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教皇庁に禁書指定されたジャンヌ・ダルク伝  作者: しんの(C.Clarté)
上巻・第十五章 ジャルジョーの戦い/ムンの橋/ボージャンシーの戦い

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143/145

15.6 ジャルジョーの戦い(5)サフォーク伯の降伏

 攻撃は4時間続き[1213]、ジャンヌは軍旗を手に、城壁に立てかけられたはしごを登った。

 そのとき、大砲から発射された石がジャンヌの兜に当たり、紋章が刻まれた飾り板もろとも兜を頭から吹き飛ばした。人々はジャンヌが押しつぶされたと思ったが、彼女はすぐに立ち上がり、兵士たちに叫んだ。


「立て、友よ、立て! 神はイングランド人を滅ぼすと定められた。彼らは今や我々のものだ。やる気を出せ」[1214]


 城壁は突破され、フランス王の兵士たちは町に侵入した。

 イングランド軍はボース平野に逃げ込み、フランス軍は彼らを追撃した。

 オーヴェルニュの従騎士ギヨーム・ルニョーは橋の上でサフォーク伯に追いつき、捕虜にした。


 サフォーク伯は「あなたは紳士階級か?」と尋ねた。


「そうだ」

「では、あなたは騎士か?」

「違う」


 サフォーク伯は、彼をその場で騎士に叙任してから降伏した。[1215]



(⚠️紳士階級(gentleman):現在の紳士とはやや意味が異なる。階級社会において、騎士と農民・郷士の中間。そこそこ裕福で、労働階級並みに働く必要はないが、より高位の貴族に仕えていることが多い)



 その後すぐに、サフォーク伯が乙女にひざまずいて降伏したという噂が広まった。[1216] 伯爵は、世界でもっとも勇敢な女性であるジャンヌに降伏を求めたとさえ言われた。[1217]


 しかし実際は、彼が「悪魔に取り憑かれた魔女」だと蔑んでいる女よりも、軍の最下級の一兵卒に降伏したと考える方が自然だろう。


 サフォーク伯の弟ジョン・ポールも同様に橋上で捕らえられた。三番目の弟アレクサンダー・ポールは同じ場所で殺害されたか、ロワール川で溺死した。[1218]


 町の守備隊は、無条件で降伏した。いつものように、戦闘中に大きな被害はなかったが、勝利者たちは後からその埋め合わせをした。


 イングランド兵500人が虐殺され、貴族は身代金目的で拘束された。

 そして、彼らの処遇をめぐってフランス軍の中で争いが生じた。


 貴族たちは、戦果をすべて自分たちのものにした。

 民兵たちは分け前を要求したが、聞き入れてもらえなかったため、腹いせにあらゆるものを破壊し始めた。


 貴族たちは、略奪から救い出したものを船に乗せ、夜の間に水路でオルレアンに運んだ。町は残らず略奪され、ゴドン(イングランド人に対する蔑称)の倉庫として使われていた古い教会も略奪された。[1219]


 死傷者を含めても、フランス軍の損失は20人未満だった。[1220]






(⚠️サフォーク伯の行動について補足。ジャンヌをどう認識していたか)

イングランド全般の見方は「12.8 オルレアン到着2日目(2)」参照。

オルレアン包囲戦幹部の反応は「12.9 オルレアン到着2日目(3)」参照。


▼12.8 オルレアン到着2日目(2)ジャンヌを恐れる理由

https://ncode.syosetu.com/n3239lq/105/


▼12.9 オルレアン到着2日目(3)和平の申し入れ

https://ncode.syosetu.com/n3239lq/106/


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