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教皇庁に禁書指定されたジャンヌ・ダルク伝  作者: しんの(C.Clarté)
上巻・第十二章 オルレアンのラ・ピュセル

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12.14 最初の戦い(1)夢の中の評議会

 ジョン・ファストルフの接近は、4月26日時点ですでに知らされていた。

 ブロワからの輸送隊がラ・ソローニュを通る左岸ルートを選んだのは、まさに彼を避けるためだった。5月4日の知らせが来るまでは、確かな根拠がなかったのかもしれない。


 しかし、オルレアンの私生児卿は別のことを知っていた。


 二度目の輸送隊の穀物は、最初の輸送隊と同じように(左岸ルートの陸路をいったん上流まで進んでから)ロワール川を下ってオルレアンに運びこむ予定だった。

 軍議では、午後に隊長たちが(右岸の上流にある)サン・ルー砦を攻撃し、4月29日のようにイングランド軍の注意を逸らすことが決定されていた。[1006]


 このとき、サン・ルー砦への攻撃はすでに始まっていたが、私生児卿はジャンヌにこのことを一言も漏らさなかった。


 彼は、ジャンヌが町における唯一の力の源泉だと考えていた。

 しかし、戦争における彼女の役割は、純粋に精神的なものだと彼は信じていた。[1007]


(⚠️補足すると、オルレアンの私生児は、ジャンヌの役割について「味方の精神安定剤」として期待しているものの、軍事関連の助言をもらったり戦闘に参加させる気はなかったようです)



 私生児卿が退席した後、朝の遠征で疲れ切っていたジャンヌは、女主人とともにベッドに横になり、少し眠った。


 従騎士のジャン・ドーロン(オルレアンの私生児とともに輸送隊の護衛に出かけていた。ジャンヌは出迎えのみ)は非常に疲れていたので、同じ部屋の長椅子で体を伸ばし、必要な休息を取ろうとした。


 しかし、眠りに落ちるかどうかのうちに、ジャンヌがベッドから飛び上がり、大きな音を立ててドーロンを起こした。彼はジャンヌに何が欲しいのか尋ねた。


「神の名において」


 ジャンヌはひどく動揺して答えた。


「私の評議会は、イングランド軍と戦うようにと私に命じた。だけど、彼らの砦に向かうのか、物資を運んでくるファストルフ隊に向かうのか……、どちらと戦うべきかわからない!」[1008]


 夢の中で、ジャンヌは聖人たちの評議会に出席していた。

 ジャンヌは聖カタリナと聖マルガリータを見た。

 すると、いつも起こることがまた彼女に起こった。


・聖人たちは、ジャンヌが知っていること以上のことは何も話さない。

・聖人たちは、ジャンヌが知る必要のある情報を何も明かさない。


 ちょうどその瞬間、フランス軍がサン・ルー砦を攻撃し、大きな被害を受けていることをジャンヌに知らせなかった。聖人たちは「何が起こっているか」も「何をすべきか」も伝えないまま、ジャンヌを《《誤り》》の中に置き去りにして去っていった。


 善良なジャン・ドーロンは、ジャンヌの当惑を解消できる人物ではなかった。

 軍議から除外されていたため、作戦のことも何が起きているかも知らなかった。


 彼は何も答えず、できるだけ早く武装し始めた。

 通りから大きな音と叫び声が聞こえたとき、彼はすでに武装を整えていた。

 通行人から、サン・ルー砦の近くで戦闘があり、敵がフランス軍に大きな損害を与えていることを聞き出した。ジャン・ドーロンはそれ以上尋ねることなく、すぐに小姓のところへ行き、鎧を着せた。


 ほぼ同時に、ジャンヌが下りてきて尋ねた。


「私の鎧職人はどこにいる? 我が民族の血が流されている」[1009]


 通りで、ジャンヌの従軍司祭であるパスケレル修道士と小姓のミュゴが他の司祭たちとともにいるのを見つけて、ジャンヌは叫んだ。


「ああ! 残酷な少年よ、フランスの血が流されていることをどうして私に言わなかったの……! 神の名において、私たちの民は大変な目に遭っているのに」[1010]


 ジャンヌは「馬を連れて来るように」と小姓に命じ、ジャック・ブーシェの妻と娘の手を借りて武装の準備を仕上げた。


 小姓が戻ってくると、ジャンヌは完全に装備を整えていた。

 ジャンヌは部屋から軍旗(standard)を取ってこさせ、小姓は窓からそれを手渡した。軍旗を受け取ると、ジャンヌは馬に拍車をかけてブルゴーニュ門に向かって大通りへと走らせた。道の敷石から火花が散るほどの勢いだった。


 ジャック・ブーシェの妻は「急いで彼女を追いかけて!」と叫んだ。[1011]


 ジャン・ドーロンは、ジャンヌが出発する姿を見ていなかった。

 なぜそう思ったのかは不明だが、ジャン・ドーロンは、ジャンヌが徒歩で出かけ、通りで馬に乗った小姓に出会い、彼を降ろして馬を譲らせたと想像した。[1012]


 ブーシェ邸に近いルナール門(町の西側)と、戦闘が起きている場所に近いブルゴーニュ門(町の東側)は、町の反対側に位置していた。

 ここ3日間、ジャンヌはオルレアンの通りを行ったり来たりして歩き回っていたので、最も直線的な近道を選んだ。ジャン・ドーロンと小姓は急いで追いかけたが、ジャンヌがブルゴーニュ門に到着するまで追いつけなかった。


 そこで彼らは、負傷者が町に運ばれてきたのを目撃した。

 ジャンヌは、担ぎ手に「その男は誰なのか?」と尋ねた。

 フランス人だと聞いて、ジャンヌはこう言った。


「フランス人の血が流れるのを見て、心臓が止まるような思いがした」[1013]


 ジャンヌとドーロンは、仲間の兵士数人とともに、サン・ルー砦に向かって野原を急いだ。途中で、仲間の何人かに出会った。

 この善良な従騎士ジャン・ドーロンは大規模な戦闘に慣れておらず、これほど多くの兵士を見たことは過去に一度もなかった。[1014]




————————————

(⚠️訳者の覚書)

「フランス人の血が流れるのを見て、心臓が止まるような思いがした」


後半の訳文がかなり悩ましい。直訳すると「心臓が止まらないことはありえない」……で、本当は「じっとしてられない」が適訳かも。なお、一般書籍の訳文自体が意訳ぎみで「髪が逆立つ思いがした」

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