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沢(さわ)凪(なぎ)せ女(にょ)り~た4  作者: 椎家 友妻
第二話 姉、御撫の学び舎に立つ
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12 起きたら全裸

 ちゅんちゅん、ちゅんちゅん。

 翌朝目を覚ますと、


 姉ちゃんが、また裸で俺の布団に潜り込んでいました。


 「のわああああっ⁉だから服を着ろと言うのに!」

 俺は思うわずそう叫んだが、姉ちゃんは上半身丸出しで起き上がり(せめて(かく)せよ!)、寝ぼけ(まなこ)をこすりながら言った。

 「いやぁ、夕べはTシャツを着て寝たんだけど、やっぱり裸の方がよく眠れるから、結局脱いじゃった」

 「脱いじゃったじゃねぇよ!とにかく早く着ろ!」

 俺はそう言って、布団の隅に脱ぎ捨てられた姉ちゃんのTシャツを拾い上げ、それを姉ちゃんに差し出す。

が、姉ちゃんはそれを受取ろうとぜず、ニヤニヤしながらこう言った。

 「ねぇ、この状況を他の人が見たら、あんたが私のTシャツをはぎ取ったみたいじゃない?」

「そうだろうよ!だから早く着ろよ!

こんなところ他の誰かに見られたらどえらい事になるんだからよ!」

 俺は必死でそう(うった)えたが遅かった。

部屋の入り口にいつの間にか現れた美鈴(みすず)が、頬の筋肉をぴくぴくひきつらせながら、この光景を凝視(ぎょうし)していた。

そして震える右手で俺を指さし、怒りに満ちた声でこう言った。

 「なかなか起きてこないと思ったら、朝っぱらから何て事してんのよ!」

 「ちっがーうっ!」

 俺はそう叫んだが、姉ちゃんが次に発して言葉が、全てを台無しにした。

 「ひどいわ(せい)()。いくら私がナイスバディーの絶世の美女とはいえ(否定はせんが自分で言うな!)、私達は実の姉弟(きょうだい)なのよ?」

 「だあああぁっ!ちょっと黙れ!早くシャツ着ろ!もう(しゃべ)るな!」

 俺がそう言って姉ちゃんの前にTシャツを(たた)きつける中、美鈴の顔はマグマよりも熱く赤くなっていた。

そして大噴火する火山のごとく、俺にそのマグマのような怒号(どごう)をあびせた。

 「可愛い女の子には見境(みさかい)なくスケベな事をするとは思っていたけど(してねぇ!)、

まさか実のお姉さんにまで手を出すなんて・・・・・・

稲橋(いなはし)君のスケベ!変態!もう知らない!」

 そして美鈴が乱暴に部屋の引き戸を閉め、ドカドカ足音を立てて去って行った。

 ああ、どうしていつもこうなるんだよ?

南極の氷山がガラガラと(くず)れるように、俺の心もガラガラと崩れる思いだった。

そんな俺を愉快(ゆかい)そうに(なが)めながら、姉ちゃんはしみじみと言った。

 「いやあ、あんたと美鈴ちゃん、色々な意味で前途(ぜんと)多難(たなん)だわねぇ」

 「誰のせいだよ!」

 まあ、俺と美鈴に前途なんてもんがあるのか知りませんけどね!



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