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教皇庁に禁書指定されたジャンヌ・ダルク伝  作者: しんの(C.Clarté)
上巻・第十三章 レ・トゥーレル奪還/オルレアン解放

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13.1 フランス軍の兵士とオルレアンの民兵

 翌日、5月6日の金曜日、乙女ジャンヌ・ラ・ピュセルは夜明けに起きた。

 従軍司祭に告解(懺悔、罪の告白)し、仲間の司祭と戦士たちの前でミサが歌われるのを聞いた。[1037]


 熱心な町の人たちは、すでに起きて武装していた。

 ジャンヌが告げたかどうかはともかく、ロワール川を渡ってレ・トゥーレル要塞を自分たちで攻撃しようと固く決意していた市民たちは、ブルゴーニュ門に群がっていたが、門は閉ざされていた。


 ゴークール卿が武装兵とともに門を守っていた。


 貴族たちは、市民が作戦の全容に気付いて、むやみに参戦したがる場合に備えて、この予防策を講じていた。


 門は閉ざされ、厳重に守られていた。


 本来ならオルレアンの貴重な宝であるレ・トゥーレル要塞を、みずからの手で戦って取り戻そうと決心した市民たちは、ジャンヌに頼ろうとした。


 聖人の前で門は開き、城壁は崩れる。

 だから、オルレアンの人々は乙女を呼びにいった。


 ジャンヌは率直かつ恐ろしい姿でやって来た。

 まっすぐにゴークール卿のもとへ行き、彼の言葉を聞き入れようとせず、こう言った。


「あなたはこの人たちが出かけるのを邪魔している悪い人です。でも、あなたが望もうと望むまいと、彼らは出かけていき、先日と同じようにうまく行動するでしょう」[1038]


 ジャンヌの声に興奮し、乙女の存在に勇気づけられた市民たちは、「殺せ!」と叫びながら、ゴークール卿と兵士たちに襲いかかった。


 老将は、彼らに何もできないし、自分の考えに同意させることも不可能だと悟ると、みずから彼らに加わった。


 門を大きく開けさせると、市民に向かって叫んだ。


「来なさい。私があなたたちの隊長になろう」


 ヴィラール卿とドーロン卿とともに、門を守っていた兵士たちと町のすべての部隊の先頭に立って出撃した。


 城壁の東にあるラ・トゥール・ヌーヴ(ヌーヴ塔)のふもとに、ボートが停泊していた。

 そのボートでイル・オー・トワル(中州)に到着し、そこからボート2隻をつなげて作った橋で、イル・オー・トワルとソローニュ側の岸辺を隔てている狭い支流を渡った。[1039]


 先に到着した者は、放棄されたサン・ジャン・ル・ブランの砦に侵入し、他の者たちを待ちながら砦を破壊して楽しんでいた。[1040]


 全員が渡り終えると、市民たちは陽気にレ・オーギュスタン砦(堡塁)に向かって進軍した。

 この砦は、レ・トゥーレル要塞の正面に位置しており、修道院の廃墟の上にあった。大橋の端にあるレ・トゥーレル要塞を攻撃する前に、その砦を占領する必要があった。


 しかし、塹壕から敵が出てきて、フランス軍から弓2射程分の距離まで前進し、長弓とクロスボウから矢の雨を降らせたので、オルレアンの人々は耐えられなかった。

 市民たちは後退し、ボートで作った橋まで逃げ、川に投げ込まれるのを恐れて、イル・オー・トワル(中州)に渡った。[1041]


 ゴークール卿が率いる兵士たちは、戦争に慣れていた。

 ヴィラール卿とドーロン卿、そして勇敢なスペイン人ドン・アロンソ・デ・パルターダとともに、彼らはサン・ジャン・ル・ブランの斜面に陣取り、敵に抵抗した。


 人数はかなり少なかったが、午後3時ごろにラ・イル隊長とジャンヌが傭兵たちとともに川を渡ってくるまで持ちこたえていた。


 フランス軍が苦戦し、イングランド軍が戦闘態勢を整えているのを見て、彼らは連れてきた馬に乗り、槍を構えて敵に向かって突進した。


 市民も勇気を取り戻し、彼らを追いかけてイングランド軍を押し戻した。

 しかし、砦(堡塁)のふもとで市民は再び撃退された。[1042]


 ジャンヌは激しく動揺しながら、砦から岸辺へ、岸辺から砦へと馬を走らせ、騎士たちを呼んだが、騎士たちは来れなかった。


 彼らの計画は狂い、戦闘の序列は逆転し、態勢を立て直す時間が必要だった。


 ついにジャンヌは、オルレアンの私生児卿、ブサック元帥、ジル・ド・レ卿のバナー旗が島の上にたなびいているのを見た。砲兵隊が到着し、ジャン・ド・モンテスクレール砲兵長(名砲手で知られるメートル・ジャン)はカルバリン砲と砲手たちとともに、攻撃に必要なすべての兵器を運び込んだ。


 兵士4000人が、レ・オーギュスタン砦の周りに集結した。


 しかし、すでに多くの時間が失われていた。

 彼らの戦いはようやく始まったばかりだというのに、太陽は沈みかけていた。[1043]


 ゴークール卿の兵士たちは、イングランド軍が大橋の端からレ・オーギュスタン砦にいる同胞を援護しに来た場合に備えて、包囲軍を援護するために後方に陣取っていた。


 しかし、ゴークール卿の部隊で口論が起こった。

 ドーロン卿やドン・アロンソのように、持ち場から離れないほうが良いと判断した者もいれば、戦いに参加しないことを恥じる者もいた。そのため、傲慢な言葉や見栄を張るような発言が飛び交った。


 最終的に、ドン・アロンソとある兵士は、どちらが一番手柄を立てるかを競い合うことを、互いに挑み、手を取り合って砦に向かって走り出した。


 メートル・ジャンのカルバリン砲による一斉射撃で、砦の柵が倒壊した。

 すぐに、ふたりの勇者が強引に突入した。[1044]


 ジャンヌは「大胆に突入せよ!」と叫んだ。[1045]

 そして、城壁に軍旗を立てた。ジル・ド・レ卿がジャンヌのすぐ後を追った。


 フランス軍の数は増え続けていた。

 彼らは砦に猛攻撃を仕掛け、すぐに力づくで占領した。

 その後は、ゴドン(イングランド人への蔑称)が立て篭もる修道院の建物を次々と攻撃しなければならなかった。


 結局、レ・トゥーレル要塞まで逃げ込んだ数人を除いて、イングランド兵は全員殺されるか捕らえられた。


 小屋の中で、フランス軍は多くの自軍兵士が監禁されているのを発見した。

 彼らを救出した後、砦に火を放ち、イングランド軍に新たな惨状を知らせた。[1046]


 ジャンヌが、仲間たちが容赦なく行っていた略奪を止めるために、火を放つよう命じたと言われている。[1047]


 勝利を収め、大きな優位を勝ち取った。

 しかし、フランス軍はなかなか自信を取り戻せなかった。

 火の光に照らされた暗闇の中で、初めてレ・トゥーレル要塞の防壁が間近に迫っているのを見たとき、兵士たちは恐れをなした。


「ここを占領するには1カ月以上かかるだろう」と言う者もいた。[1048]

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