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教皇庁に禁書指定されたジャンヌ・ダルク伝  作者: しんの(C.Clarté)
上巻・第十二章 オルレアンのラ・ピュセル

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12.4 ロワール川を渡る(1)ジャンヌ、帰ろうとする

 すべてが慎重に計画され、準備されていたが、ちょっとした障害が発生した。

 オルレアンの人々が食糧を運ぶために派遣するはずだった艀船(はしけ。重い貨物を積んで航行する平底の船)がまだ係留されてなかった。[932]


 それは帆船で、東から風が吹いているときは出航できなかったのだ。

 どれくらい遅れるか誰にもわからず、時間は貴重だった。

 ジャンヌは不安を募らせる人々に、自信を持って言った。


「少し待ちましょう。神の名において、すべてが町に入れますから」[933]


 ジャンヌの言うとおりになった。

 風向きが変わり、帆が広げられ、艀船はしけは順風に運ばれて川を上った。その風は、1隻のボートが他の2〜3隻を牽引することができるほど強くなった。[934]

 そして、何ら邪魔されることなく、サン=ルー要塞を通り過ぎた。

 オルレアンの私生児卿は、ロドス島騎士団のフランス大修道院長であるニコル・ド・ジレスム(Nicole de Giresme)と共に、これらのボートの一隻に乗船した。


 船団はシェシーの港に到着し、そこで一晩停泊した。[935]

 その夜、救援軍はブーシェの港に野営し、川の下流を見張って輸送船団を警護した。分隊のひとつは、ジャルゴー方面に向かって川上を監視するため、シェシーの島々(中洲)の近くに配置することが決まった。


 何人かの隊長、そして武装兵と弓兵の一団とともに、ジャンヌはイル・ドゥー・ブルドン(l'Île-aux-Bourdons)まで川岸に沿って進んだ。[936]


 輸送隊を率いてきた隊長たちは、荷揚げ(荷下ろし)の後、すぐに帰路につくことを決定した。

 軍は任務の最初の部分を完了したので、残りの食料と弾薬を取りにブロワに戻る予定だった。物資は二手に分けており、すべてが一度に運ばれてきたわけではなかったからだ。


 ジャンヌは、オルレアンまで一緒に来た兵士たちが帰ると聞いて、彼らについて行きたいと願った。オルレアンに連れて行ってほしいとあれほど強く願っていたのに、今やその城門の手前で、ジャンヌの唯一の願いは帰ることだった。[937]


 このように、神秘家の魂は、聖霊の息吹によってあちらこちらへと吹き飛ばされやすい。


 今も昔も、ジャンヌは純粋に霊的な衝動に導かれていた。

 ジャンヌはこれらの兵士たちと別れたくなかった。なぜなら、この兵士たちは神と和解したと信じることができたが、他の兵士たちが同じように悔い改めているとは限らないと恐れていたからだ。


 ジャンヌにとって、戦闘員が恵みの状態にあるか罪の状態にあるかによって、戦いの勝敗は決定されるのである。兵士たちを告解(懺悔・罪を告白)に導くことが、ジャンヌの唯一の戦術だった。城壁の後ろで戦うにしろ、野外で戦うにしろ、他のやり方を知らなかった。[938]


 ジャンヌは「町に入ることについて」熱心に語り出した。


「みんなと離れるのはつらいし、私を傷つけたくないならそうすべきではない。私の兵士たちは全員、告解を済ませているので、彼らと一緒なら、私はイングランド軍がどれほど力強くても恐れないだろう」[939]


 実際のところ、誰でも容易に想像できるように、罪を告白していようがいまいが、ジャンヌの近くにいるか遠くにいるかに関係なく、これらの傭兵たちは単純な精神(幼稚な精神)に見合うだけのあらゆる罪を犯していた。


 しかし、無垢な乙女はそれを見ていない。

 ジャンヌの目は、目に見えないものに敏感だったが、物質的なものには盲目だった。


 ジャンヌを連れてきた隊長たちは、王の命令を理由に彼女を連れ戻したいと考えており、ジャンヌはますますブロワに戻るという決心を固めた。

 彼らは、聖女が幸運をもたらすと信じていたので、ジャンヌを手元に置いておきたかったのだ。


 しかし、オルレアンの私生児卿は、ジャンヌを帰還させれば深刻な障害と危険を引き起こすと感じていた。[940]


 オルレアンの人々を置き去りにした状態で、乙女が彼らの前に現れずにいなくなれば、町の人々は怒りと絶望に駆られて、叫び、脅し、暴動を起こし、虐殺に至るまで暴力を振るう恐れがあった。


 オルレアンの私生児卿は、隊長たちに「王の利益のために、ジャンヌがオルレアンに入ることに同意してほしい」と懇願した。大した苦情もなく、彼らはジャンヌを残してブロワに戻ることを了承した。


 しかし、ジャンヌはそう簡単には屈しなかった。

 オルレアンの私生児卿は、ジャンヌにロワール川を渡ることを決意するよう懇願した。


 それでも、ジャンヌはかたくなに拒否し、その執拗さに、彼は聖人に影響を与えることがいかに難しいかを悟ったに違いない。


 ジャンヌを連れてきた指揮官の一人、ジル・ド・レ卿またはアンブロワーズ・ド・ロレ卿が、オルレアンの私生児卿の懇願に加わり、ジャンヌにこう言う必要があった。


「あなたはオルレアンに行かなければなりません。私たちはすぐにあなたのもとに戻ると約束しますから」[941]


 結局、パスケレル修道士がジャンヌの軍旗を掲げて彼らとともにブロワに行くという条件を経て、ついにジャンヌは、自分の部下が良い精神的指導者を得られると信じて、オルレアン滞在を聞き入れた。[942]


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