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教皇庁に禁書指定されたジャンヌ・ダルク伝  作者: しんの(C.Clarté)
上巻・第十六章 パテーの戦い/イタリアとドイツの神学者の考察/ジアンの軍勢

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16.3 パテーの戦い(3)奇襲

 さて、当時のイングランド軍の状況は次の通りだった。


 彼らはジャンヴィルに向かって整然と退却しており、軍の《《前衛部隊》》は白い旗印(standard)を掲げた騎士が先導していた。[1284]

 次に、商人たちが制御する大砲と食料を積んだ荷馬車が続き、その後にジョン・卿とジョン・ファストルフ卿が指揮する《《本隊》》が続いた。

 追っ手の攻撃にさらされる可能性が高い《《後衛部隊》》は、イングランド本国から来た兵士のみで構成されていた。[1285]


 後衛部隊は、本隊からいくらか離れていた。後衛の偵察兵は、フランス軍に気づかれることなく彼らを発見し、サン・ペラヴィ村とパテーの町の中間にいたジョン・タルボットに報告した。


 この知らせを受けて、タルボットは停止を命じ、荷馬車と大砲を持っている前衛にリニュロールの森の境界に陣を敷くよう命じた。


 そこは、敵を迎え撃つには絶好の場所だった。森に背にしているため、戦闘員は背後からの攻撃を受ける心配がなく[1286]、前方は防壁代わりの荷馬車を並べてその後ろで身を守ることができる。


 本隊はそこまで進まず、リニュロールの森から少し離れたラ・レトレーヴの窪地で停止した。ここの道沿いは、茂みに囲まれていた。

 ジョン・タルボットは、選りすぐりの弓兵500人とともにそこに陣取り、必ずその道を通るフランス軍を待ち構えた。


 タルボットの計画は、遅れている後衛部隊が本隊に合流するまでこの道で足止めし、その後は茂みに沿って退却して軍に合流するつもりだった。


 弓兵たちはいつものように、先端を敵の馬の胸に向けた「尖った杭」を地面に打ち込んで準備していた。そのとき、ザントライユの偵察兵に率いられたフランス軍が旋風のように襲い掛かり、弓兵たちをなぎ倒し、こなごなに切り裂いた。[1287]


 ジョン・ファストルフは、本隊を率いて前衛部隊に合流しようとしていた。

 フランス騎兵がすぐ後ろに迫っているのを感じ、彼は拍車をかけて全速力でリニュロールの森へ兵士たちを急がせた。


 白い旗印を掲げる前衛部隊の兵士たちは、ファストルフが全力で走ってくるのを見て、敗北したのを悟った。


 彼らは恐れをなし、森の境界に敷いた陣を放棄して、クリマ・デュ・カンの茂みに駆け込み、大混乱のままパリ街道に出た。ジョン・ファストルフは、軍の本隊とともに同じ方向に突き進んだ。


 戦闘はなかった。


 タルボット隊の弓兵たちの屍を踏み越えて、フランス軍はイングランド軍に襲いかかった。羊の群れのように茫然自失としたイングランド軍は、抵抗することなく敵の前に倒れた。


 こうしてフランス軍は、ゴドン(イングランド人への蔑称)が自国からフランスに連れてきて結局殺される運命にあった庶民2000人を殺害した。


 ラ・イルが指揮するフランス軍の本隊がリニュロールの森に到着したとき、そこにはわずか800人の歩兵しか残っておらず、彼らはすぐに打ち倒された。


 今回行軍していたフランス軍総勢1万2000人から1万3000人のうち、パテーの戦い、いや虐殺に参加したのはわずか1500人だった。


 ジョン・タルボットは拍車をつける暇もなく馬に飛び乗ったが、ラ・イル隊長とザントライユ隊長に捕らえられた。[1288]


 トーマス・スケール、ハンガーフォード、ファルコンブリッジ、トーマス・ゲラール、リチャード・スペンサー、フィッツ・ウォルターなどが捕らえられ、身代金と引き換えに解放された。捕虜は全部で1200人から1500人にのぼった。[1289]


 逃亡者を追って、フランス軍の兵士200人足らずがジャンヴィルの門まで追撃した。最初に逃げ出した前衛部隊を除いて、イングランド軍は完全に壊滅した。


 フランス側では、現地にいたテルム卿が「戦死者は自分の部隊の1人だけだった」と述べているが、国王の顧問官兼侍従のペルスヴァル・ド・ブーランヴィリエは「3人だった」と述べている。[1290]




 後衛部隊にいた乙女ジャンヌ・ラ・ピュセルが現場に到着したとき[1291]、虐殺はまだ終わっていなかった。[1292]


 ジャンヌは、捕虜を何人か引き連れていたフランス兵が、1人の頭を殴りつけ、その捕虜が死んだように倒れるのを見た。


 ジャンヌは馬から下りて、そのイングランド人のために告解司祭を手配した。

 そして、彼の頭を支えながらできる限り慰めた。

 これがパテーの戦いでジャンヌが果たした役割のすべてだった。[1293]

 それこそが「聖なる乙女」の役目だった。


 その夜、フランス軍はパテーの町で過ごした。

 捕らわれたジョン・タルボットは、アランソン公とリッシュモン大元帥の前に引き出され、若い公爵からこう言われた。


「今朝、自分がどうなるかなど、想像もしていなかったでしょう」


 タルボットは「それが戦争の定めです」と答えた。[1294]


 息を切らしたゴドン(イングランド人への蔑称)数人が、なんとかジャンヴィルにたどり着いた。[1295]

 しかし、出発時に金銭と物資を預けていた町の住民たちは、彼らの顔を見るなり門を閉ざし、シャルル王への忠誠を示した。


 ボース平野にある2つの小さな要塞、モンピポーとサン・シジスモンに駐留していたイングランド軍の司令官たちは、そこに火を放って逃走した。[1296]



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