表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
教皇庁に禁書指定されたジャンヌ・ダルク伝  作者: しんの(C.Clarté)
上巻・第十五章 ジャルジョーの戦い/ムンの橋/ボージャンシーの戦い

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

138/145

15.1 ゲクランの未亡人の孫、ギーとアンドレ兄弟

 6月6日の月曜日、国王はセル・アン・ベリー(現在のセル・シュル・シェール)近郊のサン=テニャンに宿泊した。[1179]


 随行する貴族たちの中に、未亡人となったラヴァル夫人アンヌ・ド・ラヴァル息子二人がいた。彼女はかつて、土地を持たない貴族の末息子を愛するという愚行を犯した。


 弟のアンドレ・ド・ラヴァルは二十歳で、当時ほとんどすべての貴族が経験した「不名誉の影」をかぶったばかりだった。彼の祖母(ジャンヌ・ド・ラヴァル夫人)の夫、ベルトラン・デュ・ゲクラン卿も、それを何度か経験している。

 ジョン・タルボットによってラヴァル城に捕らえられたアンドレは、身代金として金貨1万6000クローネ(golden crowns)を用意するために多額の借金を負っていた。[1180]


(⚠️ラヴァル家について:賢明王シャルル五世に仕えた名将ベルトラン・デュ・ゲクランの2番目の妻がジャンヌ・ド・ラヴァル夫人。二人の間に子はなく、ジャンヌ夫人は再婚して娘アンヌをもうける。アンヌは秘密裏に結婚して、ギーとアンドレ兄弟がうまれる。詳細は「14.12 ジャンヌの崇拝者たち(2)ゲクランの妻」参照→https://kakuyomu.jp/works/16817330649585060746/episodes/16818792437424042200)



 ようするに、ラヴァル兄弟は金目当てでシャルル七世に奉仕を申し出た。

 王はラヴァル兄弟を快く迎えたが金貨は与えず、代わりに乙女ジャンヌ・ラ・ピュセルを紹介すると言った。


 王は彼らとともにサン=テニャンからセルへ向かう途中、聖女を呼んだ。[1181]

 ジャンヌは頭以外の全身を甲冑で固め、槍を手に持ち、すぐに馬を乗り出して王のもとに駆けつけた。


 ジャンヌは二人の若い貴族(ラヴァル兄弟)を心から歓迎し、彼らとともにセルへ戻った。


 長男のギー・ド・ラヴァル卿を、ジャンヌは教会の向かいにある滞在先の宿で迎え、ワインを頼んだ。それが王侯貴族の習慣だった。ワインの入った杯が運ばれ、客はそれにソップと呼ばれるパンのスライスを浸した。[1182]


 ジャンヌは、ギー・ド・ラヴァルに酒杯を差し出しながら「近いうちにパリで飲ませてあげましょう」と言った。


 それから、三日前にジャンヌ・ド・ラヴァル夫人(兄弟の祖母)に金の指輪を贈ったことを伝えた。さらに、親切に付け加えた。


「それは小さなものでした。ラヴァル夫人の名声を考えれば、もっと価値のあるものを贈りたかったのですが」[1183]



 その夜のミサの時間に、ジャンヌはブサック元帥が指揮する多数の兵士および民兵とともに、セルからロモランタンに向けて出発した。托鉢修道士たちに囲まれ、彼女の兄弟のひとりも同行していた。


 ジャンヌは白い鎧を身につけ、フードをかぶっていた。


 大きな黒い軍馬が宿の戸口に連れてこられたが、ジャンヌが乗ることを頑なに拒んだ。ジャンヌは教会の向かいの道端にある十字架まで馬を引いていき、そこで鞍に飛び乗った。大きな軍馬がまるで縛りつけられたかのようにじっと動かないのを見て、ギー・ド・ラヴァルは驚愕した。


 ジャンヌは馬の頭を教会の入り口に向けると、澄んだ女性の声で叫んだ。


「司祭と聖職者よ、神に祈りながら行列を組んで歩きなさい」


 そして、大通りに出ると「進め、進め」と言った。

 ジャンヌは手に小さな斧を持ち、巻いた軍旗を小姓が運んでいた。[1184]




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ