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教皇庁に禁書指定されたジャンヌ・ダルク伝  作者: しんの(C.Clarté)
上巻・第十七章 オセールとの休戦協定/修道士リシャール/トロワ降伏

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17.1 オセールの町(1)緊急事態

 6月27日[1368]、ブサック元帥、ジル・ド・レ卿、ラ・イル隊長とザントライユ隊長に率いられた前衛部隊が、ジアンからモンタルジ方面に向かって出発した。


 彼らの目的は、サンスに進軍することだった。

 サンスは、誤った情報に基づき、王太子に門を開ける可能性が高いと思われていたからだ。


 しかし、町がイングランドとブルゴーニュへの忠誠の証として「聖アンドレの旗」を掲げたという知らせを受けると、軍は進路を変えた。力ずくで町を占拠することは、彼らの望むところではなかったからだ。


(⚠️聖アンドレの旗:新約聖書に登場するイエスの使徒の一人。ブルゴーニュ公フィリップ善良公は聖アンドレを守護聖人とする金羊毛騎士団を設立し、白地に赤十字の「聖アンデレ十字」を騎士団および公国の旗として用いた)



 行軍ルートは、より好意的な歓迎が期待できるオセールへと向けられた。[1369]


 乙女ジャンヌ・ラ・ピュセルは焦りから国王を待たずに、最初に出発した部隊とともに馬に乗った。もし、ジャンヌが軍隊の指導者だったら、町の大砲が自分に向けられたとしても、背を向けて立ち去ることはしなかっただろう。


 国王は2日後、血統貴族と多くの騎士で構成されたいわゆる「本隊」と呼ばれる主力部隊、そして遠征軍を指揮するラ・トレモイユ卿とともに出発した。[1370]


 7月1日、全軍がオセールの町に到着した。[1371]


 ぶどう畑と麦畑に囲まれた丘の中腹に、サンジェルマン司教の祝福された町の城壁、塔、屋根、鐘楼がそびえていた。


 夏の日差しの中、勇敢な騎士団の仲間とともに、ジャンヌは美しい聖モーリスのように完全武装して馬を走らせていた。

 今しがた向かっているその町は、わずか3カ月前、薄暗く曇りがちな空の下で、馬丁の少年のような格好をしたジャンヌが、貧弱な傭兵2〜3人とともに、王太子シャルルのもとをめざして、悪路を旅しながら眺めていた場所だった。[1372]


(⚠️聖モーリス(Saint Maurice):ローマ軍のテバイウス軍団の軍人だったが、キリスト教徒だったために処刑された殉教者。軍人、兵士、剣士、歩兵たちの守護聖人)



 1424年以来、オセール伯領は摂政ベッドフォード公から譲渡されて、ブルゴーニュ公の所有となっていた。ブルゴーニュ公は、代官(bailie)と隊長を通じてオセールを統治していた。[1373]


 かつてマンド司教だったオセール司教ジャン・ド・コルビーは、王太子の支持者だと考えられていた。[1374] しかし、大聖堂の参事会はブルゴーニュ派だった。[1375]


 市民とその他の町民によって選出された陪審員12人が、オセールの行政を担っていた。


 国王軍が近づいてくるのを見て、人々の心が恐怖に支配されたことは容易に想像できる。兵士たちが白十字(フランス軍兵士のお仕着せ)を着けていても赤十字(イングランド軍兵士のお仕着せ)を着けていても、市民から見れば恐怖の対象だった。


 オセールの住民は、暴力と殺戮を引き起こす連中を、町の門前から追い払うためにもっとも効果的な手段、つまり財布の紐を緩めることを厭わなかった。


 国王の使者は、オセールの住民に対して「シャルル王を彼らの自然で正当な君主として迎え入れるように」と呼びかけた。


 だが、武力を背景にした呼びかけは、市民を非常に困惑させる立場に置いた。

 拒否しても同意しても、善良な人々は大きな危険にさらされる。

 忠誠を誓う相手を変えるのは簡単ではなく、彼らの生命と財産がかかっていた。


 この緊急事態を見越して、自分たちの弱みを自覚していたオセールの住民は、シャンパーニュ地方の諸都市と同盟を結んでいた。同盟の目的は、(1)兵士を受け入れる負担軽減と(2)敵対する2人の主君の争いに巻き込まれる危険から守るために、加盟都市が互いに助け合うことだった。


 シャルル王の前に、オセールの住民の一部が現れて「トロワ、シャロン、ランスなどの都市が示すのと同じ服従をする」と約束した。[1376]


 これは服従でも反抗でもなかった。

 交渉が始まり、使節が町から野営地へ、野営地から町へと行き来した。

 最終的に、知恵に欠けていなかった同盟者たちは、受け入れ可能な妥協案を提案した。それは、諸侯がいつも相互に締結していたもの、すなわち休戦協定だ。



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