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教皇庁に禁書指定されたジャンヌ・ダルク伝  作者: しんの(C.Clarté)
上巻・第十二章 オルレアンのラ・ピュセル

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12.10 オルレアン到着3日目(1)市民の熱狂

 5月1日の日曜日、「オルレアンの私生児」卿はブロワから来る軍隊を迎えに行った。[981]

 彼はこの辺りの土地勘に明るく、精力的かつ用心深かったので、以前の輸送隊を迎えたときと同じように、次の輸送隊の行軍も積極的に支援したいと考えていた。


 彼は、少数の護衛を連れて出発した。

 ジャンヌを連れて行く気はなかったが、いわば「聖女の保護下に身を置いている」ことを示し、オルレアンの人々の信仰心と愛情を巧みにくすぐって喜ばせるために、ジャンヌに仕える執事で従騎士でもあるジャン・ドーロンを連れて行った。[982]


 こうして「オルレアンの私生児」卿は、ジャンヌに好意を示す最初の機会をつかんだが、これからは聖女の庇護なしでは何もできないだろうと察していた。



 オルレアン市民の熱狂は少しも衰えなかった。

 この日も、聖女を一目見たいという熱烈な思いから、ジャック・ブーシェの家に群衆が押し寄せた。ピュイの巡礼者がラ・ヴィエルジュ・ノワールの聖域に押し寄せたのと同じくらい騒々しかった。


(⚠️ピュイ巡礼と聖域について:上巻・第九章「9.2 ジャンヌの従軍司祭、ジャン・パスケレル修道士」参照。

https://kakuyomu.jp/works/16817330649585060746/episodes/16817330649595140279)


 出入り口のドアを押し破ってしまいそうな勢いがあった。

 町の人たちの叫び声が、ジャンヌの耳にも届いていた。


 ついに、彼女が姿を現した。

 善良で、賢明で、使命にふさわしい、人々の救済のために生まれた者だ。

 荒れ狂った群衆は、ジャンヌからの号令を今か今かと待っていた。隊長や兵士が出払っている今こそ、敵の要塞に突撃して騒ぎを起こし、聖女が約束したしるしが投じられて、敵の命が尽きるのを待つばかりだった。


 ジャンヌは戦争の幻影に悩まされていたにもかかわらず、このとき、人々が期待している号令を与えなかった。ジャンヌはまだ子供で、人生と同じくらい戦争のことを知らなかったが、ジャンヌの中には災いを遠ざける何かがあった。


 ジャンヌはこの人間の群れを、敵の要塞ではなく町の教会へと導いた。


 ジャンヌは馬に乗ると、多くの騎士と従者をつれて町の通りを駆け下りた。

 男も女も、聖女を一目見ようと追いかけ、どこにでも押し寄せ、一向に見飽きることがなかった。


 彼らは、ジャンヌの乗馬の仕方や所作のひとつひとつに驚嘆し、どこから見ても立派な武人だと評した。もし、聖ジョージ(聖ゲオルギウス)がイングランドの守護聖人でなければ、彼らはジャンヌを本物の聖ジョージと見なして歓迎しただろう。[983]


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