13.5 市民の願いとジャンヌの約束(3)負傷とおまじない
正午になると、誰もが昼食のために引き上げた。
そして、午後1時ごろ、彼らは再び戻ってきて作業に取りかかった。[1071]
ジャンヌは最初のはしごを運んだ。
それを城壁に立てかけようとしたとき、右胸の上の肩を、まっすぐに矢で射抜かれ、矢の半フィートが肉に突き刺さった。[1072]
ジャンヌは自分が傷つくことを知っていた。
王にそのことを予言し、それでも王はジャンヌを雇わなければならないと伝えた。ジャンヌはそのことをオルレアンの人々に告げ、前日には従軍司祭のパスケレル修道士にも話していた。[1073]
そして確かに、この5日間、ジャンヌはその予言を実現させるために最善を尽くしていた。[1074]
イングランド軍は、矢がジャンヌの肉を貫いたのを見て、大いに勇気づけられた。彼らは、魔女が血を流せば、魔性の力はすべて消えると信じていた。
フランス軍は、大いに悲しんだ。
彼らは、傷ついたジャンヌを戦場の外れに運んだ。
パスケレル修道士と小姓のミュゴがジャンヌと一緒にいた。
ジャンヌは痛みに怯え、恐ろしくて泣いていた。[1075]
戦闘で兵士が負傷したときによくあるように、兵士たちの一団がジャンヌを取り囲んだ。そのうちの何人かが、ジャンヌに「まじない」をかけようとした。
兵士たちの間では、傷口に向かって『主の祈り(パーテル・ノステル)』をつぶやいて傷をふさぐのが習慣だった。
(⚠️パーテル・ノステル(paternosters):ラテン語で「われらの父」という意味。キリスト自身によって示された代表的な祈りを指す)
止血のまじないは、呪文や祈祷によって唱えられた。
特定の『主の祈り』には出血を止める力があると言われ、魔法の言葉が書かれた紙なども使用された。
しかし、それは悪魔の力に頼り、大罪を犯すことを意味した。
ジャンヌはまじないをかけられることを望まなかった。
ジャンヌは「罪だと知っていることや、神の意志に反することをするくらいなら、死んだほうがまし」だと言った。
しばらくすると、ジャンヌは再び言った。
「私は自分が死ぬことを知っています。しかし、いつ、どのように死ぬかはわからないし、時間も知りません。もし私のこの傷が罪なく癒されるなら、私は完全に癒されることを望みます」[1076]
手当てをするため、ジャンヌの甲冑は脱がされた。
矢傷にはオリーブオイルと油脂が塗られ、応急処置が終わると、ジャンヌは泣き叫びながらパスケレル修道士に告解した。
すぐに、天上の助言者である聖カタリナと聖マルガリータがジャンヌのもとへやって来るのを幻視した。聖女二人は冠をかぶり、甘い香りを放っていた。
こうして、ジャンヌは慰められた。[1077]
再び甲冑を身につけ、戦場へと戻っていった。[1078]




