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教皇庁に禁書指定されたジャンヌ・ダルク伝  作者: しんの(C.Clarté)
上巻・第十二章 オルレアンのラ・ピュセル

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12.13 市民の疑心暗鬼(2)私生児の首を刎ねる

 事態を悪化させ、危険とパニックを増大させたのは、市民が裏切られたと信じたことだった。彼らは「ニシンの戦い」でのクレルモン伯を思い出し、国王の軍隊はオルレアンを見捨てようとしているのではないかと疑った。


 あれだけ多くの努力を払い、あれだけの多額の費用を費やしたあげく、自分たちはイングランド軍に引き渡されるのだと悲観した。


 この考えが、オルレアン市民を狂わせた。[997]


 ブサック元帥が、2回目の輸送隊を迎えるために「オルレアンの私生児」卿とともに出発し、5月3日の火曜日に帰還する予定だったが戻ってこないという噂が広まった。また、フランス宰相ルニョー・ド・シャルトルが軍を解散させようとしているという噂も流れた。いずれも馬鹿げたデマだった。


 それどころか、国王シャルル七世の評議会とシチリア女王ヨランド・ダラゴンの評議会は、オルレアン市の解放に向けてあらゆる努力を続けていた。


 しかし、オルレアン市民の頭の中は、長い苦しみと恐ろしい危険によって混乱を極めていた。


 もっと現実的な懸念もあった。ブロワからの輸送隊が、行軍中に敵と遭遇して、「ニシンの戦い」と同じ災難がまた起きるのではないかということだ。


 ジャンヌの仲間たちは、オルレアン市民の不安に感染していた。

 そのうちの一人は、ジャンヌに不安を打ち明けたが、彼女は動じなかった。

 啓示を受けた者らしい、輝くような静けさでジャンヌは言った。[998]


「元帥は戻って来ます。彼に悪いことは起きないと確信しています」[999]


 その日、ジアン、シャトー・ルナール、モンタルジの小規模な守備隊が市内に入ってきた。[1000] しかしブロワからの輸送隊は来なかった。


 翌日の夜明け、ロワール川の右岸、ラ・ボースの平原で輸送隊の姿が確認された。

 ジル・ド・レ卿が率いる輸送隊一行は、ブサック元帥と「オルレアンの私生児」卿に護衛され、オルレアンの森の外周を回り込むように進んでいた。[1001]


 この知らせを聞いて、オルレアン市民は「乙女がタルボットに向かってまっすぐ進軍しようとしたのは正しかった!」と叫んだ。なぜなら、隊長たちは今やジャンヌが希望した行軍ルートををたどっているではないか。


 しかし、実のところ、彼らが考えているのとは少し事情が違っていた。


 今回はブロワからの輸送隊を二手に分け、その一部を使って、右岸・西側の堡塁の間を強行突破することが可能かどうかを試したのである。


 輸送隊の本隊は、最初の輸送隊と同じく左岸ルートを通り、護衛とともにラ・ソローニュを通過し、ロワール川を渡って町に入る予定だった。最初に成功した物資搬入のさまざまな取り決めは、当然ながら今回も繰り返された。[1002]


 ラ・イル隊長と他の指揮官たち数名は、兵士500人とともに市内に残っていたが、ジル・ド・レ卿、ブサック元帥、オルレアンの私生児卿を迎えに出かけた。ジャンヌも馬に乗り、彼らと一緒に出発した。


 彼らはイングランド軍の陣営を通り抜け、少し先で軍隊と合流した後、一緒に町に戻った。

 従軍司祭たちの中に、ジャンヌのバナー旗を掲げたパスケレル修道士もおり、賛美歌を歌いながらパリ砦の下を最初に通過した。[1003]



 ジャンヌは、執事のジャン・ドーロンとともに、ジャック・ブーシェの家で夕食をとった。


 食事が終わってテーブルが片づけられると、オルレアンの私生児がブーシェ邸を訪れ、ジャンヌとしばらく話をした。彼は礼儀正しく丁寧だったが、言葉は控えめだった。


「確かな筋から聞いた話だが、包囲戦を指揮しているイングランド軍に、もうすぐファストルフが合流する。彼は物資と援軍を携えており、すでにジャンヴィルに到着している」


 この知らせを聞いて、ジャンヌはとても嬉しそうに笑いながら言った。


「私生児さん、私生児さん、神の名において命じます。ファストルフが到着したらすぐに私に知らせるように。もし私の知らないうちに彼が来たら、あなたの首を刎ねると警告しておきます」[1004]


 オルレアンの私生児卿は、そのような無礼な冗談に腹を立てるどころか、ジャンヌに「心配はいらない。必ず知らせるから」と答えた。[1005]


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