91, プレゼント
(あ⋯、あのお店って。)
見覚えのある露店を見つけ反射的に足を止めたハーディは、ローブの中のシャルルを見上げた。
「シャルルさん、少し待っててもらって良いですか?」
「うん。別に構わないけど、どうかした?」
「いいえ!!少し見たいものがあったので。」
「俺も行ったらダメなの?」
「はい!!」
「あ、はっきり言うんだね。」
『いってらっしゃい。』と、手をふって見送ってくれるシャルルを見届け、ハーディはその露店へ近付いた。絨毯の上には植物の意匠、動物の意匠、使われている材料も様々なアクセサリーが入った箱などが丁寧に並べられている。
「あら?お嬢ちゃん。この前男に貢がれてた子じゃないか。」
「貢がれ!?」
「冗談さ。また来てくれてうれしいよ。」
「覚えてもらえてて光栄です。」
ハーディは露店の前にしゃがむと、じーっと商品を眺めた。
「おや?探し物かい?なにが欲しい?探すの手伝ってあげようか?」
「あ、シャルルさ⋯⋯、この前このバレッタを買い与えてくれた人に、お返しで何か装飾品をプレゼントできないものかと思いまして⋯⋯。」
「おやおやまぁまぁ!!」
女性は胡座をかいている足を手でバシバシと叩き、軽くハーディの方へ身を乗り出した。
「すごくうれしいよ!!いやぁ…なんて素晴らしいことだ。男の髪の装飾品か。ならこれと、これとか⋯」
(何故かすごく喜ばれてしまいました⋯⋯。)
ハーディは女性が並べてくれる男性用の装飾品を一つ一つ見てみる。
(ブレスレットとか指輪とかは、きっとお仕事の邪魔になる。簪もローブを破ったらいけないし。髪質的にバレッタは絡まったら危ないですよねぇ⋯。そういえばシャルルさん。前に髪ゴム無くなったとか言ってませんでしたっけ。)
「髪ゴムだね!!それならこことここと。」
「え?声でてました?」
「あぁ。結構盛大に。」
「すみません////」
「真剣に選んでいるのに何を謝ることがあるんだい?」
そして店主の女性と相談に相談を重ねしばらく。
「これにします!!」
「まいど。これは銀貨2枚だね!!」
「お願いします。」
「いやぁ~。本当に良いことに巡り会えたよ。おめでとう、お幸せにね!!」
「???えぇ。今でも十分に幸せですし、店主さんもお幸せにお過ごしくださいね!!」
(お幸せにって今言われるような言葉ですっけ??どういう意味なんでしょう。まぁ、なにはともあれ、いいものも買えましたし、あとは渡すだけです!!)
「シャルルさーん!!」
「あ、ハー」
「うわぁぁぁぁぁぁぁん!!」
「「?!」」
急に聞こえた泣き声に、シャルルとハーディは顔を見合わせた。
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