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93, お兄ちゃんの家族
※えづく表現あり。(吐きません。)
「ゲホッ、ケホッ、オ"ェッ」
シャルルは玄関に入るなりその場に崩れ落ちた。
冷や汗や、涙が混じったものが顔を伝ってパタパタと床を濡らしていく。
「はぁッ⋯⋯、ゲホッ、ゲホッ⋯。」
何度えづいても何も出ないのはとうの昔に知っているのだが、それでもつい反射で口を手で覆ってしまう。
何年ぶりに、この症状が出ただろう。頭の片隅でそんなことを考えつつ、取り敢えずシャルルは息を整えようと深呼吸する。
何か対処をしないとこの症状は治まらないし、誰かを頼るつもりはない。
「⋯⋯ヒュー、ヒュー、オ"エッ。」
何も考えるな。冷静になれ。そんなふうに頭の中で自分に言い聞かせるも思考は散漫に記憶をたどるし、咳やえづくのは止まらない。
『お兄ちゃんとお姉ちゃんの家族は、どうなの?』
楽しげに少女が問うた、その声が頭を木霊する。
(お兄ちゃんの家族、ねぇ。あの人たちは、もうとっくに⋯⋯。)
大好きな家族について話す少女の言葉はどれを取っても、彼が普段抑えつける己の幼少の記憶を引きずり出すには充分過ぎた。
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