12 起きたら全裸
ちゅんちゅん、ちゅんちゅん。
翌朝目を覚ますと、
姉ちゃんが、また裸で俺の布団に潜り込んでいました。
「のわああああっ⁉だから服を着ろと言うのに!」
俺は思うわずそう叫んだが、姉ちゃんは上半身丸出しで起き上がり(せめて隠せよ!)、寝ぼけ眼をこすりながら言った。
「いやぁ、夕べはTシャツを着て寝たんだけど、やっぱり裸の方がよく眠れるから、結局脱いじゃった」
「脱いじゃったじゃねぇよ!とにかく早く着ろ!」
俺はそう言って、布団の隅に脱ぎ捨てられた姉ちゃんのTシャツを拾い上げ、それを姉ちゃんに差し出す。
が、姉ちゃんはそれを受取ろうとぜず、ニヤニヤしながらこう言った。
「ねぇ、この状況を他の人が見たら、あんたが私のTシャツをはぎ取ったみたいじゃない?」
「そうだろうよ!だから早く着ろよ!
こんなところ他の誰かに見られたらどえらい事になるんだからよ!」
俺は必死でそう訴えたが遅かった。
部屋の入り口にいつの間にか現れた美鈴が、頬の筋肉をぴくぴくひきつらせながら、この光景を凝視していた。
そして震える右手で俺を指さし、怒りに満ちた声でこう言った。
「なかなか起きてこないと思ったら、朝っぱらから何て事してんのよ!」
「ちっがーうっ!」
俺はそう叫んだが、姉ちゃんが次に発して言葉が、全てを台無しにした。
「ひどいわ聖吾。いくら私がナイスバディーの絶世の美女とはいえ(否定はせんが自分で言うな!)、私達は実の姉弟なのよ?」
「だあああぁっ!ちょっと黙れ!早くシャツ着ろ!もう喋るな!」
俺がそう言って姉ちゃんの前にTシャツを叩きつける中、美鈴の顔はマグマよりも熱く赤くなっていた。
そして大噴火する火山のごとく、俺にそのマグマのような怒号をあびせた。
「可愛い女の子には見境なくスケベな事をするとは思っていたけど(してねぇ!)、
まさか実のお姉さんにまで手を出すなんて・・・・・・
稲橋君のスケベ!変態!もう知らない!」
そして美鈴が乱暴に部屋の引き戸を閉め、ドカドカ足音を立てて去って行った。
ああ、どうしていつもこうなるんだよ?
南極の氷山がガラガラと崩れるように、俺の心もガラガラと崩れる思いだった。
そんな俺を愉快そうに眺めながら、姉ちゃんはしみじみと言った。
「いやあ、あんたと美鈴ちゃん、色々な意味で前途多難だわねぇ」
「誰のせいだよ!」
まあ、俺と美鈴に前途なんてもんがあるのか知りませんけどね!




