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教皇庁に禁書指定されたジャンヌ・ダルク伝  作者: しんの(C.Clarté)
上巻・第十三章 レ・トゥーレル奪還/オルレアン解放

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13.4 市民の願いとジャンヌの約束(2)貴族と傭兵と市民の温度差

 オルレアン市民は早合点しすぎていた。

 タルボットとサン・ローラン陣営のイングランド軍を恐れていたにもかかわらず、貴族たちは早朝にロワール川を渡り、ル・ポルトローで弓兵や民兵とともに夜を過ごした馬や従者たちと合流した。


 オルレアンの私生児卿、ゴークール卿、ジル・ド・レ卿、グラヴィル卿、ギトリー卿、コアラズ卿、ヴィラール卿、イリエ卿、シャイイの領主たち、キュラン提督、ラ・イル隊長、ザントライユ隊長たち全員がそこにいた。[1062]


 乙女ジャンヌ・ラ・ピュセルも彼らと一緒だった。


 行政官たちは彼らに、防護柵、あらゆる種類の矢、ハンマー、戦斧、鉛(弾薬)、火薬、カルバリン砲(長砲)、大砲、はしごなど、大量の兵器を送った。[1063]


 攻撃は朝早くから始まった。

 攻撃を困難にしたのは、堡塁に立てこもり、塔に陣取ったイングランド兵の数ではなかった。彼らはわずか500人しかいなかった。[1064]


 確かに、彼らはモリンズ卿の指揮下にあり、その下にはポイニングス卿とグラスデール隊長がいた。グラスデール隊長はフランスではグラシダスと呼ばれ、身分は低いが、勇敢さではイングランド軍では第一人者だった。[1065]


 包囲される者から攻撃者に転じた側、オルレアン市民、兵士、弓兵の数はその10倍だった。


 これほど多くの戦闘員が集まったことは、フランス人にとって大きな名誉だったが、これほど大人数を一度に投入することはできなかった。


 騎士たちは土塁に対してはあまり役に立たず、市民は非常に熱心だが粘り強さはなかった。[1066]


 最後に、慎重で思慮深いオルレアンの私生児卿は、タルボットを恐れていた。[1067]


 実際、オルレアンの切羽詰まった状況をタルボットが知っていたなら、フランス軍がレ・トゥーレル要塞を攻撃している間に町を占領できたかもしれない。戦争は常に偶然の連続だが、その日のイングランド軍は協調的な動きをする気配が一切見られなかった。


 とはいえ、この大軍は無敵ではなかった。誰も制御できなかった。オルレアンの私生児卿でさえ、それをどう運用してどう行動に移せばよいかわからなかった。


 当時、戦いの勝敗は、ごく少数の戦闘員の手にゆだねられていた。

 前日の戦いも、2〜3人の男によってすべてが決まった。


 塹壕の前に集まったフランス軍は、数人の兵士がはしごをかけてよじのぼり、攻撃を試みているのを、見物人の大群がぼんやりと見ているような有様だった。


 軍隊の規模にもかかわらず、長い間、攻撃は一連の一騎打ちに終始した。

 最も熱心な兵士が城壁に20回も近づき、20回もの退却を余儀なくされた。[1068]

 死傷者も出たが、多くはなかった。

 貴族たちは生涯ずっと戦争にかかわるため用心深く、傭兵たちは自分の部下を気にかけていたが、市民は戦争の初心者だった。[1069]


 ただひとり、ジャンヌだけが全身全霊をかけて戦いに身を投じていた。

 ジャンヌは絶えずこう言っていた。


「元気を出して。退却しないで。砦はすぐにあなたたちのものになるから」[1070]


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