14.9 これからの方針(1)シャルル七世の評議会
トゥールで過ごした10日間、王はジャンヌを常にそばに置いていた。
その間、評議会は今後の方針について協議していた。[1136]
王室の金庫は空っぽだった。シャルルは家臣団の貴族たちに褒美を与える資金を調達できたが、戦費を賄うのに苦労していた。[1137]
オルレアンの人々への支払いが滞っていた。
彼らに支給される額は少なく、多額の支出を強いられていた。
資金は底を尽き、支払いを要求していた。
5月と6月、王はオルレアン防衛に尽力した隊長たちに、合計4万1631リーヴルに相当する金額を分配した。[1138]
彼は安価に勝利を手にした。
オルレアン防衛の総費用は11万リーヴルだった。
残額は町の人々が捻出し、彼らは小さな銀のスプーンまで供出した。[1139]
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オルレアンの善良な人々を恐怖に陥れたばかりのジョン・ファストルフの手強い援軍のことを覚えているだろうか。この軍を壊滅させる試みは、絶対に必要な策だった。
(⚠️ジョン・ファストルフの援軍:オルレアンに向かっていたイングランドの援軍。この援軍が到着する前に包囲戦は決着した。第十二章「12.13 市民の疑心暗鬼(2)私生児の首を刎ねる」後半から「12.14 最初の戦い(1)夢の中の評議会」冒頭を参照)
▼12.13 市民の疑心暗鬼(2)私生児の首を刎ねる
https://kakuyomu.jp/works/16817330649585060746/episodes/16818792437026296082
▼12.14 最初の戦い(1)夢の中の評議会
https://kakuyomu.jp/works/16817330649585060746/episodes/16817330650636615180
しかし、その軍隊が今どこにいるのか、誰も知らなかった。
オルレアンとパリの間でどこかに姿を消していた。
ファストルフ隊のゆくえを探しに行くべきだが、それは不可能だった。そんなことを考えた者はいなかった。そのような合理的な軍事作戦は、当時の戦争では夢にも思わなかった。
トゥールの評議会では、ノルマンディーへの遠征が提案された。
当時はそう考えるのが自然で、国王はすぐにルーアン(ノルマンディーの首府)に向かうと想定されていた。[1140]
しかし、最終的に、ロワール川沿いのオルレアン上流から下流にかけてイングランド軍が保持している城、ジャルジョー、ムン、ボージャンシーを攻略することが決まった。[1141]
これは有益な軍事作戦である。ジョン・ファストルフの軍隊と遭遇しない限り、それほど大きな困難を伴うものではない。そして、遭遇するかどうかは誰にもわからない。
方針が決まると、すぐに「オルレアンの私生児」卿は、少数の騎士とザントライユの傭兵部隊の一部とともにジャルジョーに進軍した。しかし、ロワール川は増水しており、その水が塹壕を満たしていた。
包囲戦に備えた攻城兵器を持っていなかったため、彼らはイングランド軍にいくらかの損害を与え、町の指揮官を討つにとどめて撤退した。[1142]
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隊長たちの理屈など、乙女は知る由もなく、ほとんど気に留めなかった。
ジャンヌは自分の「声」だけに耳を傾け、その「声」は彼女に限りなく単純な言葉を語りかけた。
ジャンヌの唯一の考えは、自分の使命を果たすことだった。
聖カタリナ、聖マルガリータ、そして大天使聖ミカエルがジャンヌをフランスに遣わしたのは、王室の財政を計算するためでも、援助や税金を決議するためでも、兵士や商人や輸送隊の指揮官と交渉するためでも、作戦計画を立てたり休戦を交渉するためではない。王太子を油注ぎ(聖別式・戴冠式)に導くためだ。
だから、ジャンヌは王太子をランスに連れて行きたかった。
どうやってそこへ行くかは知らないが、神が導いてくれると信じていた。
先延ばし、遅れ、熟考はジャンヌを悲しませ、いらだたせた。
国王と一緒にいるとき、ジャンヌは優しく彼を促し、何度も言った。
「私の命はあと一年、ほんの少し長いくらいでしょう。その一年間に、できるだけ多くのことをやりましょう」[1143]
それから、期間中に成し遂げなければならない4つの任務を列挙した。
①オルレアンを解放した後、②ゴドン(イングランド人への蔑称)をフランスから追い出し、③国王をランスに導いて戴冠・聖別させ、④オルレアン公をイングランド人の手から救い出さなければならない。[1144]




