88, 待ってました。
「ハーディ、居た。」
「あ、シャルルさん!!」
霧が少し濃くなった頃、シャルルはハーディの屋台もどきにやって来た。
「今日、仕事?」
「あ、そうですね~。全然休めはするんですけど、休んでも特にすることないですし、お仕事楽しいので。」
(私、何言っているんでしょう。)
シャルルは「ふ~ん」とだけ言うと、ハーディの横の木箱を振って、中身が空なのを確認してから腰掛けた。
「?」
「仕事風景見てても良い?」
「別に構いませんよ〜。」
(シャルルさん。この前のお休みみたいにすることが無いんですかねぇ。)
ハーディはふと髪のバレッタを触る。
(私、こういうものをすぐに落としてしまうから地味に怖いんですよね〜。まぁ、これは絶対落としませんが。)
「シャルルさん!私、頑張りますね!!」
「??わかった??」
先ほどヨハンが来ていたことと、今日が祭り日だということもあり、ジュースの売れ行きは素晴らしかった。
「お昼前に完売してしまいました⋯⋯⋯。」
「売れ残ったわけじゃないんだから良いじゃん。」
(これからどうしましょう。このまま何もすること無いとシャルルさんを更に退屈にさせてしまいます。それは絶対に嫌ですし、でも、じゃあ何をすれば⋯。)
ハーディがウンウンと唸っている横で、シャルルは木箱などを荷車にどんどん積み込んでいった。
「シャルルさん!?そこまでしていただなく」
「よし、これで全部?」
「⋯はい。」
今積んだのが最後のだったようで、地面に置いていたハーディの周りの荷物は何も無くなった。
(少し嬉しそう?)
現実逃避のようにいつもよりテンポの軽い足取りを目で追っていると、彼はそのまま荷車を押し始めた。
「いやいやいや!!流石に私が」
「ねぇハーディ。」
「ひゃい?!」
「この荷物置いたら、俺と祭り一緒に回ろう?」
「⋯⋯。」
甘く緩められた瞳がハーディを見つめる。それだけで、ハーディの頭の中で暴れ回っていた雑念がすべて消え失せる。
(もしかして、祭りに誘ってくれるために待ってくれていたんですかねぇ⋯⋯⋯。)
流石に自惚れすぎだろう。なんて頭の端で思いつつ、ハーディは確信に近いところでそう感じていた。
ローブの中からハーディを優しく見下ろして、ハーディの反応を黙って待つその瞳に吸い込まれるように、ハーディはいつの間にか答えていた。
「一緒に、回りたい、です。」
「やった。じゃあ、早く置いてこようか。」
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