初心者盾職
「ここのはずだけど」
着いたのは広場のベンチ。
「ソラさーん」
「あ、あいつか」
来たのは平均的な何の特徴も無い男だった。
「遅いです」
「え?」
「12秒も遅れています」
「え、えぇぇぇ」
「いや、ルル。12秒も誤差の範囲だ」
「いいえ!ソラさんは時間に対して甘すぎるんです!社会人になったらわかると思いますけど」
いや、ルルが厳しすぎる......。
「えっと、君が俺に教えてもらいたいってやつか?」
「はい!モールといいます。よろしくお願いします」
「モールか、よろしくな」
「で、後ろのやつはなんだ?」
「後ろ?ひぃ!!」
モールの後ろには赤髪をぐるぐる巻きにした女の子が立っていた。
「モール、あなた一人でこそこそどこいくのかと思ったらこの人達のとこだったのね」
モールのパーティ仲間だろうか?
「あ、アリス、ごめんって」
「ふんっ!」
あーあ。そっぽ向かれちゃってるよ。
「ま、まずはフィールドに行こうぜ」
「ん?始めたいやつがいるのにわからないことがありすぎてできない?」
「はい。僕の友達を誘ったんですが、ゲームに対して知識が無くて、ログインしてキャラ設定で悩んでいるらしいんです」
キャラ設定で悩むのはゲーム知識関係ないだろうに...。
「そうだな、その子が始めたらお前らと組むことになるんだろ?」
「はい、そうなります」
「なら、その子にお前らの足りないロールをまかなってもらえばいいんじゃないか?」
何も深く考える必要はないだろう。
「そうなんですけど、攻撃に当たるのが怖いらしくて......。
前衛職は嫌だって言うんです」
「ほほー。それで?」
「僕が守るから前衛職になってくれと頼んだら、僕じゃ信用できないと言われて......」
「要するに、前衛職が欲しいけど攻撃されるのが怖いから嫌だという友達を安心させれるような盾職になりたいんだな?」
「はい!それで、トッププレイヤーで唯一の盾職のソラさんならそういった立ち回りなのではと思い、今回頼んで見たんです」
仲間の為に自分が努力する。凄まじい自己犠牲だ。
「よし、俺ができる限りの事を教えてやる」
「お、お願いします!」
隣からやめとけという小さな声が聞こえた気がするが、気のせいだろう。
現にモールは気づいていない。
「お、早速戦闘だな。相手はスライムか」
青いプリンことブルースライム。どんなやつでも100%勝てる。いや、勝てないとおかしいとまで言われる雑魚。
「いいか、モール。タンクは戦闘が始まったら」
「みんなの前に出て盾を構えるんですよね?」
「違う!真っ先に最後尾まで下がるんだ!」
「......え?」




