仕事早く終わったんだね!」

「まぁ、そんなところだ」


 それにしても、自分で言うのもなんだけど、私ってダンジョン内ではスキルのおかげもあって、結構強い方だと思うんだ。

 だからこんな風に難易度の高いダンジョンに気軽に挑戦できるんだけど、師匠も仕事帰りにここに来ているってことは、やっぱりかなりの実力者なんだろうなぁ。


「やっぱり師匠強いんだね! しかも、私みたいに変なスキル持ってないんでしょ?」

「強いのか? 私がか?」

「強いよ!」

「あのな、前も言ったんだが、私のスキルは【切れ味アップ】だけだ。強い訳がない」


 強いのには変わりないと思うんだけどなぁ。


「もういっそのこと、師匠も配信者になっちゃえば? なんてね!」


「私がか? 私は社会人になってからダンジョンには、ほとんど潜ってないんだ。実力もなまって、かなり弱体化していると思う。そしてその活動をしていたのは約7年前、もう無理だ。それに、その時に配信も少ししたが、誰も見なかったぞ」


 7年前っていうと、ダンジョン配信が今ほど流行ってなかったよね。

 今だったら大分違うかも!


「ま、どっちにしろ無理だ。私には仕事が……あっ、そうか」

「どうしたの?」

「なんでもない。ただ、まぁ、これからもそんな時間はない」


 仕事が忙しくなるってことかな?

 前も仕事楽しくないって言ってたし、本当に大変そうだ。


 そんな仕事を休日もやってるって、この人生きてて楽しいことないじゃん!


「他にもっと楽な仕事ないの?」

「ないな。楽な仕事はないな」


 皆言うよね。


「じゃあやっぱり、ダンジョン配信で稼ぐのってどうかな? 師匠強いしさ!」


 すると、師匠は「チッ」と舌打ちのような何かを口に出して言った。

 それ癖なのかな?


「配信で稼ぐだと!? 確かに趣味でダンジョン探索をするだけなら楽しいかもしれない。けど、仕事でそれをするとなったら、そんな甘い世界じゃない。有名配信者だって楽なように見えて、沢山努力してるに決まってる。時には辛いこともある。お前は甘く見過ぎだ」


 えー?

 でもさでもさ。


「どうせ楽じゃない道を選ぶんだったら、楽しい方がよくないかな?」

「は?」


「今の仕事も楽じゃないんでしょ? それに今の生活が楽しくないんだったら、ただ楽しく無くて辛いだけじゃん! だったら、楽しくて辛い方が得じゃないかな?」


「そう、なのか? でも、世間体があるだろ。私は結婚する気もないし、働いてないと駄目なんだよ」


「まぁ、お金は大切だからね」

「とは言っても、そこそこ貯金はある……500万くらいだけどな」


 わぁ! お金持ち!


「皆苦しんでるのは同じだ。私だけズルい思いをする訳にはいかない」


「それってズルなの? 周りがどう思っても、最終的には自分が楽しければ良くない? 生活できるだけのお金を確保できるんだったら、なにで稼いでも別にいいと思うけどなぁ。いや、流石に犯罪行為は駄目だけど!」


 悪いことは駄目だからね!


「……そうか。どうせ悪人になるんだったら、そっちの方がいいかもな」

「ええ!? 師匠悪人なの!?」


 以外にも以外!!

 一体なにをしたの!?


「詳しくは言わないが、簡単に言うとざまぁみろと思われても仕方のない役回りだ。そして、学生のお前にアドバイスだ。学生時代は真面目に生きていれば能力がなくとも良い人間として評価されてきただろうが、大人になると能力のない人間は悪人となり、成敗されても仕方のない人間と化す。気を付けろ。ま、もっともお前はダンジョン配信者として既に注目を集めてるみたいだし、心配は要らないと思うがな」


 説教された!?


「とりあえず、まぁ、ありがとな。少し考えてみる。7年ぶりに復帰するのも面白いか……」

「7年……!? あっ!!」


 そうだよそうだよ!

 ダンジョン配信者が投げ銭貰ったり、収益化できるようになる条件!


 クランに入った後、365日経過すること!

 そう! そして、クランを設立する条件がダンジョン活動歴3年以上!


 師匠は引退してもたまに潜っているみたいだし、3年以上扱いになるよね!?

 1095日じゃないし、きっと大丈夫!


 だったら、師匠にクランを設立して貰おう!

 それで、私達はお金を稼ぐのだ!


「師匠! ちょっと待って!」


 去っていく師匠を私は追いかけた。


「どうした?」

「師匠! お願いがあるんだけど!」





☆山本 鏡


「では、今までお世話になりました!」

「うむ! 次の仕事も頑張ってくれ! 応援してるよ!」


 次の日、私は推奨された通り、会社を退職することとなった。

 ちなみに、私が退職した祝いに飲み会が開かれることが耳に入ったが、気にしない。


 私はそういうのは苦手な上に、今回私は誘われていない、それもそうだ。

 私を祝う飲み会ではなく、私が去ったことを祝う飲み会だということだからだ。


 ここで私が有能であれば、私が去って困るだろうなとか、そんなことを考えていたが、他の人にとっては簡単な仕事を他の人にとっては多いとは言えない量任されていた私だ。

 実際に仕事の流れもよくなり、皆の給料も上がるだろう。


 まぁ、もうそれはどうでもいいのだが。


 私は楽しむと決めたのだ。

 社会人として頑張りなさい、とか、それで幸せなの?、とか、そんな意見は気にしない……ようにしたい。


 これから先、私はクランマスターとなり、1年後の収益化&投げ銭解禁時にお金を大量に稼ぐと決めた。


 まだまだ遅くない!

 私の人生はこれからだ!

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