草原での講習
当作品では、情景描写を少なめにし、読者様の
想像の世界で物語が進行するようにと考えて会話メインで書いているのですが、
どうでしょうか?
やはり情景描写は詳しい方がいいでしょうか?
ご希望などがあれば、教えてくださるとありがたいです。
それでは本編スタート。
「いや、僕は盾職の立ち回りを教えてもらいたいんですが......」
「何言ってる?これが盾職の立ち回りの初歩だろう?」
「いや、下がったらみんなを守れないじゃないですか!」
「モール......」
これは、一回基礎を叩き込まなければいけなさそうだな。
「はっ!」
スライムを一撃で倒す。
「モール。お前、盾職の役目はなんだと思ってるんだ?」
「そんなの決まってるじゃないですか。パーティを守ることです。」
「そうだな。じゃあなんで前に出る必要があるんだ?」
「え、いやソラさん?前にでないとパーティを守れないじゃないですか」
「お前こそ何言ってるんだ!?」
「ちょ、ソラさん、揺らさないでください」
「パーティを守らなきゃいけないんだぞ?自分が前に出てどうする!?」
「いや、前にでなきゃみんなを守れないじゃないですか」
「自分もパーティ仲間だろ!?なら自分も守らなきゃいけないだろ!」
「え?」
モールはこんな当たり前のことにも気づいていなかったのか......。
「ソラさん、それだと盾職の意味が無くなりませんか......?」
「ん?どうしてだ?」
「いや、だって盾職はみんなを守る前線の壁ですよ?」
そうか......。いつも自分を犠牲にして来たからここでも自分が攻撃を受けきればいいと思ってるんだな......。
「違うぞ、盾職はみんなも守って自分も守る、だ」
「へ?」
「いいか、モール。盾職は敵の攻撃から身を挺してみんなを守る職だと思われがちだが、実際は違う。それだと自分は守れないからな。だから、盾職の動きって言うのは盾を使ってピンチの仲間を救うことじゃない。」
「盾職の動きは、敵のヘイトを一身に集める為にガンガン攻撃する。これが正解だ。」
「・・・」
言葉で言ってもわからないか?
「じゃあ実際に見せるよ」
丁度いい所にスライムも出てきたし。
「いいか、モール。まず下がるって言ったのは視線誘導だ。
1番先頭から1番後ろに一気に下がられたら気になるだろ?
それで敵の意識を自分に向ける。」
モールを盾にして一気に下がり、反時計回りにスライムの横に回り込む。
「んで、視界を切る様に横に回り込めばこちらを向くか他の仲間を見るかどっちかにわかれる。で、ここで確実にこっちを向かせる為に、『挑発』を使う。挑発は盾職なら全員覚えてるはずだからな。」
モールの目が少しだけ虚ろだな。まああとでもいいだろう。
「そしてこっちに敵が来れば、あとは味方に背後から攻撃してもらえばいい。もしヘイトが味方に向いたらそれを覆す攻撃を叩き込んでやればいい。『華脚』!」
スライムが光の粒子となって消え、目の前にドロップ情報などが表示される。
「あ、そっか......。『天上の牙』のボスバトル動画見てだれが盾職かわからないのも無理ないや......」
モールが完全に上の空だ......。
「まあこんな感じだ。後は自分なりに考えて見るのもいいと思うぞ」
「......はい」
「モール君、無理してソラさんのマネはしない方がいいわ。
この人、少しおかしいから」
「おかしいってなんだよルル。それに笑って言うことじゃないだろ」
「それもそうね。ふふっ」
笑いが止めれてないじゃん......。
「きょ、今日はありがとうございました。今後の立ち回りの参考にさせてもらいます」
時刻は既に20:30を回っていた。
「うおっ!もうこんな時間か」
「それでは、機会があればまた!」
「おう!またな!」
「ありがとうございました」
「しっかりね」
モールとアリスは2人で楽しそうに帰って行った。
「あ、あいつの防御力どれだけあげてるのか聞くの忘れてた。」
「ふふっソラさんは少しおっちょこちょいですね」
「まあ、別にいいか。俺の今の立ち回りで防御力は必要ないとわかってくれたはずだ」
「────」
「ん?何か言ったか?」
「いえ、なんでもありませんよ。さ、帰りましょうソラさん」
「おう」